第4話 初めてのお友達

「冒険者!? アイラが!?」


「なんでまたそんなバイトを!?」


 あぁ、確かにそう思うのは無理も無いわ。自分で言うのもなんだが、私って見た目が小動物っぽいって割と良く言われるんだよね。


 栗色の髪は収まりが悪く所々跳ねてるし、華奢で痩せ気味の体は凹凸が少ないし、顔はやたら目が大きくてなんかアンバランスだし。


 とてもじゃないけど冒険者やってるなんて思わないだろうね。


「あぁ、もうバレちゃってると思うけど、ウチって子爵家とは名ばかりの貧乏貴族でね。恥ずかしながらバイトしないとやっていけないんだわ。学生の身で一番稼げるのが冒険者だから、毎日なにかしらの依頼を受けてるって訳よ」


 そう言った後、双子がなんか可哀想な者を見る目で私を見ていることに気付いた。


「そうか...アイラ...苦労してるんだな...」


「アイラ...なんて健気なのかしら...」


 そう言った後、急にリクが私の手を握って、


「アイラ、俺にも手伝わせてくれ!」


 そう言ったかと思えば、次はクウがリクの手を引き剥がしてから私の手を握って、  


「アイラ、私が手伝うわ!」


「クウ! 邪魔すんな!」


「リク! あんたこそ引っ込んでなさい!」


「「 ガルルルッ! 」」


「あ、あの! わ、私のために争わないで! 三人! 三人で一緒にやろうよ!」


 いきなり目の前でケンカを始めた二人を宥めようと、気が付けば私はそんな風に言っていた。



◇◇◇



「ところで二人は冒険者の経験ってあるの?」


 今は放課後。冒険者ギルドに向かうため、町の中を歩きながら二人に聞いてみた。


「いや、冒険者カードだけは作ったけどそのままだ」


「要はペーパー冒険者って訳よ。よろしくね! 先輩!」


「あ、そうなんだ...じゃあランクはFのままなんだね」


 ランクは最初Fから始まってAまでの6段階、その更に上にSランクがある。ちなみに私はCランクだ。


 F~Aまでは依頼を熟して功績ポイントを上げたり、認定試験を受けたりして上げることが可能だが、Sランクに上がるには国家的危機を救うなどの所謂偉業を達成すること、更にその国のギルドマスターや国王からの推薦も必要になる。


 そこまで到達する人はほんの一握りだ。ちなみにこの国には1人しか居ない。英雄と呼ばれるような人だ。見たことないけど、きっと凄い強そうな人なんだろうな。


「そういうことだ。アイラの足を引っ張らないようにするからさ、よろしく頼むよ」


「うん、分かった。こちらこそよろしくね」


「...ところで話変わるけど、アイラってもしかしたら学校で虐められてたりしてんのか? 答え辛いなら無理して答えなくていいけどさ」


「あぁ...いずれ分かることだから別にいいよ...確かに高位貴族連中からは貧乏をバカにされ、下位貴族連中や平民には軽く見られているんだ...もう慣れっこになっちゃったけどね...」


「なるほど...上からは叩かれ下からは突き上げられ、中間管理職みたいな立場に居る訳か...それはキツイよな...」


「うん、その例えは良く分かんないけど、そんな感じかな...」


「そんなの許せないわ! アイラ! 明日からも私達と一緒に居なさい! 虐めるような卑劣な輩から守ってあげるわ!」


「そうだな。俺達と一緒に居れば、そういった連中も手を出せないだろ」


「...二人ともありがとう。とっても嬉しいけど、本当にいいの?」


「いいのよ! 私達もう友達でしょ?」


「そうだぞ。遠慮なんかすんな」


「じゃあお言葉に甘えて...ねぇ、そう言えばずっと気になっていたんだけど、二人はなんでこんな中途半端な時期に転校して来たの?」


 あれ? 二人が固まっちゃった? これ聞いちゃいけなかった?

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