第10話 いろいろあるようです?

第10話 いろいろあるようです?


「まず初めに、いまの時点でダンジョンが形成されるっていうのが異常事態だということを念頭に置いて話しをするからね?」


 カイヤが聞く体勢に入ったため、漸く話が進むこととなった。


「‥‥とは言っても、機密保持なんとかであんまり詳しくは話せないんだけどねぇ‥‥」


 それでも掻い摘んで重要事項だけを言うとすると、現状チュートリアル中のプレイヤーはあらかじめ決められた幾通りかのスキル検証しかできず、ダンジョンの形成など以ての外、と言うことらしい。


「と言うことで、申し訳ないけどちょっといろいろデータをスキャンして覗かせてもらうね~」


 などと言う言葉とほぼ同時にカイヤの足元から光の輪が立ち上り、頭上まで抜けて空に消えて行った。


「うん、これでよし。ちょっと向こう戻って調べさせてもらうね~‥‥って、聞いてる!?」

「聞いてる聞いてる‥‥よいしょっと」


 明らかに聞いていない。周りを見回したかと思うと観察したり採集したり‥‥やりたい放題である。


「取り敢えず私には何もできそうにないし、拒否権もなかろう? データは外部流出さえなければどうとでもしてもらって構わない」


 軽く手のほこりを払いながら他人事のように言い放つ姿は本当に無関心のソレで――管理責任者の彼はどことなくカイヤのことが心配になった。が、自分はあくまでも運営側の人間なのでこれ以上の干渉は控えるべきだと自分の感情を隔離する。


「まぁ、悪用しないことは自分に誓えるよ。さて、じゃぁこの道をまっすぐ抜けたら始まりの街に辿り着ける。この世界を力いっぱい楽しんでくれると嬉しいかな」


 言いながら一方向を指さす。


「まぁ、始めたからには楽しんでみるさ」


 カイヤはそちらに向かって歩き出しながら、振り向かずに手を振った――

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