第37話 彼女との出合い〜尚武サイド8
気がついたら俺の可愛い彼女はテーブルに突っ伏して寝ていた。
睫毛長いな。瞼がピクピクしてるのは夢でも見ているんだろうか?
唇が半開きで、ヤバイ、エロい! あの中に舌突っ込んで舐め回したい。
思考がヤバイ方面から帰ってこれなくなる前に琴音を起こそう。
いやさ、今日は土曜日だから琴音母も家にいると思って来てみれば、まさかの土曜日出勤で二人きり。最初は琴音の部屋で勉強しようって言われたけど、まさか後ろにベッドがあって勉強に集中できる筈がないから、リビングでの方がテーブルが広いという理由でリビングをゴリ押しした。
「……琴音、起きろ」
小さく「……ゥゥン」と呻る琴音の声がやけに艶めかしくて、俺は琴音の肩を少し強く揺すった。
ガバッと起き上がった琴音は、慌てて口元を拭う。大丈夫だ、垂れてないからな。もし垂れたら舐め取りたくなるから危ういところだった。
「遅くまで勉強してた? 」
「いや、そんなには……」
まだ寝ぼけているのか、ポヤンと俺の顔を見つめる琴音は何て無防備なんだ!
可愛過ぎて押し倒したくなるじゃないか!
頭をガリガリかいて煩悩を何とか散らそうとする。
「いや、別に、琴音の寝顔に見入ってたとか、つい手を出しそうになってヤバくて起こしたとかじゃねぇから」
「えっ? 」
ヤバイ!本音が駄々漏れちまった!
思わず手で顔を覆い、動揺をひた隠しにする。隠れてないけどな!
「……」
「手……出してくれてもいいのに」
二人で真っ赤になってワタワタする。
「と……ところでさ、うちの一年の女子、みやちゃん? あの娘、いつの間に尚武君狙いになってたの? 」
「さあ? そう言えばなんか周りチョロチョロしてたな。花岡のこと諦められないのかと思ってた」
俺狙いってか、本命じゃなくて遊び相手としてだったらしいけど、どっちだって御免被る。あんだけ暴言吐いてったんだから二度と近寄ってこないだろう。
琴音が膝立ちで俺の横に移動してくると、いきなり俺の腕にしがみついてきた。さっきは図書館でだったし、人目もあったけど、今は二人しかいない家ん中だ。柔らかな琴音の胸の感覚を余すとこなく拾おうと、全知覚神経が右上腕に集中する。
ギュッギュッと胸を押し付けられ、思わず自分から腕を擦りつけそうになり、ヤンワリと腕から琴音を引き剥がした。
「……ヤキモチやいちゃった」
何か可愛いこと言い出したぞ。
「何で? 」
「だって、尚武君は私のなのに、ベタベタくっつくから」
「これからは近寄らせない。琴音に嫌な思いはさせないようにする」
もう寄ってはこないだろうけど、絶対に琴音が嫌がることはしたくないし、全力で排除しようと誓う。
「うん。信頼はしてるんだ。尚武君は花岡君なんかとか違うって」
あれと比べるもんじゃないよな。まず人種が違う。思考回路が異次元くらい違い過ぎるからな。
再度俺の腕にしがみついてきた琴音は、上目使いで小首を傾げた。
だ・か・ら、可愛過ぎるんだって!
「多分ね、尚武君のことは信頼してるけど、自分に自信がないんだよ」
「え、何で? 」
何で俺の彼女でいてくれるの? ってくらい可愛くて美人で、オッパイだってフワフワな完璧彼女の琴音に自信がないとしたら、一般の女子はいったいどうしろというのだ?!
というか、俺はどうしたらいいんだ?! 顔面偏差値は中くらい、ただし強面だから需要は極端に少ない(琴音一択)。デカイ図体に筋肉質の身体は威圧しか与えないし、筋肉ってのは熱を発散するから暑苦しいらしい。
全くもって琴音に釣り合ってる気がしない。
それなのに、琴音は俺の魅力とやらを熱弁し、さらにはそんな俺に求められたら安心できるみたいなことまで言ってのけた。
マジか?!
有り得ないだろ。
「俺としては、そんだけ琴音に良く思われてるのは嬉しいんだけど……いつかその幻想が解けた時がこえーな」
「幻想じゃないよ、真実だよ。せめてさ、尚武君に求められてるって実感できたら、自信も持てるんだろうけどね」
切なげなため息を吐いて、一度閉じた目をゆっくりと開いてジッと見上げられたら、もう……!
「求め……って」
「今日ね、うちの母親飲み会で帰り遅いんだ」
可愛い彼女にここまで言わせたら、さすがにハグやデコチューですませられる筈がなかった。
琴音の肩に腕を回して引き寄せると、緊張したように琴音の肩がビクリと跳ねた。
もう逃してあげられない。
俺がどんなに琴音が好きか、どんなに琴音を求めているか思い知ってくれ。
「いつだって琴音が欲しいよ」
耳元で囁くと、すがりつくように俺のシャツをつかんきた。潤んだ熱のこもった瞳で見上げられ、俺の目の奥もカッと熱くなった。
「琴音が好きだ。これからもずっと琴音だけを愛してる。だから、俺のになって。全部、琴音の全部、心も身体も、これからの人生も全部俺にくれないか」
「それって……」
「YESしか受け付けてないからな。結婚しよう、琴音」
琴音は涙をブワッと浮かべたと思うと、ぶつけるように俺の唇に自分の唇を押し当ててきた。
「YESだよ尚武君! 」
もう我慢することはなかった。
琴音を強く抱きしめて、その柔らかくてシットリした唇を何度も啄むように食んだ。
「部屋……行こう?」
「ああ」
琴音に手を引かれて立ち上がり、そのまま手を絡めて琴音の部屋へ向かった。
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