歌って踊って闘うダンスバトルユニット Valkyrie 5

Valkyrie 5ヴァルキリーファイブとは?>


 番外編に登場する五人組の戦うアイドルグループ。本編のキャラではない。

 幹部従者の一人、レンチョーが組織の財政悪化を立て直すべく考案したのが「歌って踊って闘うダンスバトルユニット」の立ち上げあった。

 ワルキュリア・カンパニーで活躍している女性戦闘員達を今一度見直し、その中で特に(美人で)優秀な人材を抜擢し、精鋭部隊を組織し、チームワークによって彼女らの才能を最大限に活用しようというのである。

 そして、任務がないときは、劇場でダンスによる芸能活動をすることによって興行収入を獲得し、財政難を解決しようというのである。

 レンチョーは今までも「レンチョープロデュース」の名の下に、様々な企画を立ち上げてきた過去があり、当たった企画外れた企画様々だったのだが、これは大当たりで、Valkyrie 5はその連係プレーで困難な任務を次々と成し遂げ、ステージではたちまち人気を博した。

 ステージの興行収入に加え、レンチョーはロシーボが開発した音声を記録できる魔石波動プレートに曲を録音して販売、これまた飛ぶように売れてしまった。

 Valkyrie 5は建前上はウィーナの直属舞台だが、実質はレンチョーの親衛隊のような立場にある。

 Valkyrie 5の成功により、これまでウィーナに嫌われていたために組織運営上、あまり主導的な立場に立つことが少なかったレンチョーの発言力が(一時的に)増すことになった。

 Valkyrie 5は業績上は成功したものの、これによってウィーナが長年堅持してきた「エリート部隊(キャリア部隊)は作らない」「戦闘能力至上主義」「他の業界には手を出さない」「職群及び任務における戦果に応じた報酬制(Valkyrie 5は芸能活動での給料が圧倒的で、幹部従者を軽く超えることになってしまった)」といったことに代表される、組織の方針が一気に崩れることとなり、ワルキュリア・カンパニーが組織として末期を迎えていることを図らずも証明する結果となった。



<メンバー>


・ヴィナス


 Valkyrie 5のサブリーダーであり不動のセンター。管轄従者。ヒューマンタイプ。

 女の細腕で、身の丈より大きい巨大な剣を振り回す巨大武器っ娘。

 剣は腕輪と常に一体の武器で、その腕輪を付けた者は剣の重量を感じなくなるという魔剣である。ゆえに、他の者は持ち上げることすらままならない。

 六年前、十三歳の頃、とある事情でウィーナが養女として迎えてきたので、ウィーナの義理の娘ということになる。かなり高貴な身分の出自だと言われているが、出生の経緯が非常に複雑かつ仮に公になったら世間を騒がせることになるのが必至なため、出自を明らかにすることができないらしい。

 ウィーナの娘になってからはマネジメント・ライデンの執事長・ピエールの下で英才教育を施され、一流の戦士に育て上げられた。

 養女に入った時から、組織で活躍していたヴィクトに恋心を抱いており、そういった感情を心の内に隠しておくタイプでもなかったので、何回も告白してきたが、ヴィクトはのらりくらりと断ってきた(ヴィクトもヴィクトではっきり断ればいいものを、ヴィナスを傷つけまいとやんわりと拒んでる)。

 ワルキュリア・カンパニーの戦闘員となったが、当然思いっきり縁故採用なため、ウィーナの七光りと思われないようにするため、実戦の試験時に幹部従者ロシーボを完膚なきまでに叩きのめし、組織中の話題をかっさらってのデビューとなった。

 それ以来、ヴィクトの副官になること熱望してヴィクトの隊に希望を出すが、思うようにいかなかった。

 ヴィクトの隊は、異動希望を募る度に、ニチカゲの隊と並んで倍率が高いのが通例であり、そもそもの話、ヴィクトは副官を置いていなかった。

 何でもできるオールラウンダー型で、友人のグループ内では常に話題の中心となり、自然とリーダー格になるタイプ。抜群の身体能力を持ち、剣技、魔法、更には頭脳面でも優れており、ヴィクトを目標に腕を磨いてきた。

