フォロー100記念SS/?ルート

ブクマ100ありがとうございます!感謝です!ということで、SS書かせてもらいます。?ルートとなっていますが、刹那ルートです。ネタバレ予防の為。この物語はある程度の人が読んで期間が過ぎたら番外編同様、上の方へ移動します。SSのネタはかなり悩みました。これから書く話と被らないように心がけました。



「俺は童貞を卒業したい! 誰か手伝ってくれないか」


「まだそのネタ(番外編)引きずってるの?」


「あたしは彼氏いるからパス」


「元カノはどうした?」


「高校卒業までにしないと……」


「焦らなくていいよ」


さて、今回のSSでは

「待ちに待った美少女たちのお風呂突入!」ではなく。


「それがさー白紅魔先生が性描写ありのレイティング付けたがらないんだよねーだから無しだって」


「女性でも子供でも楽しめる下品じゃない性の乱れてない露出のない易しいラブコメを目指してるからね」


だから、ということで刹那とのショッピングデート回にしました。


―――――


「行ってきます!」


そう言い残し、俺と刹那は雨の中、駅方面へと向かっている。駅の中にはデパ地下もあって、非常に物が充実している。歩きながら、お喋りをしようと思ったのだが、刹那は口を開かない。

暫し、沈黙だった。


「何も話すこと無いな」


「この沈黙の中、世界中の人々が何人死んでいるんだろう、殺されているのだろう、と考えるだけでゾクゾクするわね」


何考えてるんだよ、サイコパスだよ、それ。


「もう少しマシな事考えられないのか」


妄想ならもっと楽しい事考えてほしい。


「んー」唸ってしまった。


再び訪れる沈黙。


また俺から話を振る。


「ショッピングに興味があるのか?」


刹那がショッピングに行くなんて珍しい。偏見なのかもしれないが。


「ないわよ」


即答!? まさかの否定?

本当に謎に包まれている。


「じゃあ、何で二人で行こうと思ったんだ」


誘ったのは刹那だ。


「それは……二人きりだからよ」


放たれた言葉に思わずキュンとした。二人きり……それは特別な条件。

でも、何で俺なんだろう。別の女子とでも二人きりになれるのに。


「でも何で俺なんだ? 他の人とでも良かっただろ」


「拓真君じゃなきゃダメなのっ!」


(何言ってるのよ、私。ばかばかばかー)


俺じゃなきゃダメ。嬉しかった。なんとなく。それに気づけば名前呼び……。何なんだろう、一体。


「ああ、ごめんなさい。名前で呼んでしまって」


刹那は見るからにたじろいでいる。いつもの冷静な風貌じゃない。テンパっているようだ。


「いいよ。別に名前で呼んでも。他の子だって呼んでるし」


「他の子と一緒にしないで」


「そんなに俺のことが気に入ってるのか? ひょっとして……好きだったりして」


いつもと違う刹那を見たくて悪戯に翻弄させる。これがよく言うクーデレというやつなのか。刹那のデレは珍しいのでもっと見たい。


「ちが、違うわよ。なわけないでしょ。この私が平凡な貴方を好きになるなんてあり得ないんだから!」


あり得ない、という言葉に多少のショックを受けた。あり得ないのか。


でもその反面、表情に出ている。

さっきまで赤かった顔が更に赤くなり、沸騰しそうである。俯いてるし、目も合わせてくれない。


「ほら、こっち見ろ」


「嫌よ」


また沈黙が訪れた。刹那は緊張して言葉も出ないらしい。それは本人しか知らない。俺は嫌われてるのか話すのが苦手なのかな、と思っていた。


沈黙を打ち破るように刹那が口を開いた。冷静さを取り戻したようだ。


「さっきのは忘れてね?」


「ああ、分かった」


***


数日前、早く帰れた俺は一番早く寮に着いた。

寮にはまだ刹那しか居なかった。いつものメイド服で出迎えてくれる刹那。


そして、彼女にある提案をされた。


「今度の土曜、私バイト休みだから二人で駅にあるデパートでショッピングしない? 勿論、皆には内緒で」


「えっ」


俺は驚いた。まさか刹那から誘いを受けるとは。


「いいけど。でも麻邪実とかにバレたら大変な事になるぞ?」


「だから、皆がいないこの時間に誘ったのよ」


「成程。でも、休日はいるからどういう口実で行くんだ?」


「二人の共通点。それはバイトしてる事。だからATMにお金を入金しに行くって言えばいいのよ。あとは散歩。これで充分でしょ」


「頭良いな」


褒められると自信満々の笑みを浮かべた。


「で、デートの計画や日程は――」


「デートじゃ無い!」


「まさか刹那からデートの誘い受けるなんて驚いたよ。ようやく人との感情取り戻せたっていうか成長したな」


「だから、デートじゃ無いって言ってるでしょ!」頬を赤らめて言う仕草は説得力無いが、恥じらいがあるらしい。誘うのも勇気がいただろう。


***


それで今に至る。デートが実行されたのだ。


「傘って緊張するわよね」


傘? 何が? 傘だけでは緊張しない。もしかして相合い傘の事か?


