第30話 閻魔は王国の面々にシャラの罪を全て背負わせました

そして、残りの1万人を適当に裁いたところで諸悪の根源コニーらが引き連れられてきた。


「閻魔様。私は一人も殺しておりません」

自身たっぷりにコニーが言った。


「それよりも地界でのうのうとしておるシャラをひっ捕まえて、無限地獄に送って下さい。あやつめは私を始め可愛い娘たちも全て殺した悪逆非道な鬼なのです」

「ええい、うるさいわ」

憤怒の姿で閻魔が立ち上がった。


「ヒィィィぃ」

「元はと言えば、すべての元凶は貴様がシャラと交わした約定を破るからいけないのではないか。貴様さえきちんと守っておればシャラが脱獄することもなく、地獄は平和だったのだ。貴様のせいで我々がどれだけ被害を被ったか判っているのか」

閻魔の手は怒りで震えていた。


「そもそも、事の起こりは貴様がシャラを騙して生贄を代わらせたことにあろう。あやつが背負ったノルディン族1万人殺害の件はすべて貴様に背負わせる」

「そ、そんな」

コニーが震えて言った。

「でも、私はそもそも国の命令で生贄にされたのです。王妃様らにも責任があると」

「何を言っているのコニー。勝手に振らないで」

マティルダが必死に逃げようとする。


「ふんっ。初めてまともなことを言ったな」

「えっ」

王妃らは唖然とした。

「国の指導者らが罪を共有するのは当然じゃ」

「えっそんな。私は一人も殺しておりません」

閻魔の言葉に必死に王妃が反論する。


「よくそう言う事が言えるな。貴様がクローディアをいじめるたびにシャラが荒れて地獄は多大なる被害を受けたのだ。貴様にも今回の一因はあるのじゃ。何を他人事宜しく思っておるのじゃ。元々シャラとの娘クローディアを皇太子の婚約者にするという約束を破ったという大逆もある」

「閻魔様。高々平民との約束破りが何で大逆になるのですか」

皇太子が食ってかかった。


「はんっ。貴様がすべての元凶だろうが。そこのアデラなどという小娘に勝手に乗り換えよって。心持ちの腐ったアデラなどどこが良いのか儂には判らんが。貴様がクローディアから乗り換えるからこのような最悪の事態になったのだぞ。シャラの地獄の門突破という前代未聞の神への反逆行為を引き起こした罪を大逆というのだ」


「では、何故シャラは罰せられないのですか」

立ち直ったコニーが詰め寄った。


「ええいね。穢らわしい、寄るな」

よってきたコニーを閻魔は張り倒した。


「そもそも、今回の件は18年前、シャラが生贄になる前に、シャラの娘のために自らを犠牲にするという尊い行いに対して神ゼウスが感動されシャラと約束されたのだ。シャラの娘クローディアが不幸になったらシャラを復活させると」

一同絶句した。


「すなわち、シャラの行いには正当性があり、不問。貴様らの行いはその神の好意をも踏みにじる行為であると神ゼウスもお怒りである」

閻魔は一同を見渡した。


「すなわち貴様らは神の怒りをかったという事で罪は2倍になる。なおかつねシャラが行った罪も全て貴様らが負うこととなる」

「そんな・・・・」

アデラは泣き出した。


「ノルディン族1万人、プラス、地獄でのシャラの犯した9万人分。プラス、今回のマーマ王国軍殺害1万人。王宮その他での殺害1万人分の合計12万人分の2倍24万人分をコニー、ブルース、アデラ、アーノルド、マテイルダ、アーサーの6人で分けることとする」


「そんな」

アデラが悲鳴を上げた。


「まあ何百年かかるか判らないが、せいぜい精進して勤め上げるのじゃ」

閻魔はそう言うと6人を無限地獄に叩き落とした。

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本日3話目です。

ここまで読んで頂いて本当にありがとうござました。

明日で完結です。

感謝に耐えません。

者ラザール帝国記触りの部分、純情無垢なシャラザールが非情になっていくさまが判って頂けましたでしょうか。でも、ここでもどうしよもないシャラザールの一端が至る所に溢れているような気がするのは私だけでしょうか。

また、第二期も考えているので、続き読みたいと思われる方はブックマーク願います。忘れた頃に再開します。

恋愛と言うけれど、振られて終わってしまった。2期では当然恋愛対象も登場します。

シャラには冷たくされそうですが………・

次回最終回シャラザールの謂れです。ぜひとも楽しみにして下さい。

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