第4話 お買い物1

雅が家に来てから、どれぐらい時が経ったのだろうか?


俺は部屋に飾ってあった、日付が遅れているカレンダーを確認する。


まだ、半日も経って無かったわ。


半日も経っていないはずなのに、色々あって疲れたわ。


てか、この生活あと一か月もするつもりか?


一人の時間が一か月もないって考えたら、普通にやばくね?


絶対耐えられないわ。


「お兄ちゃん」


そんな事を考えていたら、雅に呼ばれた。


「さっき冷蔵庫確認したらスッカラカンだったから、お買い物に行こうと思うんだけど」


「いってらっしゃーい」


「まだ話の途中だよ!」


「雅が買い物に行きたいって話だろ?なら行って来ていいぞ」


「そうだけど違うの!」


「?」


合ってるけど合ってないって矛盾してね?


行きたいなら行けばいいじゃん。


雅だってもう立派な高校生だし、一人で買い物ぐらい出来るだろ。


出来ないの?


「私が言いたいのは、お兄ちゃんと一緒にお買い物に行きたいって事」


「パスで」


「なんでよ!」


「外行くのめんどくさいから」


「そんな理由で?」


「大事な理由だ」


これは俺の人生のポリシーでもある。


めんどくさい事はしない。


やりたくない事はやらない。


これだけは決して曲げることが出来ない。


絶対にだ!


「じゃあ、スマホも返さない」


「よし、行こうか」


「お兄ちゃんって単純だよね」


雅がジト目で俺を見つめる。


俺が単純?そんなわけないだろ。


俺はただ自分のポリシーに従ったまでさ。


胸に挟まっているスマホを取り返したいなら、雅のいう事を全力で聞けと。


そんなポリシー入って無かったって?


いま追加したからいいんだよ。


俺は一分一秒でも早くスマホを取り返すために、急いで服を脱ぎ、着替えを始める。


「服脱ぐなバカ!」


雅の前で着替え始めたら、大声で怒られた。


「従妹なんだし、俺の裸ぐらいよくね?」


「よくない!!」


どうやら本人は嫌だったらしい。


しょうがないので俺は、雅の視界に映らない所でひっそりと着替える。


「よし、行くか」


「なんか、お兄ちゃんがたくましく見えるかも」


「まあな」


俺はとびっきりのイケボで答える。


「じゃあ行こ」


雅には俺のイケボは刺さらなかったみたいだ。


まあそんな事は気にせずに俺は雅の後ろを、ついて行く形で扉を開け外に出る。


心地よい風が、俺の傍を通り過ぎる。


バイトに行くときは外に出るのが憂鬱で気づかなかったけど、春の風って気持ちいいんだな。


「お兄ちゃん早く行こ」


扉の前でボーとしていたら、先に下の階に降りていた雅に呼ばれた。


俺は扉の鍵を閉め、急いで雅の方に駆け寄り、二人で近所のスーパーへと向かった。










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