第三章 シャラは愛しの娘の危機に地獄から蘇ります

第10話 救国の英雄として犠牲になったシャラは天国へ行けると思っていたのに地獄へ叩き落されました

ここまで読んで頂いてありがとうございます。

生贄にされそうになっている娘のクローディア。しかし、シャラは神様との契約にも関わらず、中々現世に戻れません

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シャラは生贄として命を失った後、天国でのんびり出来るだろうと思っていた。確かにシャラは聖人君主のような生活はしていなかったが、国のために命を捧げた者は天国に行けるだろうと。震えていた親友の身代わりにこの身を犠牲にしたのだ。神様も考えてくれるだろう。


「何を甘えたことを言っておる。貴様の行き先は地獄に決まっておるわ」

その甘い考えは地獄の門番、閻魔大王の一言でもろくも崩れ去った。


「な、何故だ。私は自国の皆を侵略者から守るために生贄となったのだぞ」

「何をふざけたことを。貴様は1万人もの前途あるノルデイン族の者達を虐殺したのだ」

「はいっ?ノルディンらは侵略者だろうが」

「それは貴様らから見た意見であろうが。彼らにとって生きるために、仕方なしに侵略したに過ぎない」

「えっ?????」

シャラにとってそれは考えてもいなかった意見だった。


それは確かにノルディン族にとって、侵略すること自体が生きていく術で、それが正義かも知れない。でも、それで殺されたらたまったものではないではないか。その疑問にも閻魔は答えてくれた。


「確かに、生きるためと言って人を殺して良いわけではない。当然、生きるための人殺しも犯罪だ。殺した数だけ罰は受けてもらう」

至極当然という顔で閻魔は答えた。


「殺した数だけ?」

シャラは考えた。ということは殺した数だけ罰を受けるということ?


「当然だ」

「ということは・・・・・」

シャラは青くなった。シャラは爆裂魔術でノルディン族の大軍を殲滅していた・・・・


「人殺しは人殺しだ。貴様は1万人も殺した史上類を見ない虐殺者だ。その罪は無限地獄行きに決まっておる」

閻魔の言葉にシャラは仰天した。


「いや、確かに1万人戦士を殺したが、奴らは戦士だぞ」

「戦士だろうが人妻だろうが1人は1人だ。貴様は1万人もの人を殺したのだ。その罪はとても重い。かつて神は言われた。目には目を手には手を。殺しには殺しを。貴様は無限地獄で1万人分殺されないといけない」

閻魔は悪魔の宣告をした。


「いや、ちょっと待て」

シャラは慌てた。1万回も殺されるのはさすがのシャラでも嫌だ。というか、シャラはまだシャラだ。百戦錬磨のシャラザールではなかった。1回死ぬのもとても痛かった。それが1万回も殺されるのは嫌だ。というかか弱い乙女に1万回も死ねってどういう事だ。閻魔はうら若き乙女を苦しめる趣味があるのか。シャラは信じられなかった。


「何を申しておる。1万回も殺されないといけないのだ。待っている暇はないわ」

閻魔はボタンを押した。


シャラの足元の地面が割れてシャラは地獄へ叩き落された。


「話が違う!」

シャラの叫びは、しかし、閻魔までは届かなかった。

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