日本酒を作ろう2
酒造りを始める事になったドワーフ達。
30人が4つのグループに別れてそれぞれ準備を始める。
1組目は酒造り。2組目は建築。3組目は武器や道具造り。
そして最後の4組目はアスタやシンブさん達と鉄道やバス。
最後のは凄く意外だったけど。
そういえば、ドワーフの何人かが遅くまでアスタ達と話し込んでいたっけ。
まあ、早く完成すればいいね。
チーム酒造りは、ここ数日ネットに齧りつき。
エルフの若きリーダーであるヤムルさんや、畑や田の耕作地全体の運営を任されるまでになったムムさんに指導されながら日本酒の原材料となる米の品種を熱心に調べている。
ちなみにヒロシ村で栽培しているのはコシヒカリ。
チーム酒造りのリーダーであるドグラスさんはムムさんと熱心に議論を重ねている。
「酒米と食米は基本的に種類が違うのです。現在作っているコシヒカリでは美味しい日本酒が作れないと思いますぞ。」
「それは理解してイマス。ですが、耕作地はあるのですが現状の人数では複数の品種を栽培するのは難しいと思イマス。」
「では、半々にするとかでは?」
「現状米の収穫量は充分足りてイマスガ、ドワフル族の皆さんが増えたのでもう少し収穫量を上げておく必要が出てきマシタ。
コシヒカリの耕作面積をもう少し増やそうと話しをしていたところナノデス。」
ドグラスさんとムムさんの舌戦にヤムルさんが口をはさむ。
「ドグラスさん、どのくらいの量を作ろうと思われてイマスカ?」
「そうですなあ、1人1日に1升飲むとして30升。年2回の収穫ということなので1回あたり5500升くらいですかな。」
ムムさん、電卓と格闘中。
「えーと、1升あたり1KG弱のお米が必要トシテ、5500升となると5000KGで、今の収穫量が年1回で7000KG位ダカラ....
それに備蓄の分も考エルト............
えーーーー、今の1.5倍くらい作る必要があるってことですヨネエー!!
それも食べても美味しくないお米ヲ......」
ムムさんの絶叫を聞いてドグラスさんもヤムルさんも驚き顔。
「そ、そんなにもなるのでしょうか。」
「ええ、単純に計算すると......そうナリマスネ。」
「「「うーーーーーん」」」
3人で頭を抱えている。
困っている3人を見かねて声を掛けることにする。
「皆さん、ちょっと良いですか。
米のことなのですが、収穫時期を2回から3回に増やすことにしてはいかかでしょう。
米の場合、最初と最後は作業量が多いですが、途中は結構時間が空きますよね。
特にここの場合は害虫もいなければ雑草も生えませんし。
田んぼだけ気候を調整してやれば可能ですよ。きっと。
それと、一部をコシヒカリから酒米と食米の両方に使える品種にしてみるのはどうですか?
酒米と食米の両方に使える品種もいくつかあるみたいですよ。ほらこの辺り。
ちょっと食べ方に工夫は必要かもしれませんけどね。」
3人の目がキラキラとまぶしい。
「「「はい、検討しマス(ますぞ)」」」
そう言ってネットの画面を見つめながら新たな品種を探索する3人だった。
そんな会議が連日行われる中、酒造所はドワーフ達によって着実に出来上がっていく。
「ドグラス、こっち(酒造所)の準備はほぼできたぞい。いつになったら米が出来るんじゃな。」
「「「えっ!!!」」」
ドグラスさんの伯父にあたるドラムスさんがドグラスさん達の元にやってきた。
この叔父さん、どうやら口より手が先に出る積極派(せっかち)みたいだ。
日本酒を造ることになったのでドグラスさん達の計画が決まらないうちに、他のドワーフを巻き込んで先に酒造所の整備をしていたらしい。
最初に俺が見ていた有名酒造メーカーのサイトを覚えていたみたいで、なんとなく似せて作ってみたとのこと。
案内されて中に入ってみるとその完成度にびっくり。
たしかドグラスさん以外のドワーフがネットに触れていた形跡が無いので、あの時1回見ただけで再現したみたいだ。
なんというか驚きしかないんですが。
ともあれ、酒造所は完成しているし、ドワーフ達も日本酒造りを今か今かと待ちわびている様子なのである。
ドワーフ達の催促する厳しい視線を受けてドグラスさんもムムさんも大弱りだったので、助け船を出すことに。
「取り合えず、酒米を何種類か買ってきますんで、それで酒造りを試してみて下さい。
気に入ったものが出来たらその米を作ることにしましょう。」
少しうつむきがちだったドグラスさんやドラムスさん、ムムさん達の顔が一斉にこちらを向き、目がキラキラしていた。
早速ネットで有名処の酒米を取り寄せることに。
日本全国から10種類の酒米を500KGづつネット注文しておく。
1年間で10銘柄を作ってもらえばちょうどいい加減じゃないかな。
1週間後、10種合計5000KGの米が届き、それに合わせて米麹やらもろもろ必要なものも揃ったのでワチャワチャの内に酒造りがスタートしたのだった。
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