3ー不知案内

「っと…着いた。」


「話しを…ってもう!?」


「ここは?…思った以上に大草原だね…」


見ていた風景が一瞬で変わった事に少々目眩がしつつも…想像以上に違和感がある光景に驚きを隠せない。優美は気持ちよさそうに寝ている、草原だからかな?さっきより寝心地よさそうだ。


この大草原の周りには見知らぬ城と城下町、大きな山と大森林。なんか山近くにデカイの飛んでるけど…ドラゴン?…やべぇな、そういうのいるのか。


「ここからはあの城の方向へと歩くよ。」


「今みたいに瞬間移動みたいなのは?」


「ダメだよ、面倒くさいとか思ったら。」


「うっ…はい。」


スキップさん意外と鬼教官タイプ?

いや…だってモンスターとかいるんじゃないの?危険じゃないの?


「ほら、いくよ。」


「あ…優美を。」


「私がもう担いでいるよ。」


「あ…うん。」


彩は行動が速いなぁ。まぁもう付いて行く事しか出来ないしな。知らない世界でモンスターに襲われて死にたくない。


「ここは…えっと名前とかは?」


「ここは確か…ボルグ草原。」


「ボルグ草原…ですか。」


「由来はここにいるよ。」


スキップさんはそう言って下を指さした。そこには…スライム?と言える液体が丸まっていた。


「ボルグ…この世界でよくいるスライムの名前さ。」


「ふむ…周りの液体は酸とか?」


「違う違う、無害だよこいつは。意思も無いからただの邪魔者さ。」


「だけど生きて動いてる…菌的な物か…」


意思が無いか…喋れるスライムはいないって訳だ。最近は何だかユニーク個体とかがあるけど…流石にアニメの見過ぎかな。エルフとかドワーフとかそこらへんの種族とかもあるのかな?