 とにかく上昇志向、自己実現の塊のような人物で完璧主義。相当な努力家で一流志向。一方、周囲から常にチヤホヤされてきたため、かなり自己中心的な面があり、基本的に性格は悪い。自分が格下とみなした相手には冷淡に接したり、ウィーナの娘という立場や、芸能ギルドの力を笠に着て他人を威圧したりする。

 腹部を大きく露出し、下半身はぴっちりフィットする戦闘服を着用している。

 当初はValkyrie 5などという見世物のような部隊に入ることを嫌がっていたが、レンチョーから「代わりのメンバーが入るまで暫定的に入ってほしい。その次にヴィクトの副官にしてやる」と言われ加入した(当初ヴィクトはそのことを知らなかった)。

 Valkyrie 5の中では圧倒的に一番人気のカリスマで、歌と踊りの才能も他四人のメンバーと比べて群を抜いている。ほぼ「Valkyrie 5の人気=ヴィナスの人気」という状態で、サクラーシャ以外のナルス、フォートゥナ、ルビーはヴィナスの言いなり。

 Valkyrie 5のリーダー候補だったが、ウィーナの義理の娘という身分でリーダーになるのは、周囲の反感を買う可能性がある(格下とみなした相手は軽蔑する傾向が強い性格のため、ただでさえ嫌う人間が多い)ので、サブリーダーに落ち着いたが実質リーダー的存在。面倒事はリーダーのルビーに全部押し付けている。

 最初はヴィクトの副官になるための通過点としてメンバーになったが、すぐにアイドル戦士としてのやりがいを覚え、芸能界のトップを目指すようになる。

 義理とは言えウィーナの娘ということもあり、ワルキュリア・カンパニー内では普通の管轄従者以上に立場・発言力が強く、Valkyrie 5のメンバーもサクラーシャ以外はヴィナスの顔色を伺い追従する傾向が強い。

 母親のウィーナからはそれなりに愛情を受け大切にされているが、母娘としてのすれ違いが多く、言い争っている場面を見かける者も多いという。

 また、自分のファンに対しては「キモヲタ」と吐き捨てて心底気持ち悪がっている。

 人気絶頂のValkyrie 5を、ワルキュリア・カンパニーから大手芸能ギルド・エィーベックゥースーに移籍することを提案した張本人。おかげでレンチョーがプロデュースしたValkyrie 5の企画に関しては、これまで投じた費用を回収できず大赤字となり、結果的に組織の傾きを加速させることになってしまい、後にヴィナスはレンチョーより手痛い報復を受けることとなる。


HP  280   MP  200  攻撃力  330  防御力  120  スピード 300

運動能力 600   魔力 300   魔法耐性 140   総合戦闘力  2270



・サクラーシャ


 Valkyrie 5のメンバー。元人気キャバ嬢。管轄従者。紫の肌と背中に悪魔の翼をもつサキュバス系の妖魔タイプ。

 元々戦闘員と冥界の高級クラブとの兼業をしていた。昼は戦闘、夜はクラブで、他の連中からはいつ寝てるんだと言われていた。

 とにかく妖艶なサキュバス系お姉さまで、その魔性の魅力で数々の男を落としてきた。高級店に勤めているために客に重要人物が来ることが多く、客に接近して情報を得るなど、キャバ嬢は表向きの姿で、その実はフリーランスの工作員であった。

 戦闘員としても超一流で管轄従者の中でも上位クラス、Valkyrie 5内では最強を誇る。相手を惑わす数々の妖術を駆使する。接近戦時は靴を脱いで素足になり、手足の爪を普段の何倍もの長さに鋭く伸ばし、計二十本の毒爪で戦う。爪はある程度の時間なら伸縮自在。

 元はレンチョーと付き合っており、職場ではレンチョーの報復を恐れて誰もサクラーシャには楯突こうとしない。恋人であるレンチョーの要請でValkyrie 5のメンバーとなった。

 ヴィナスと並んで頭脳明晰で権謀術数に長ける。妖艶なことではファウファーレとタイプが似てるが、ファウファーレと違い彼女は私利私欲でなはく、仕事として、命がけでプライドをもってお色気工作員をしている。レンチョーに対する感情は内心では冷めおり、自分をアクセサリーとしかみなさず、器の小さいレンチョーを見限っていた。

 Valkyrie 5の力をワルキュリア・カンパニー内で大きくし、レンチョーの指揮下から独立し、レンチョーを切り捨てようと画策おり、後にValkyrie 5はエィーベックゥースーに移籍。そのときにレンチョーとの関係を終わらせた。

