第12話 カクヨム初公開です
「で、残り二つが、どんでん返しなのだな、どれ『胡蝶の夢が覚める時』からいってみるか」
「タイトルを他人の口から聞かされるとむずがゆいですね」
「そうだな、公開したところで反応は常に文字だ。聴覚は必要ない」
「そう考えると、こうして会話する行為は悪くないのかもしれません。社長じゃなくコアなファンの方だともっといいですが」
「心地よい言葉だけ伝えてくれるのは評論でもなんでもないぞ?」
「長所だけ聞きたいのです。いいところを見つけて伸ばされたいのです。褒められて成長するのです」
「いいところを伸ばし、短所をなくせばもっといい気がするのだが……さて、これも悪くはない。あえてSF的な世界観なので学生目線にこだわる必要もないだろうし、まあ、この世界観の中で十代前半の主人公でも面白かっただろうが」
「その場合、その子が技術的な理解をする描写に時間がかかりすぎます。短編ですからね、技術的な問題や気付きを語らせるには当事者が一番です」
「それでもVRやバイオスフィアの説明が少々、冗長に感じて終盤が急ぎ足だ」
「あえて起承転結のバランスを崩してみたかったのですが」
「読後感の不気味さや問題提起は感じられるから、これはこれでいいだろう」
「そう言っていただけるとホッとします」
「では最後『「転逃」ってなんですか?』か、転逃ってなんだね?」
「読んでみてくださいとしか……」
「……ふむ。文字遊びか」
「主旨としては、この世界こそがキャラメイクをして辿り着いた異世界かもしれないから、自分に備わっている特技を活かしましょうってことです」
「わかりづらい。きみの解説を聞いてみれば、なるほどとは思うが」
「ですよね。知ってました」
「でもそれを理解していても直せない、と」
「登場人物もシチュエーションも、気に入っていますからね」
「きみはもっと神であることを自覚したほうがいい」
「教祖を飛び越して、神?」
「物語にも登場人物にも生み出した責任がある。だが、凡庸な人物、つまらないセリフは問答無用で殺す覚悟を持つべきだ」
「創作の責任は理解してるつもりです。だからこそ、こちらの都合で彼らを、彼らの行動を無かったことにできません」
「短編ならそれでもいいが、長編になると一貫性を維持するのが難しくなるぞ?だからこそ多くの物語に於けるキャラクターは個性を重んじるのだ。口調、語尾、ファッション、行動、人物像は極端くらい明確にしたほうがいい」
「どんな個性もリアリティに欠け、想起されるキャラが浮かびますけどね」
「踏襲結構!なぜリメイクが求められるかわかっているのかね?流行は巡り、おっさんはもう一度青春をリトライしたいのだ!金ならあるぞ!」
「当時貧乏だった人が人生に成功して大人買いですか」
「ファーストとか今の作画でリメイクきぼんぬ」
「それ、理解する人どれだけいると思います?」
「儂の趣味はさておき、ではこの五本、公開するがいい!是非はともかく、きみの歴史の始まりだぞ!」
「黒い歴史にしか思えませんが」
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