第3話 双子の正体

 絡んで来たのは、いつも私を虐めて来る高位貴族連中の内の2人だ。


 確か2人とも伯爵令嬢だった気がする。


「ちょっと! 無視するんじゃないわよ! この貧乏人が...って、あれ!?」


「舐めた真似すると後で痛い目に合わすから...って、はぅ!? 」


 私がどうしようかと迷っていたら、無視されたと思い込んで熱り立って来た。だが、そこでようやく双子兄妹が一緒に居ることに気付いたらしい。


「なんだこの失礼な女どもは?」


「本当に下品よね。お里が知れるわ」


 あわわ...そんな煽るようなことを言ったら...


「な、なんですってぇ!? あんたらどこの誰よ!?」


「ふざけんじゃないわよ! 何様のつもり!?」


 ほら、こうなった...でもケンカを売るのは止めといた方が...仕方なく私は説明することにした。この2人には現実を知って貰った方がいいだろう。


「あの...こちらは本日、ウチのクラスに転校して来られました、ベリンガム辺境伯のご子息とご息女のお二方でございます...」


「ひっ!? う、ウソ!? あ、あの辺境伯様!?」


「へっ!? な、なんだってそんな方々が!?」


 2人は途端に真っ青な顔になった。そりゃビビるよねぇ...だってベリンガム辺境伯領といえば、王都から馬車で約1ヶ月も掛かるような僻地でありながら、その財政力と軍事力はこの国の王家すら凌ぐって言われてんだから。


 寧ろなんで独立しないのか? と不思議に思われてるくらい栄えている領地だもんね。そしてそこの領主様で女辺境伯、つまりこの双子のお母さんに当たる人は物凄い魔力の持ち主で、大魔法使いって呼ばれるほど凄い人なんだよね。そんな人の息子と娘に無礼を働いたりしたら...


「「 た、大変失礼致しました~! 」」


 うん、脱兎の如く逃げて行くしかないよね...


「なんだったんだ? あれ?」


「さぁ、春先になるとああいうのが増えるんじゃない?」


 いやもう初夏だけどね...



◇◇◇



 クラスに戻ると、食堂での一件が広まったのか、全員が私達を遠巻きに眺めている。双子の地位が高いってことを意識したのか、クラス中が浮き立った雰囲気だったのは落ち着いたみたいだ。簡単に話し掛けて良い相手ではないことを理解したんだろう。


 私は今更なので態度を変えるつもりはないけどね。双子もそんなことはきっと望んでないと思うし。


「なぁ、アイラ。今日の放課後暇? 良かったら王都を案内して欲しいんだけど」


「あ、私も私も! 一緒に連れてって~!」


「え~と...放課後は...」


 そこで私はチラッと隣の子を見る。


「あ、アイラさん! やっぱり放課後の当番を変わって貰うのは申し訳ないんで、私がやるっす! 気にしないで欲しいっす!」


「うん、いいよ。ただし、私もバイトがあるからあんまり時間取れないけど、それでもいいなら」  


「「 バイトって? 」」


「冒険者活動」

 

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