第9記:新章

 眼が覚めた。枕辺の時計は[06:00]を示していた。昨夜の就寝時刻は[23:00]頃であった。それまで、動画版『寄生獣』を観ていた。DVD第2巻(第3話~6話収録)である。一話一話、吟味して観るつもりだったが、結局全部観てしまった。

 新一の声もミギーの声も耳に馴染んできた。パパとママの配役も適格である。動画の場合、声優の起用が完成度に大きく影響してくる。作画部門がどんなに頑張っても、声優さんの力量が追いつかなければ、全てがぶち壊しになる。必然、部隊編制には慎重にならざるを得ない。映画や演劇と同じで、ベストメンバーを揃えるのは、なかなか難しいと思いますけどね。


 起床後、湯を沸かし、コーヒーを淹れた。今日の午前中は、山積している雑用を片づける予定であった。コーヒーを飲みながら、昨日買っておいた菓子パンを齧る。酷い味である。やはり、安物は駄目だ。とは云え、他に食べるものはない。我慢して食べるしかない。

 在宅中はパン食が中心になっているが、本来、俺は飯派なのである。炊き立てのご飯に大根の味噌汁(第二候補:豆腐の味噌汁)と漬物があれば良い。もし許されるならば、目玉焼きか焼魚を所望したい。

 ささやかな献立だが、現在の俺には大変な贅沢なのである。かつては当り前だと思っていたものが「実は当り前ではなかった…」ことに気づき、愕然となることが少なくない。


 愛機を起動させ、ぴよぶっくを呼び出す。音楽もラジオも封印して、編集作業に没頭する。特に意識していたわけではないのだが、ダサクとダブンの両方が新章に突入した。前者は第11章、後者は第4章である。

 小説の編集に関しては、どうしても時間がかかる。池波(正太郎)先生みたいに「キャラに成り切る」ことができると良いのだが、俺には至難である。ヒーロー的要素の全くない人間にヒーローは書けぬ。だが、強引に書く。書けば書くほど、リアリティが失われる。


 随筆の筆が比較的滑らかなのは「主人公」が俺だからだろう。自分が感じたことや思ったことを、そのまま文字化すれば良い。全然難しくない。勢いに任せて書く。気がついた時には、予定の字数に達している。超過した場合は、彼方此方を削って、枠内に収める。これも、そんなに難しくはない。むしろ、楽しいぐらいである。内容に一貫性がないので、題名をつけるのに迷うことはあるけどね。〔4月3日〕

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