2021/05/17:習慣を操る。――――――――――――――――――#自説

 どんな人にも毎日行っている習慣があるだろう。これが外部要因の物か自発的な物かはともかく、習慣は誰しもが持っている。


 例えば睡眠や食事は絶対に欠かせない習慣である。しかも毎日同じくらいに時間に行っているだろう。欠かせない習慣として、大抵の人間は学校または会社に通勤通学する。また、受験に向けて毎日毎日勉強し続ける人もいるだろう。他にも色々習慣はあるだろうが、個人差が強いのでこれ以上の例は上げない。


 三日坊主という言葉がある。これは習慣にしようと頑張った結果、三日しか続かなかったということだ。取り敢えず一週間小説を書き続けた私は三日坊主ではないことは明白である。ではなぜ三日坊主の人が居るのか、習慣にできなかった人が居るのか。私は一つ、仮説を立てた。


「新しいことに挑戦すること自体がストレスなのに、連続で続けられるはずがない。」


 ところで、毎日している訳ではないが偶にすることはあるだろうか。「木曜日は散歩する」なんていうのは抜きにして、気が向いたら行動に移すようなものだ。私はたまに、いつも使っている道路を外れ、異なるルートで目的地へ向かうことがある。一本だけ筋がズレると未知の風景があって、案外面白い物である。しかしこれを毎日しようとは思わない。何故ならルートは最適化できるからだ。毎日のように時間をロスするのは流石に如何かと思うし、ルートだって無限にある訳じゃない。


 閑話休題。前著の仮説を回避して新しい習慣を作る方法として、「たまにやっていたことを習慣的に行うように変えるのは、ほんの少しの努力で達成できるのではないか。」という仮説を立ててみる。「月に一回くらい突発的に筋トレする」なら、「週に一回くらい突発的に筋トレする」に変えても大した苦を感じないのではないかという話だ。よって新しい習慣を作りたいならば、取り敢えず一度やってみる事だ。そして二度としなかったならそれは習慣に成り得ないことだ。つまり一日坊主である。しかし、偶にでも再びやったならば、個人的に楽しかったのか、必要性を強く感じたか、いずれにしても続けられそうな行動である。


 人間は急には変わらない。それならば少しずつ変えるしかない。三日坊主だったから習慣にならないなんて悲観的になるより、十日スパンで三日坊主を繰り返していたら、それはもう習慣である。


 もう一つ、今までの話をぶち壊すようでなんだが、続かなかった理由を全て潰すという方法もある。高度なストレス耐性が必要だが、理由が時間や体力ではなく「面倒くさい」ただ一つなら、やる気も湧いてくるだろう。ただし、過ぎたことが後悔として理由になっているのなら、今からできる事に焦点を当てるべきだ。受験が終わった3月に「勉強頑張ればよかった」なんて考えても仕方ない。


 キリスト教には「明日のことはどうせ明日考えるんだから今日は今日のことを考えよう。」という趣旨の話がある。「今日一日一日を大切にしよう」という話でもあるのだが、習慣とは縁遠い話である。将来に不安を覚えたから将来のことを考えないなんて、事態の先延ばしでしかない。ただ「将来は確定していないのだから不安がるのは仕方ない」のは事実だ。しかし、習慣は将来においても継続している可能性が高い。つまり「将来をある程度定めることが出来る」のである。自分に将来の目標があるなら、目標に必要そうな習慣を手に入れるといいかもしれない。


――――――


 私は小説を書くことを習慣にしようとしている。しかし、私は小説家になる気は余りない。なぜなら、小説家を含むクリエイターという仕事自体が不安定な物だからだ。誰がプロとして収益を獲得し、出版され、世間に知れ渡るのか。潮流、人脈、機会、才能。確実に成功するクリエイター育成プログラムなど作り得ない。確実に成功する方法などどんな職にも無いと言われればそれまでだが、人生とは、目標に到達できる確率を少しずつ積み上げていくことである。自身で操れない要素が多い職一筋で努力できるほど、私は楽観的になれないでいる。


「そういや、お前の兄貴、受験どうだったん?」

「普通に落ちてた。流石に笑わんかったけど、予想通りではある。」

「夏休みの終わり位に焦りだしたとか言ってたっけ。俺らは反面教師にして頑張るか。」

「俺は余裕だから。」

「同じ轍を踏むんか?」

「鉄?」


 こういう話を聞くたびに、勉強があまり嫌いではない自分に感謝し、失敗を過度に恐れる私に辟易する。明確でない物は怖い。興味のある店はあるけれど、どんな店か判らないから訪ねられない。行動を抑制するこの癖を、黒板消しのように拭い去ってくれる習慣はないものか。

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