第7話 百万人の上で



 皆さんは善悪というものをどれだけかんがえたことがありますか?人間の行いには多くの場合良し悪しが付きます。例えば戦争ですね。自国からしてみればが貧しいので奪うしかない。ゆえに国民からは正義の目で見られます。しかし他国からすればとんだ迷惑です。奪われた国でけではなく、いつ攻められるかびくびくしなければなりません。他も視点から見れば全然違うのです。何が良くて何が悪いなんて簡単には決められない。


これはそういったお話です。








 段々と寒くなってきたが故に少し羽織るものが欲しいななんて考えながら白色のコートを羽織ったけまだ寒くてジープから降りたくないと一人駄々をこねている自分でも本当によくわかんない葬儀屋のラディアです。どうもこんにちは!こんばんわ!お久しぶりです。周りのは何もなく薄茶色の景色が広がります。天気も灰色。何やら不吉な予感がします。


 今度国はそこまでやばいのでしょうか。やばい葬儀って一体?






 そうですね。国につくまではなんかの豆知識を語っているのですが今回は着いているので時間なんてありませんね。まあ私が語りたいので少しだけ。






 地球ではあらゆる文化がありました。有名な例では中国の食事では完食せずに少し残すという文化がありますね。本当かどうかは行ったことないのでわかりませんが。そういったように地球でも文化の違いがあるのですからこの世界はもっとかけ離れた文化があります。


 いろいろな種族がいるので割と当たり前なんですがね、、、。






 さて時間稼ぎもここまでにして国に入るとしますか。やだやだやだやだ寒いじゃないですか。くどいですね。もういい加減降りますよ。トホホ、、、。








「な、何もないじゃないですか。何なら誰もいませんよ。」


 一週間前に依頼書を受け取ってこの国にきました。少し大きな茶色い国門に入ろういたんですが門番さんが誰もいなかったんです。なので国門にレイピアを刺してくりぬいたんですが目の前に広がったのはポツンと佇む白色のお城でした。








「と、とりあえず依頼主様のところに行こう!うん!そうしよう。」


 いや国に誰もいないと焦りますよ絶対。








 お城につくと流石に門番さんみたいなのが二人いました。よかったーと思ったのも束の間。






「貴様!何者だ!」


 なんと槍をむけられました。呼んだのはそっちでしょうに。








「そ う ぎ やですが?」


 わかりやすく一文字ずつ言ってあげました。あら、なんて優しいの!








「噓をつくな!第一この国にでは誰が死のうが葬儀屋なんて呼ばぬわ!」


 はえ?あれれれれ?いや国を間違えることなんて一度もなかったんですが。


 私は動揺したまま手錠をされ、地下に閉じ込められました。あれれれれ???








「本当に申し訳なかった。」


 なんかよくわからないおじさんがもっのすごい顔で謝ってきました。まあ別になにもされててないのでいいんですが。それに有益な情報が手に入りましたしね。






「あの、早くここから出していただけませんか?」






「失礼いたした。国王がお隠れになったことは私以外知らないものだからな。」  


 とりあえず出られました。時計を見るとなんと3時間も閉じ込められたたことになります。






 そのおじさんの後についていくと大きな部屋がありそこには大きなテーブルの上に暖かそうな料理が並べてられていました。






「葬儀屋様。本当に申し訳ない。私の名前はアンダーというこの国の大臣だ。」








「まあそれはいいとして、何でこの国は何もないんですか?持ち物検査さえされませんでしたよ?不用心すぎませんか?」








「それはだな葬儀屋様。この国は奴隷しかいないのだ。あとは私とあの門番たちと監視人たちだな。」






「要するに警戒する必要なんてないってことですか。なるほど。ん?奴隷!?」






「この国は奴隷の国プエルといわれていてな。言葉の通り国民が我々を除くと全て奴隷なのだ。」


 明らかにきー狂った国じゃないですか。不吉な予感的中。全然嬉しくないし!






「で、依頼は国王様の葬儀ですね?」






「その前にこの国がなんでこうなったらか聞いてくれるか?」






 機嫌は最悪並みに悪いですが、、、。私もプロです。そんなこと如き気にしません。


「手短にお願いしますね!」






 ・・・。ほらね気にしてないでしょ?