 メンバー内では一番年上だが、年齢を聞くのはタブー。キャバ嬢として多くの人間模様を見てきただけあって、バランス感覚に優れており、リーダーには立たずとも、Valkyrie 5内では大人の立場から他メンバーに裏から色々アドバイスをする良き姉貴分のポジション。

 Valkyrie 5の収入で得た資金と、大手ギルドの力をバックにすることで、王都最大の繁華街・シルバーストリートに目標だった自分の店を構えるに至り、店の用心棒もこなせる男性スタッフをワルキュリア・カンパニーから引き抜こうとしてレンチョーに接近する。

「一流の女」として頂点に上り詰めたとき、周囲の男はサクラーシャのことを男の価値を上げる為のアクセサリーとしか見做さない者達ばかりとなってしまい孤独を感じ、レンチョーのウィーナに向ける忠誠心を手に入れようと、過去捨てた男を再び取り込もうとする。

 Valkyrie 5の中では二番目の人気を持つが、一位のヴィナスとは圧倒的な差がある。

 

HP  300   MP 360  攻撃力 200  防御力  180  スピード 340

運動能力 400   魔力 410   魔法耐性 210   総合戦闘力  2400



・ナルス


 Valkyrie 5のメンバー。妖精タイプ。最年少の妹的存在。ツインテールの縦ロールが特徴的。

 彼女は、元々冥王アメリカーン直属の、通称「冥王の大奥」とも言われる親衛隊に所属していた強化戦士。冥王が「ロリは趣味じゃない」とのことで、ナルスをウィーナにプレゼントした。

 高度な肉体改造処理によって背中に蝶の羽を展開でき、空中からの魔法攻撃の応酬を得意とする。

 閉鎖的な実験施設で長年育ったためか精神的には幼く世間知らず。エリート意識が強く、強化処理を受けていない一般人を見下している。

 ウィーナは冥王から押し付けられたナルスを持て余していたが、Valkyrie 5立ち上げの際、レンチョーの提案で、ナルスに管轄従者の位を与えてメンバー入りさせることに。

 メンバーのヴィナスに心酔しており、ほとんど彼女の言いなり同然の立場。


HP  160   MP 230  攻撃力 110  防御力  160  スピード 460

運動能力 320   魔力 330   魔法耐性 360   総合戦闘力  2130



・フォートゥナ


 Valkyrie 5のメンバー。ヒューマンタイプ。中核従者だったが、Valkyrie 5加入に際して管轄に昇格。

 全身のいたるところにトライバルタトゥーが入Valkyrie 5結成の話が入ったときから加入を熱望していたが、肝心の戦闘力が伸び悩んでおりValkyrie 5に要求されるレベルを満たしていなかった。

 そこでプロデューサーのレンチョーが、本来ウィーナが禁じている身体改造の強化処理を受けて戦闘能力の底上げをするようにと、悪魔の誘惑を仕掛ける。

 フォトゥーナは葛藤の末、レンチョーの口車に乗せられ、ウィーナや他メンバーには秘密の上で、闇社会の施設で身体にメスを入れることになる。戦闘能力は飛躍的に向上したが、彼女の受けた処理は違法な手段によって行われる「脱法強化」であり、ナルスのように高度な魔術師・技術者を揃え、贅を尽くした実験施設で施されたものではなく、被験体のリスクが非常に高いものだった。

 粗悪な強化処理を身体に施された結果、力の代償として副作用が生じるようになり、彼女の身体と精神を少しずつ蝕み始める。

 それでも彼女は自分に力を与えてくれたレンチョーに感謝しており、Valkyrie 5のメンバー中、最もレンチョーに忠実で、彼に喜んでもらうことを第一に動こうとする。Valkyrie 5に対する執着は随一であり、身体の苦痛・変調を必死に隠し、副作用の恐怖と孤独に戦いながら、笑顔でステージに立つ。

 表面上はイケイケ、奔放な性格を演じているが、その実は依存心が強い。プライベートでのイザコザ、醜聞が多い。また、ナルスほどではないにしろ、ヴィナスに追従し、彼女の立ち位置を補強する立場である。

