第27話 エロフ

 6人となった一行はさらに西進する。

 植物に詳しいラウネに導かれ、植物とそれに群がる虫を採取していく。

 たまにラウネが花の部分で虫を捕食していたりもする。


 「微笑ましいわぁ。尊い。」

 虫を食べてるところを見て尊いなど、レティシアくらいしか言わないだろう。


 「カブトキング!げっとだぜ!」

 ラウネの枝に止まったカブトムシの魔物、その上位種であるカブトキングを鷲掴みにするレティシア。


 「え?なになに?栄養が足りなくて寄ってきた?アルラウネの蜜は極上の栄養?」


 「でもね、それは流石に絵面が良くないので却下ね。」

 想像してみると良い。

 大きめのカブトムシが、魔物とはいえ少女の股間に身体を埋めている姿を。

 


 「シア、言葉わかるのですか?」


 「なんとなく?」


 「ナニソレコワイ。」

 それもそのはず。

 虫の言葉がわかるという事は、夏や台所の黒い悪魔……にも有効というわけで。

 アレの言葉がわかってしまうと恐怖でしかない。

 普段何を思っているのかとか、叩かれたり殺虫剤等でDEATHする時に何を思っているのか……

 恐怖でしかないだろう。



 先程スプラッシュで滴っていた草を取り出す。

 「これで我慢ね。」

 カブトキングは砂漠でオアシスを見つけた旅人のように、それを貪り飲み干していった。


 「あのう、嫁も呼んで良いですか?と言ってる。」

 まだスプラッシュの滴った植物は保管しているので問題はない。


 「私達、一体何を見せられているの?」

 ユーリは呆れる他なかった。


 他の面々も現実を逃避し採取に励む事にした。


 その後、カブトキングの嫁、カブトクイーンをもゲットし現在は空間収納で休んで貰っている。


 さらに西進する。そろそろエルフ領へと差し掛かる頃合いであった。

 ビアン王国とは具体的な国境があるわけではない。

 森のこの辺はエルフの自治区というのが人間、魔族共に共通認識として存在している。


 人も魔族も森は不可侵であるが故の結果である。

 エルフはエルフで独自の結界が張って在り、通常はすんなりと入れたりはしない。

 幻術のようなものにかかり、いつのまにかエルフ領から離れるようになっている。

 それを突破する者も当然存在するため、聖女の結界のように特定の者を弾く結界がさらに内側には張られている。


 流石に聖女であるレティシアが万能過ぎて、それらをすり抜ける事は出来てもパリーンと割れる事はない。

 気付けばエルフ領に入っている、その程度である。

 

 そんな気付けばエルフ領というところで異変を感じる。

 結界内だというのに魔物の気配がするのだ。

 エルフがどのような条件で結界を張っているかはレティシアにはわからない。


 だから共存のためにある種は素通り出来ても不思議はないのだ。

 しかしこの存在は流石におかしいと思うレティシア。


 彼女らの眼前十数メートル先には人影が見える。

 念のためレティシアは聖女の結界を3メートル程先までの円で張った。


 「エロフ?」

 レティシアがそう呟いてしまうのも無理はない。

 

 数人の女性エルフが、定番のオーク達に……

 まぁあのエロだトレントの時のように色々されていた。

 

 「あ、た、たすけ……て。」


 その中の一人、レティシアと目があったエロフから救援を要請された。



 「イ、いきすぎてもう無理……」

 一気に助ける気の失せるレティシアではあったが、一応尋ねる事にした。

 オークはピストンが忙しいらしくレティシア達来訪者に気付いていない。

 正確にはレティシアの結界によりオーク達は気付く由もないのだ。

 それなのに、このような状況で気付く事の出来るこのエロフは、一定の評価に値するだけの力を持っていると判断出来る。



 「オークに強〇されてるの?オークを強〇してるの?」

 オークオークとは言っているが、どいつもこいつもが進化しておりオークキングまたはオークジェネラルといったAランクやBランク級の魔物である。

 オークの素材、肉は部位毎に売れるし睾丸は精力剤に、棒は張り型等大人の玩具の製作に使える。

 脂肪は焼肉をする際の脂に使えるし、灯りの元にも使える、余った部分は肥料に使える。


 殺って良いのであれば素材として全て回収する気満々のレティシアだった。


 「ご、強〇されて……るに決まってるじゃ、ない。助けてくれ……たら、おれ……いする、から……ふぐっ」

 プレイ中に喋るなと考えた別のオークがエロフの口を塞いだ。

 3つの挿入口は全て塞がれたエロフを見ていると……

 「助ける気失せる姿なんだよねぇ。」

 トレントの時とは違うエロフの様子にやる気を失せるレティシア一行。

 どう見ても楽しんでいるようにしか見えないのだ。


 しかし刺激が強かったのか、同行していた中ではユーリ以外は気絶していた。

 エルダートレントの時の記憶があるからか、仕方ないのかも知れない。

 レティシアは悪い事したなと思い、気絶した面々に心が安らぐ魔法をかけた。

 具体的にどんなというのは、ユーリが嫉妬するので語られる事はない。


 「もう、妬かないの。」

 ソフトに触れるレティシアの唇は、ユーリの唇を塞いでいた。


 エロフは何を魅せられてるの?といった様子でオーク責めを受け続けていた。


 「初めてシアからキスされた、初めてシアからキスされた……」

 ユーリはどこか別の世界に旅立っていた。

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