 こうしてアンダーさんは語り始めました。








 5年前昔はこの国とても豊かで発展したそうですが、王様が変わったときに国も少しずつ変わっていきました。王様は英才教育のかたぐるしさのせいでどんどん狂っていってしまいました。ついに王様は誰も信じられなくなってしまいました。家族も大臣も国民も。そこで王様はとんでもないことを言い出しました。






「私以外奴隷になればいいのだ。」と。






 そして王様は兵士たちにすべての国民を捕らえるように命じました。当然のこと国民は反抗します。しかし武器を持っていて訓練した兵士たちには勝てるわけありませんでした。家を焼いていき逃げていく国民をとらえました。国の外に逃げようとした者たちは殺されました。次々に捕まる国民たち約100万人。地下の収容所に入れられました。








 捕まらなかったのは兵士の家族と逆らわなかった大臣のアンダーさんのみでした。


 そして奴隷となった全国民たちは過酷な労働を課せられました。王様はその後地下の元国民の作った色々なものを自分の為に使い贅沢をしまくったそうです。しかし原因不明の病気で亡くなったそうですね。一昨日のことでした。






「私はあの日を後悔している。私は自分の命のために妻を見捨ててしまった。その妻は一か月前亡くなったんだ。あいつのせいで。これ以上は国民を苦しめる必要なんて何もない。」






「・・・。なるほど、依頼は奥様の葬儀ですね?」






「そうだ。あんな奴の葬儀なんてする必要どこにもない。今日国民たちを全て解放させる。明日からこの国は生まれ変わるるんだ。境目として妻の葬儀をやって頂きたいんだ。」






「国民から非難の嵐がきそうですね。」






「それは覚悟しているし、当然のことだ。彼らにいう権利はある。」






「・・・。ちょっと地下に行ってみてもいいですか?」






「構わないが、なせだ?」






「この国の状況を知りたいからです。葬儀にはあまり関係ないですが遺族の方に関係しているのであれば仕事ですからね。」






「わかった。護衛をつけよう。気が狂った国民も多いからな。」






「ありがとうございます。」






 美味しいものを食べてはずなのにどんどん食欲がなくなって来てしまいました。


 そういう話は食事が終わってから聞きたかったですね。なんだかとても疲れました。


 取り敢えず行ってみるとしましょう。約束もあるので。






「行ってきみます。護衛の方お願いします。」






「ああ。」






「なんだよ。さっきの女じゃねーか。」






「うわあ。」


 ここって本当はこの人たちしかいないんじゃ、、、、、、。








 階段を降りて地下の収容所に向かいます。とっても暗くて電気代をケチり過ぎてるのではと思うぐらいでした。それにとっても汚く掃除してないだろという感じの場所でした。すっごく臭いです。生ごみのにおいがしました。








 収容所に着きました。一階と二階に分かれていました。上からの見張るための二階と国民たちは働く一階。果てしないほどに広がっていました。流石100万人もいるだけあります


 ね。






 私が入ってきた瞬間何かに怯えたようにこちらを見て見たと思ったらすぐに作業に戻りました。そうでしたね。王様が亡くなったのはアンダーさんしか知らないんですよね。


 だってアンダーさんが殺したのでしょうから。








 ふとそんなことを考えてると向こう側からアンダーさんが現れました。






「諸君、王様は一昨日亡くなられた。これで自由だ。」






 場内は水を打ったように静かになりました。それはそうでしょう。五年もとらわれていたのに自由だなんて言っても戸惑うだけでしょう。罠だと疑うかもしれません。少なくとも私はそうします。それは兵士も同じでした。






「おい、どういうことだ。そんなこと聞いてないぞ。」






「では、なぜ葬儀屋様を呼んだと思っている!考えてみろ。」






「俺たちは今の生活が気に入ってるんだ!余計なことするんじゃねえ。」






 そういいなんと護衛であるはずの門番さんが私に剣を向け襲いかかってきました。


 え?なんで私?なんて考えていましたが、私はその剣を優雅によけてレイピアを抜き門番さんの剣の持ち手めがけて打ちます。剣の持ち手にあたった衝撃から門番さんは剣を落としました。


 ふふふ、伊達に異世界無双に憧れてたわけじゃないんですよ。








「落ち着け!国民をとらえる国なんて聞いたことない。それは国ではない。国は国民あってこそだ!」






「私たちは本当に自由なんでしょうか?」






「ああ。そうだ。諸君らは自由だ。」






 こうして国民たちは無事解放されたのでした。めでたしめでたし、、、。








「そんなこと認められるかあああああ。」


 とハッピーエンドに水をさす輩がいます。門番さんたちですね。そもそもこの門番さんたち王様の顔知ってたんでしょうか?






「葬儀屋がいなければ葬儀もできない、さらばだ葬儀屋ああああ。」


 え、、、。私を殺しても意味ないと思いますが、、、。結構ヤバい人たちですね。


 私は剣を弾き門番さんたちを転ばせます。そして思いっきり蹴りました。剣をですよ。






「ぐう。なんで葬儀屋のくせーに鍛えてあげた騎士より強いのだ。」






「鍛えていたのは五年前まででしょうに。」






「すごいな。葬儀屋様。」








 油断していたわけではありません。死角だったので油断していてもよけられなかったでしょう。少し遠くにいた兵士さんが弓矢を放ちました。私をめがけて。しかしそれは私には届きませんでした。アンダーさんがかばってくれたからです。矢はアンダーさんの心臓に刺さります。