 メンバー内で最もファンが少ない彼女だが、それはステージ上での彼女達しか見ていないファンが大半だからである。部族の神聖な舞を取り入れた格闘技はメンバー内で最も華麗と言われており、戦闘中の彼女の姿に心を奪われて熱狂的なファンになった玄人層も少数ながら存在する。

 魔法都市セタサーガで美容整形術を施され、美しさと引き換えに人形のような、表情に生気がない、俗に言う『セタサーガ顔』になってしまい、周囲からは「前の方がよかった」と言われることがほとんどである。整形術によって似たようなセタサーガ顔の女が、街中に溢れているため、セタサーガに行くことを嫌っている。


HP  220   MP 160  攻撃力 280  防御力  110  スピード 280

運動能力 470   魔力 250   魔法耐性 250   総合戦闘力  2020



・ルビー


 Valkyrie 5のリーダー。ヒューマンタイプ。中核従者だったが、メンバー入りに際して管轄従者に昇格。

 他の四人の加入が正式に決まり、残り一人をレンチョーは探していたが、なかなか条件に該当する者がおらず、最終的に「そこそこカワイイから」という理由のみでルビーの加入が決定した。ほとんど消去法の数合わせ。戦闘能力は、中核従者では上位であり、なんとかギリギリValkyrie 5でやっていけそうなレベルだろうと判断され、レンチョーはフォトゥーナのように強化処理は持ちかけなかった。ゆえにリーダーだが戦闘力は最弱。

 レンチョーに任務があると呼び出されたら、既に勝手にValkyrie 5に自分の名前が登録されており、そのとき初めてメンバーになっていると知らされた。

 ウィーナの義理の娘であるヴィナス、レンチョーと男女関係にあるサクラーシャ、精神的に幼いナルス、脱法強化人間で精神的に不安定な面があるフォトゥーナ、他メンバーは全員リーダーになるには問題があり、唯一アヤのないルビーが消去法でリーダーになった。

 ただし、ステージでは中央に立つだけのお飾りリーダーで、サブリーダーのヴィナスが事実上のリーダー。ルビー自身はValkyrie 5内で発言力が最も低い。

 肌が褐色で銀髪だが、実は、肌は白く髪は黒髪。レンチョーから個性がないと言われ、キャラ付けのために日焼けさせられ髪も銀髪に染められた。元々普段は市販品のローブを着用していたが、コスチュームとして用意されたビキニアーマーのような鎧を着ることになる。

 魔術士であり、全般的なジャンルを操れるが、特に得意なのは味方をパワーアップさせる補助魔法。

 戦闘時は後列でValkyrie 5のメンバーをサポートする。実はValkyrie 5の目覚ましい戦果の影の功労者である。

 彼女自身は大人しく、流れに乗って生きるタイプ。極めて自然体でValkyrie 5に臨んでいる。

 以前と比べて報酬がケタが違うほど上がったが、Valkyrie 5として入る給料(そしてそれがルビーの給料の大部分を占める)は、全額悪霊で被害を受けた冥界人を支援する団体に寄付している。

 主体性のない彼女だが、レンチョーの横暴な態度が度を過ぎる場合は、普段からは信じられないほど毅然とした態度を見せることがあり、芯の強さをうかがわせる。


HP  200   MP 350  攻撃力  30  防御力  150  スピード 200

運動能力 240   魔力 400   魔法耐性 200   総合戦闘力  1770



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・コムロツンク秋元


 Valkyrie5に楽曲の提供をしている人物で、数々のアイドルや音楽グループを世に出した伝説のプロデューサー。

 Valkyrie5立ち上げの際に、レンチョーが呼び寄せた。ワルキュリア・カンパニーより多額のギャラを支払っていたが、人気が上がってきた矢先にValkyrie5は芸能専門ギルドの大手の一つである『エィーベックゥースー』に電撃移籍することになる。



魔僑まきょう


 魔僑とは、急速に冥界で勢力を伸ばし、従来のヤクザ系ギルドを押しのけて芸能界で影響力を増してきている在冥魔界人系グループの総称である。

 エィーベックゥースーは芸能系ギルドの中では冥界でも三本の指に入る力を持っており、興行の既得権益を守るための武力として有力な魔僑とも繋がりを持っている。

 レンチョーもValkyrie5の醜聞をリークすることを画策した際には魔僑の報復を警戒していた。

 

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やるせなき脱力神 登場人物紹介 伊達サクット @datesakutto

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