第9話 解決案を出す私

 部屋で鞄に荷物を纏める。ドレスやアクセサリーは売って金にしよう!


 やっとだ!終わった!決めた!

 やっとこの家を出て行ける!!

 ウキウキと荷物を纏めていると…お母様が入ってきて泣いている!


「出て行かないでオレリーちゃん!」


「いや、無理です」


「私被害者なのよ?いいえ、ジャネットもリュシーもよ?あの男に無理矢理犯されたの!」

 それにしちゃ気持ちいい声出しとったな。抵抗もせず。もっととかも言っていた事もあったろ?お前ら三人ともジョゼフさんに翻弄されてたから被害者とか信じん!

 むしろ被害者なのは私だ!


「お母様…無理なさらないで?お父様が死んで寂しかったのですよね?埋めてくれたジョゼフさんがこれからは側に居ますよ」

 だから私の事は解放しろ!


「そりゃあ確かに…レイトンが亡くなってずっと一人で領地を経営して辛かったけどそこをついてあの男に隙をつかれたのは私の過ちだわ。一番愛してるのはレイトンだってことは信じて!」


「では、ジャネットにジョゼフさんを譲ってください」


「え?それはちょっと…。ジャネットってああ見えて腹が黒いのよ?娘だからわかるのよ!」

 はー?知らんがな!!

 なんだそれ?父を愛してるとか言って譲るの嫌なんかい!


「お母様…魔が刺しただけなら譲ったら?」


「それはだから…」


「……ではジョゼフさんと結婚したらいいではないですか!?」


「でもぉ、私おばさんだし…」

 なんだこいつ。アホか!

 結局好きなんだろ?


 するとジャネットとリュシーも入ってきた!


「お母様!!責任とって自分だけジョゼフ様と結婚なさる気ね!?歳をお考えください!!」


「……」

 そうか歳のことで揉めてたのか。わかったけど他の部屋でやってくんない?クソ共!


「ジャネットもリュシーも譲る気はないの?」


「ええ!?あの…私は…ジョゼフ様のこと…お姉様に悪いとずっと思ってましたの!悪い妹でごめんなさい!お姉様と結婚するまではと思っていたからまさかこんなことが発覚して出て行くなんて言うから!!」

 あー、つまり…私が結婚するまでジョゼフさんとヤリたかったと言うわけかーー??


「リュシーはどうなの?」


「わ、私は…ただのジョゼフ様の遊び相手なのです。かまってもらってるだけですわ。奥様とジャネット様がお好きなら諦めるしかないですわ!」

 とボロボロ泣く。

 やっぱりお前も好きやんか!!


「ずるいわよリュシー!涙なんか!」


「そうよ!嘘泣き女!!お姉様!!騙されないでこの女が一番狡猾よ!わざと私達に見つかるように計算した所でジョゼフ様を誘っていたのよ!!」

 とジャネットが睨む。お母様も


「ジャネットの言う通りよ!リュシーは狡猾だわ!」

 わかったから出てけよ。荷物を詰めながら私は言う。


「それならこうしたらどうですか?ジャネットとジョゼフさんが結婚する。世間的にもピッタリだし変な噂も流れません。


 そしてお母様とリュシーは影で交代で彼と愛し合っていけばいい。そのうち誰かの子が宿っても4人が結託すれば隠蔽できるでしょう…」

 と言うと皆ポカンとした。

 するとめんどくさいジョゼフがやってきて


「オレリー様!流石です!名案ではありませんか!!素晴らしい!僕は…三人共愛していますけど重婚はできないので悩んでいたんです!」

 お前の悩みなんか知るか!このクソが!クズが!!


 三人は見つめ合いキラキラしている。

 私はようやく荷物を纏めて頭を下げた。


「では皆さんお元気で!」


「本当に行っちゃうの?オレリーちゃん!貴方は私の娘でもあるのよ!本当の貴方の母親は酷い人だったの!娘を捨てるとか言って!!私あの時頭に来たのよ!お金だってあの時実はせびられたわ!」


「えっ!?」


「あの女!オレリーちゃんを捨てるって言うからレイトンと話し合ってうちが引き取って娘として育てると言ったら…オレリーちゃんを物みたいに『なら、金を少し寄越しな!売ってやる』って…言ったの。許せなかったけどオレリーちゃんが可哀想で払ったわ」


「お母様…。ごめんなさいそのお金はいつか返しますわ」

 酷えな実の母も!


「ううん、いいの!そんなの!オレリーちゃんが元気でいてくれるなら!手紙書いてね!いい人ができたら知らせてね!」


「はい…」

 ジャネットも涙を溜めてしがみつく。


「お姉様!!寂しい!私達血は繋がってないけど、私はいつもお姉様に優しくしてくださったし!本当に姉だと思っておりますからね!!幸せになってください!!ジョゼフ様のことごめんなさい!!」


「ええ…ジャネットも結婚したら知らせてね…」


「もちろんですわ!!式には招待しますわ!!」

 辞めてくれほんと…行きたくない。

 リュシーもまた嘘泣きか知らんけど涙ぐんで


「お嬢様…私を許してください!!本当は死のうかと悩んでいたのです!でも…本当は私もジョゼフ様の事好きになってはいけないのに…ううっ!」

 はいはいわかったから。


「リュシー…貴方も幸せになってね。これまで仕えてくれてありがとう。三人共幸せにね!」

 と言うと三人はわんわん泣き出した。

 はぁ。


 そしてクソジョゼフがにっこりして


「三人の事はお任せください!オレリー様!お元気でいてくださいね!子供が産まれたら顔を見せに参ります!」

 うるせークソたらし男が!!お前はいい顔して何も言うなよ!言う資格があると思ってんのか!?あ!?


「では私はこれで…ナタリーさん…あの本当に辞めるの?」

 ナタリーさんは今回のことで心臓が元々悪くそろそろ辞めどきだったしこんな家に居たくないそうだ。


「はい…奥様、皆さんもお世話になりました。お嬢様と一緒に出て行きますわ」

 と言い私とナタリーさんは再び馬車に乗り込んだ。



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