「え?」






 その時私は現実を受け入れるまで少し時間がかかってしまいました。アンダーさんは最後の力をっ振り絞って一階の扉のスイッチを押します。そしてこう叫びました。 








「今のうちに逃げるんだ。さあ早く。」


 人々がいっせいに動き出します。私も一階に飛び降り外へでました。一番最後の方に。それまでは矢をはね返し続けました。


 どこぞのの映画のように。






 外に出た後私は出てきた扉を閉めます。兵士が出てこないように。そして国の外に逃げます。ふう、今回はかなり危うかったですね。






「葬儀屋様。ありがとうございました。」






「いえ。御礼ならアンダーさんに言ってください。私は依頼を終わらせないといけないので。」






「危ないですよ。やめといたほうがいいです。」






「仕事なので。それに約束もあるので。」






「危険を冒しても守る約束って?」






「それはですね、、、」








 だって明らかに逃げてきた人間が100万人いないんですもん。私は国の最初に閉じ込められた地下牢に戻ります。








「どうも昨日ぶりです。」






「久しぶりだな葬儀屋殿。約束を守ってくれたこと感謝する。」






 私がそこで見たのは元気な男性たちの姿でした。


 その男性が全て語ってくれました。つまり話はこういうことだったのです。








 この国は奴隷の国と呼ばれていて戦争孤児やお金に困った人間を奴隷という形で雇入れ最低限の生活をさせるという国だったそうで、この国には国民が元々奴隷しかいなかったのです。国も王様と大臣、兵士が国外から雇われ管理するというのが仕事でした。






 五年前即位した時王様はふと疑問に思いました。奴隷たちは幸せなのだろうかと。


 そう考えた王様はこの国の奴隷たちを解放しようと考えました。もちろんのこと大臣や家臣は反対します。それはそうでしょう。なぜならここにいるのは訳ありの奴隷たちなのですから。解放したところで生きていくすべがないので結局のところどこかで野垂れ死ぬかまたここに戻ってくるかになってします。






 五年間王様は心優しく、権力を持ってしまっていたため猶更悩んでいつの間にか狂ってしまいました。まずは反抗する大臣たちを牢獄に閉じ込められました。私が閉じ込められた牢獄。壁を挟んだの反対側に彼らはいました。そして王様は自分が大臣だと思い込み葬儀屋に自身の妻の葬儀を依頼した後奴隷たちを解放しました。






「王はどうなった?」






「亡くなりました。」






「そうか、、、。あの方は誰よりも心優しい方だった。我々はあの方の役にたつことが出来なかった。実に無念だ。」






「この国の人たちは王様の顔を知らないんですか?」






「そうだな。面会は我々しかしたことないからな。」






「葬儀屋殿我々の依頼をもう1つ受けてくださるか?」






「王様の依頼ですね?」






「ああ。頼めるか?」






「ええ、もちろん。奥様と一緒にですね。アンダーさんからの依頼ですからね。」






「ああ。私がアンダーだからな。」








 こうして私は遺体を回収しに地下に向かいます。その時です。私が倒した門番さんたちが現れました。剣を持っています。






「何ですか?やる気ですか?」






「姉御おおお。弟子にして下せえ。」






 あれ?せっかくの雰囲気が、、、。










 私は二人の葬儀を行います。え!弟子?何のことですか?


 まあ冗談は置いといて。待遇が良すぎても悪すぎてもよくないってことですかね。


 私は葬儀を行いながらそんなことを考えていました。もしかしたら性格が最も関係しているのかもしれませんが。結局100万人の上にたつことは責任がとんでもなく大きいってことですね。それだけ命の責任があるってことですから。






「ありがとう。葬儀屋殿。これは報酬の大金貨5枚だ我々はこれからもここの奴隷たちを管理していくつもりだ。」






「ありがとうございます。そうですか、この国はこれ以上は発展してほしくはないですが、、、。」






「そうだな。訳ありの奴隷しかいないからな。」






「・・・。それでは、さようなら、またいつか会いましょう。」






「ああ、気を付けてな。」


 私はジープを走らせて国の外に向かいます。昨日と同じく薄茶色の風景で灰色の天気が広がっています。私の何とも言えない気持ちを表しているのかもしれません。さっきはまた会いましょうとは言いましたが本当はもう二度行きたくはないですね。








 私にはなにが正しいのかなにが悪いのかがわかりません。大きく言えば奴隷を作り出してしまうこの世界が悪いのでしょうが、そんな世界にために命をかけた王様がいます。一部の人は逃げ出したいと思っていたそうですがきっとまた戻ってきてしまうでしょう。小さく見ると誰かが悪いようにみえて誰も悪くないという結論にたどりついてしまいます。このような待遇を生み出した世界、国々、人々全てが悪いのですから。








 風のうわさで聞いた話ですが私があの国を経った一か月後あの国は正義を自称する国に滅ぼされたそうです。そこの奴隷たちも正義を自称する国に引き取られたそうです。ホント世の中なにがあるかわからないものですね。私は次の国に向かうのでした。


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