「本当に異世界なんだなぁ…驚きだ。」


「何だろう…なんか嬉しいな。」


歩いている間に呟いた事に、彩が言ってくる。


「何?こういうのに憧れてた?」


「まぁ想像力を使う仕事だったからね。」


至極真っ当だな~。異世界関係のイラスト描くの楽しかったらしいしな。


「あ〜確かに…俺も嬉しいな二人とまだ一緒に居れて。」


「…まだって言わない!」


「あれ?照れた?」


可愛いなぁ。しかも若くなってるのが俺の心に…こう…響くね。


「…」


「あっ、すみませんスキップさん…」


「ん?あぁいや大丈夫だよ。俺も結婚してるんだよ?見ていて微笑ましいよ。」


えっ!?してんの!?思った以上のイケメンなのか?この帽子の下どうなってんだろ。


「え?そうなんですか!」


「そう言えば…君達は彼女に…妻に感謝した方がいいよ。」


「うん?」


「生き返らせるの…彼女の提案だから。」


「奥さんが?…何故でしょう?」


「君達の付き合いが微笑ましかったから…だそうだよ。」


「えっ…み、見られてたの?…」


やばいよ!プライバシーの侵害って奴ですよ!…もしかしてだけどそういう瞬間も見て…


「大丈夫だよ…全く、そういう趣味は妻共々、持ってないよ。」


「…あ、そうですよね……っていうか心読みました?」


「僕だって一応神様の親友だぜ?出来る事は殆ど同じだよ。」


確かにそんな事言っていたな。出来る事が殆ど同じ、それってもう殆ど神様じゃあ…

いや、もういいや。なんとなくだけど突っ込んだら面倒くさそう。


「…物分り良いね君達?」


「そうでしょうか?」


「いや…ただ思考が追いついていないってだけな気が…」


二人で答える。…彩は多分本当に理解してそうだなー。


「それでもだよ。普通に付いてくるじゃないか。」


「だって、さっきなんかドラゴンみたいなの飛んでいたし…異世界何ですよね?モンスターとか危険な奴もいるんじゃ?」


さっきのボルグはともかく。他のモンスターは知らないからね。


「おぉ!ずいぶん用心深い様だ。」


「まぁ…また死にたくありませんからね。」


「笑えない冗談って奴だね!俺の周りはたしかに安全だと思うけど…危機察知能力が高いのかな?」


その後森に入り始めたスキップさんがこの世界の説明を始める。


「それじゃあこの世界の名前から。何だと思う?」


スキップさんがどういう人なのかイマイチ分からない。何かふざけてる感あるしで距離感の掴めない人だなぁ。でもノリがよさそうだ。


「えっと…あえて、地球と!」


「おっとノリがいいね!だけど不正解!」


「まぁそうでしょうね。」


ならなんだろう?テラとか安直な名前かな?


「ベースは同じだがここは君達の住んでいた場所とは違う。言語は全て統一されているが多少の違いがある。…ここだけの話この世界だけだけどね、名前が地球じゃないの。しかも言語はあんまり違いが無いし。」


「えっ?じゃあ結構当たってるんだ…」


ベースは同じ?ここって俺の世界の違う姿って訳か?壮大すぎるよ。後、結構いい線いってるんだな…地球。


「勘違いしないでもらいたいのが…モンスターとか魔法とかそこらへんの物は神様と僕が生み出したって事。」


「月刊誌にあるランダムの付録みたいなものですか」


「冷静だね?…それに独特な例えだが…まぁ大体そんな感じだ。」


っていうか今、適当に流したけど魔法あるんだこの世界。俺達にも使えるのかな?


「結構な質問を頭の中でしないで欲しいな?」


「えっ?あぁ…読めるんでしたね、思考。」


「うん。後使えるよ、魔法。別に才能とか関係無いからね、自惚れない様にな~。」


おお。魔法はやっぱロマンよ!


魔法が使えるから自惚れちゃいけないって、もしかして前にもそういう人が?まぁ俺達が特別って訳じゃないだろうし、他にも俺達と同じ世界では無くても、転生者はいるんじゃないかな。


「前に居たんですか?そんな…自惚れる人。」


「いや、別に?言った理由はあんまりないよ。」


「…何だったんですか。」


よくよく考えたらこの人達が好みで選んでるなら、そういう人はいないのか?まだよく知らないけど。


「まぁ俺こういう感じだから。」


「なんとなく分かった気がするよ…」


「…話を戻すけど、ここは太陽と呼ばれている。」


「う~ん、太陽か。」


言語の違いはあまり無いと言っていたけど。やっぱり惑星系がバラバラなのか。太陽って元住んでた世界を知ってるとなんか違うよな。


「まぁそこは慣れだね!いつもの様に喋ってもいいが、あんまり間違えるなよ。」


その後なんか俺の作った音楽の事を聞き始めて、ヒット曲を流してくれたり。彩にこの世界の景色を写真で見せてくれたり。本当に何でもありだってのが分かる。後この人コミュニケーション強者だ、会話が尽きない。


全ての説明は家に着いたらするらしい。確かに何か説明が足りない所が所々ある。


「…それにしても疲れないな?」


「あっそう言えばそうだね。」


「まぁ色んな場所を改造してあるからね。」


「えっ!?」


「改造されてるの!?」


なんか日常会話みたいなノリでえげつないこと言ってきたよ。あの時魂だけだったのってそういう事か…?


「…何が改造されたのかって答えてくれますか?」


「大した事はしていないよ?この世界で生きていく為に少々強化したのと…まぁ見て分かる通り、若くしたね。」


「そ…それだけですか?」


「…う~ん?まぁ18歳から20歳ぐらいの体に固定しているのと、少々能力をね…」


「の…能力…」


「魔法とは違う…ですよね?」


「うん違うね。どういう物かはお楽しみだよ。」


何か中二病心をくすぐるなぁ。自身に害が及ばない奴だといいけど…

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

とある家族の転生談 青い箱庭 @Aoiyatu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