1-31 茨、ティアナの異次元の強さに驚く

 目前の板に目を通す。そこにはこう書かれていた。


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 ティアナ(ハーフエルフ) 14歳 


 Lv 34

 体力 2400/2400

 魔力 3200/3200

 攻撃 680

 防御 620

 魔攻 1220

 魔防 1440

 敏捷 940

 知力 60


【スキル】

 ・神眼

 ・魔帝の資質

 ・短剣術

 ・弓術

 ・剣術

 ・言語理解


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「……強いなぁ」


 ティアナのステータスを見て、僕は思わず言葉を漏らす。


 生まれたてのモフ子との比較にはなるが、文字通り桁が違う。

 ティアナ曰く、モフ子はあれでもレベル1にしてはかなり強い方という事なので、恐らく種族値のようなものが高いのだろう。

 それでもこうも差があるとなると、レベルの偉大さと共に、エルフ族の種族値もかなり高いのでは? と思えてくる。

 ……いや、もしくはティアナが特別なのか?


「そうでもないわ。向こうの世界では中の上といったところかしら」


「えぇ、これで……」


「……どうしてもレベル差があるとね」


「あー、なるほど」


 単純な種族値では比較できないという事か。

 例え初期種族値に差があれど、それ以上にレベル差があれば力負けする事もあるのだろう。


 ──向こうは思った以上にレベルが重要な世界のようだ。


 ……まぁ、それはスキルを除き、能力値だけで考えた場合だろうが。


 見たところ、ティアナのスキルはかなりえげつない。

 勿論その詳細はわからないが、神眼とか魔帝の資質とかは、その名前からまず間違いなく強力なスキルだとわかる。


 僕がスキル欄に目を向けているのがわかったのか、ティアナが口を開く。


「魔帝の資質は、全属性の魔法が扱えるようになるスキルよ」


 その言葉を皮切りに、異世界の魔法事情について学ぶ事になった。


 まず、属性は火風水土の主要4属性と希少な光と闇の2属性、更に太古の昔に存在したとされる空属性の計7属性が存在するようだ。

 魔法は大体3人に1人の割合で扱え、その大半が主要4属性のうち1つにしか適性がない。故に2属性、3属性と扱えるものは大変貴重な存在で、大抵が宮廷魔法師のような高位の役職につくらしい。


 そんな中、魔帝の資質を持つティアナは主要属性、希少属性のみならず、空属性をも扱えるというから、その異常性がよくわかる。


「……最も、空属性に関しては、未だ小さな異空間を作ったりとか簡単な事しかできないけどね」


「いやいや、それでも桁違いに凄いよ」


 僕が心の底から褒めると、ティアナは少し照れたように頬を赤らめた。


 その後も魔法について幾つか質問し、ファンタジーな話の数々に心を躍らせた僕は、そのテンションのまま、もう一つのスキルについて問うてみた。


「じゃあ、この神眼ってスキルはどんな効果なの?」


「スキルは成長と共に扱える能力が増えていくから、あくまでも現段階の話だけど──自分よりレベルが低い人のステータスを見る事ができるわ」


「見る事ができるって事は、他人に見せる力ではないの?」


「えぇ、本来はね。そこは空属性の魔法を応用して、他人にも見えるようにしているわ」


「ほー」


 先程空属性でできる事は少ないみたいにいっていたが、これはかなり高度な技術に思える。


 僕の考えている事がわかったのか、ティアナは小さく微笑むと、


「これはお母様の発案でね、褒められたい一心で何とか形にしたのよ」


「そっか……」


 少ししんみりした空気になった為、それを吹き飛ばすように、僕は口を開く。


「ねぇ、ティアナ。神眼は、レベルが低い人のステータスを見れるんだよね?」


「えぇ、そうよ」


「それなら……もしかして僕のステータスも見られるのかな?」


「んー、どうかしら。流石に異世界人のステータスを見たことはないから──」


「お願いできる?」


「とりあえずやってみるわ」


 どうやらティアナも気になったようで、快く了承してくれた。


 ……さぁ、どうなるのかな。

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