第6話 国と国の狭間で1 ラディアの卵



 これはとある国に向かおうとしていた途中でのお話です。


 いつも通り相棒のジープを走らせていました。辺りは真っ暗な森の中で少しばかり日差しがさしてくるところでした。え?なんでそんなところにいるかって?決まってるじゃないじゃないですか、、、。迷ったんですよ。シクシク。前世でいかにスマートフォンのなんちゃらマップに頼っていたのがわかりますね。


ちょっと進んだら出られました。実は計算通りだったりして。






 なんかよくわからないところに広場がりました。無駄に人がたくさんいます。50人くらいいます。数えてみると50人ピッタリでした。何をやってるんでしょうか?




「あの。こんなところで何やってるんですか?」




「あれ見ればわかるだろ。」


 なんか冷たい返事をされました。ふと前を見てみました。




「さあさあこの手を使わずに卵を立てられた人には大金貨1枚だよー。挑戦は一回銀貨1枚だよ。」




「クッソーなかなか立たねえ。」




「はい。残念!銀貨一枚ね。」




「つぎだつぎ。」




「ちなみにあいつだけ十週目なんだよな。」


 えー、、、。ただの馬鹿じゃ、、、、。






 あれってコロンブスの卵じゃないんですかね。卵の下を潰して立てるって方法ですよね。


 なんで誰も気が付かずにやってるんですかね。そう考えるとコロンブスってすごいんですね。なかなか上手い表現ですもんね。




「今度は私がやります。」




「悪いことは言わない。お嬢さんやめといた方がいい。今まで俺を含めて50人以上失敗してる。お嬢さんには無理だ。」




「万が一立たなくても腰に刺さっている者を抜かないでね。」


 ふふふ。ここにいる全員なめてやがりますね。私はコロンブスの卵を知っているんですよ。楽勝ですよ。




「お嬢さん名前は?」




「ラディアです。」




「みんなラディアさんが挑戦するってよ。」


 応援歌に包まれました。めちゃくちゃうるさいですね。まあお祭りってのはいいですよね。元日本人なのでこういった感じは好きですよ。




「ほい。」


 私は卵の下を潰して見事に立たせることに成功しました。ドヤ!




「うおおおおおおお!スゲーこんなやり方があるなんて。」


 周りが騒がしくなります。主催者さんに私は手を伸ばします。




「大金貨1枚くださいね。」




「くうううううううう。」


 と悔しがっていましたが突然何かをひらめいたかのように騒ぎ出します。




「これは卵を立たせてるのではない!卵の殻を立たせているんだ!これは失格だ!」


 なんとこのような姑息なことを言い出したのです。なんて卑怯な!




 このような卑怯なことをいう主催者さんに周りも黙っていません。様々な形で主催者さんを説得させようとしたみたいですが失敗に終わりました。


 例えば






「卵の殻だって生物てきに見れば卵なんだぞ!卵殻っていうんだぞ!」






「ふん。この辞書には卵殻は卵を包む外側の強固な卵膜と書かれているので違いますよお。残念でしたあ。」


 だったり、






「おら、普通に立ったぜ。」






「いやいや。これは立っているとは言わないでしょ。残念でしたあ。」






 こんな感じにめちゃくちゃむかつく顔で言ってくるのです。むかつきますよね。しかしむかつくだけで終わる私ではありません。道には迷えど答えには迷わないそれが葬儀屋なんですよ。






「わかりました。卵を立たせればいいんですよね?」






「やれるもんならやってみな。手で支えるのは禁止ね。」






 私は卵を持ってジープに戻ります。必要な物を取りにいくために。


「なんだ。てっきり自信がなくて逃げたのかと思ったよ。」


 うわー。めちゃくちゃ調子乗ってますね。別に私逃げても恥じる点ないんですが、、、。






「準備万端できたので。念のためもう一度聞きますが卵を立たせればいいんですよね?」






「そうさやれるもんならね。」


 そして私は卵を置きます。見事に立ちました。




「こ、これは卵ではない。反則だあ。」


 え?この人の卵の定量って何なんでしょうね。生じゃなくてゆでになっただけなんですが。






「スゲーラディアさん。これは言い逃れできまい!」






「クソおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」


 主催者さんは悔しそうな雄たけびをあげながら去っていきました。大金貨はちゃんともらいましたよ。




「私は先を急ぐのでこれくらいで失礼します。」


 と私も行こうと思ったのですが、、、。






「ちょ待てよ。こういうのはみんなで分け合うってのが常識だろ。」


 と十回以上失敗したアホさんに引き止められました。






「え、なんで?」






「あんたこそよく考えてみろ。俺は銀貨十枚以上払ったのに利益なしであんたは一枚も払ってないのに大金貨1枚だぞ。不平等だ!」




「えーと。真面目に考えていってますか?」


 私には理解できない考えて方ですね。






「当たり前だろ。それにあんたがやんなくてもいつか誰かができただろ。偶然最初にできたからっていい気になるなってことだ。」


 このセリフを聞き私は勝ち誇った顔をしながらこう返しました。




「誰かがやった後ならば誰だってできますよ。何事も最初にやるには閃きと行動力が必要なんですよ。」


 といつか誰かがいったセリフをまねします。




「ぐぬぬぬぬぬぬぬ。」


 そして私は銀貨59枚を置いてジープに乗り込んでその場を去ります。何事も最初と最後が肝心ですからね。




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