「相合い傘だから?」


「それを言いたかった」


さっきから俺達は相合い傘をしている。持っているのは勿論俺だ。


刹那は体を震わせ、下ばかり見ている。寒いのかと最初思ったが、緊張らしい。この距離の近さに俺ですらドキドキする。隣を見ると銀色の頭がある。きっと触ると触り心地良いだろう。刹那の方が背が低いから頭しか視界に入らないのだ。刹那は凛としていて美しいから刹那の体に触れないよう気を付けていた。けがれさせたくない。このクールな痩躯な身体でいてほしい。


周りから見てもカップルにしか見えないだろう。


相合い傘をして、あまり話さないうちに気づけば駅に着いていた。


駅の中に大型デパートがある。


デートの日程表には服屋、スイーツ店と書いてある。しかも俺の字で。


メモ用紙まで持ってきた。


「まったく綾薙君は真面目なんだから」ボソリと呟いた。


あれ、名前呼び終わったの?


「デートなんだから名前で呼べよ」


「嫌よっ」


刹那は俺を横にどーんと押し倒した。押し倒す事ないだろ。


オシャレな服屋の前で止まった。

刹那は今日も制服で来ていた。俺はTシャツに長ズボンだ。


「私、制服しか持ってないから。あとバイトの制服」


「そうなんだ」と納得してしまった。

制服姿以外の刹那を見た事が無い。


刹那は水色と白の、ボタン付近にフリルの付いたストライプのブラウスとグレーのスカートを手に取ると試着室へと入った。


しばらくすると服を着た刹那が出てきた。


俺はずっと試着室の前で待っていた。


「どうかな?」と刹那は上目遣いで尋ねる。


(可愛いとか似合ってるとか言われたい……自信あるセンスの良いやつ選んだつもりなんだけど)


破壊力ありすぎだろ。似合ってるし、俺のタイプなんだが。クールさがさらにクールになって大人っぽいし、最高!!


「破壊力がぁ……」

目を抑える。


「どうしたの?」


「いや、あまりにも最高過ぎて。クールだし、とても似合ってる」


「嬉しい」


(実際言われると恥ずかしいなぁ。男の人に似合ってるとか最高って言われたの初めてだし、ときめくし)


会計を済まし、その服でこれからは過ごす事にした。


それからスイーツ店で昼食を済ませた。刹那は冷製パスタとワッフルを頼み、俺は同じのとアイスの乗ったパンケーキを頼んだ。


刹那はワッフルを美味しそうに食べていた。


冷製パスタは二人一緒だ。美味しかったが、刹那は一言も喋らない。


あまりにも無言で美味しそうに食べるので聞いてみた。


「刹那、ワッフル好きなのか?」


「……普通」


多分好きなのに素直になれないのだろう。


にしてもその格好、デートらしさを意識したとしか思えないな。最初制服と見せかけてお気に入りの服になって彼氏の心を掴む。それだ、間違いない。


それから食べ終え、店を後にし、帰路に立った。


帰る頃には雨は止んでた。


地面には水溜まりが出来ている。


普通に帰ろうとしたら刹那が急接近してきた。


「な、何だ?」


急な行動にびっくりしてる俺を不意討ちに「カシャ」という音が鳴った。


「ツーショット」


そう言い、刹那はスマホを見せる。そこには驚き顔の俺と笑顔の刹那が映っていた。


こいつ、笑えるんだ……

多分作り笑顔だろうな。


「なんだそれ」


「帰るぞ」


「うん」

「ねえ、手繋いでみない? はぐれたら大変だし。綾薙君曰くデートなんだし」


はぐれるわけないだろ。デートと認めたのか。


「『拓真(それか、たっくん)、手繋いでくれないかな? お願い』って言ってくれなきゃ繋がない」


(愛称で呼ばなきゃいけないの!? 恥ずかしい。うぅぅ……恥ずかしいよぉ)


(でも、繋ぎたい。言わなきゃ)


「拓真、手繋いでくれないかな? お願い」と刹那は上目遣いで言った。


刹那の声は震えていた。か細い小さな声で。もだえている。


よし、言ってくれた。上目遣い可愛い。泳いでる目もまた良い。服と比例して破壊力ぱない。


俺は手のひらを差し出す。


本当は恋人繋ぎしたいところだけど、彼氏彼女じゃないからなー。


刹那も手を交差してくれた。繋いだ。

温かな感覚が伝わる。安心する。


――でも、そうじゃない。


(何で指を交わせてくれないの……)と刹那は思った。


「こ、こういう繋ぎ方もあるんだよ!」


刹那は必死で指を交差させようとする。


「そうだな。本当はこうして欲しいんだろ」


俺は刹那の細い指を絡めた。


「恋人繋ぎでお願いします、くらい言えよ。ばか」


「あ、あ……」


刹那は恥ずかしさのあまり、ゆでダコのように真っ赤に頬を染め、俺を凝視してくる。


もう悶絶しすぎて何が何だか分からなくなっているらしい。


家にいつも通り帰った。途中で着替えなきゃとか言っていたが、もう遅い。

玄関を開けたら皆が温かく迎え入れてくれた。










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