暗躍

 月の無い夜、夜空を焦がすような巨大な火柱と黒煙が立ち上っている。場所は王都の北部にある国軍倉庫。鉄柵で囲まれた倉庫地帯の前は、大勢の野次馬で騒然としていた。

 水の長、ラルゴ・フォーデンスは火災の報告を聞くと、すぐに憲兵隊を引き連れて、事態の収拾に向かった。現場に着き、憲兵隊に人払いをするように命令して、ラルゴは数名の水の魔法使いと敷地の中に入っていく。たくさんの煉瓦造りの建物が並ぶ中を、火元である武器庫に向かう。先に到着していた憲兵隊が、消火活動を行っていたが、火の手はまだまだ勢いが強い。現場指揮官と思われる男がラルゴの姿に気が付き、敬礼をした。

「水の長、お待ちしておりました! 憲兵隊第八分隊長のカーンです」

 ラルゴはカーンに軽く頷くと、すぐに付き添っていた部下たちに、消火活動に加わるように指示を出した。建物の周囲に散らばった彼らが腕を伸ばし、魔力を込めると、青く光り出した腕から勢いよく水が流れ出し、炎を消していく。彼も魔法を使おうと建物に近付いたが、見覚えのある後ろ姿を見つけ、思わず声を掛ける。

「風の長、なぜおまえがここにいる?」

 彼の声に、風の長、リザ・フローレンが振り返った。ラルゴはてっきり、消火活動には自分の部隊のみが招集されていると思っていたのだ。

「ラルゴか。たまたま友人に会いに近くに来ていたのでね。爆発音を聞いて、すぐに駆け付けたんだ」

 リザの返事にラルゴは、そうか、とだけ答え、続けて彼女に詳しい状況を尋ねた。

「狙われたのは、廃棄予定だった武器や銃器を入れていた倉庫だ。幸い、近くにある弾薬庫へ延焼する前に対処できた。犯人の目撃情報はないが、恐らく、奴らの犯行だろう」

 彼女が言う『奴ら』とは、レジスタンスのことを察しているのだろう。ここ最近は目立った行動はなかったが、再び何か大きな動きを見せ始めた、という事だろうか。

「しかし、だとすれば、連中の狙いが分からんな。我々の戦力を削ぐのが目的なら、火薬庫や武器庫を直接狙えばいいものを」

 ラルゴの言葉に、リザも同意を示した。

「確かに、そうだな。これでは騒ぎにはなっても、実害にはならない…」

 ラルゴはカーンに、周辺の警備状況も尋ねた。すでに周辺に兵を配置し、不審人物がいれば、すぐに信号弾を発信するように伝えてあるとのことだ。

「爆発の前に何か、不審な出来事、人物などは確認されていないか?」

 ラルゴの質問に、カーンがすかさず答える。

「警備に当たっていた者と周辺住人の証言では、爆発音の前にゴロゴロと、低い音が聞こえたと。ただ、それが直接関係あるのかは分かっていない状況で―」

 その時、北西の夜空に眩い光が上がった。応援を要請する、憲兵隊の信号弾だ。

 ラルゴは光に反応するが早いか、すぐにそちらに向かって走り出していた。呆気に取られるカーンに、リザが怒鳴り声を上げる。

「ぐずぐずするな! ここは任せて、ラルゴを援護するように!」

 リザの指示に頷くと、カーンは数名の部下を引き連れ、急いでラルゴの後を追った。

 光が放たれたのは王宮の北側、スラム街に近い路地のある場所だ。ラルゴは倉庫地帯から北の大通りを走り抜け、王宮の堀に沿って、複雑な路地を一目散に駆けて行く。暗闇で視界が悪いが、魔法で視力を補い、速度を速める。すると、細い路地の向こうから複数の怒鳴り声と、金属のぶつかるような鋭い音が響いた。憲兵隊が、何者かと交戦している。

 ラルゴは、路地に入った瞬間、目の前の凄惨な光景に言葉を失った。松明の明かりで照らされた路地、地面に出来た赤黒い血だまりの中に、数名の兵士が倒れている。そして路地の先には、フードを被って口元を布で覆った、黒い外套の人物が三人。

 ラルゴは、鋭い視線で三人を睨みつけた。二人は共に抜き身の長剣を持っており、長身と中背で恐らく男二人。もう一人は小柄な女性のようで、腰に短剣を下げていた。三人とも、ラルゴの姿を見ても構えることはなく、悠然として動こうとはしない。

 直後、水の長、という声とともに、憲兵を引き連れたカーンが路地に飛び込んできた彼も倒れている兵士に気付くと、押し殺した怒りの声を上げる。部下とともに、剣を引き抜いて走り出そうとしたカーンを、ラルゴが片手で制した。驚くカーン達をよそに、彼は血だまりの向こうの三人に、レジスタンスの者だな、と語り掛ける。

「倉庫の襲撃も、貴様たちの仕業か? 目的は一体なんだ?」

 ラルゴの落ち着いた声が、路地にこだまする。中背の人物が、目的なぞ決まっている、とくぐもった声で質問に答えた。

「腐敗にまみれた現王政を打倒し、この国に真の平和と、平等をもたらすことだ」

 他の二人は男の言葉に同意するように、ゆっくりと首を縦に振った。一方でラルゴは、冷静に彼らを観察していた。声からしてまだ若い男のようだが、奴が主犯か。水の長と手練れの兵士たちを見ても動揺が無いのは、何か策があるからか。ラルゴは魔法を使う隙を作るために会話を引き延ばそうと、挑発するように男の言葉を鼻で笑う。

「真の平和と平等、か。テロリスト風情が、随分と殊勝なことを口にするじゃないか。暴力の果てに得た繁栄の末路など、報復による応酬しかないというのに」

 ラルゴの嘲笑に、すかさず女性の人影が短剣の柄に手を掛ける。しかし、先ほどの男がその手を制すと、大人しく柄から手を離した。やはり、主犯は彼のようだ。ラルゴの挑発にも動揺した様子はなく、冷静に言葉を返す。

「詭弁だな。血は血でしか清算出来ないのが、この世界の真実だ。我々が行う蜂起は、今まで虐げられてきた者たちの痛み、苦しみ、流された血の清算。そして、十五年前の清算でもある。…スロウト王、いや、オーセム王家の犯した罪の清算だ!」

 ラルゴは男の言葉を頭の中で反芻する。十五年前の精算と、王家の罪という言葉に、胸の辺りが嫌な感じを覚える。しかし、ラルゴがその真意を問う前に、男が右手を頭上に掲げた。すると、男の全身が金色の光に包まれた。異常なほどの魔力の上昇と、地響きのような低い音が周囲を満たす。ラルゴがカーンたちに、逃げろ、と怒鳴り声を上げる。

 それと同時に、男は掲げた腕を勢いよく振り下ろす。真っ直ぐにラルゴたちに向けられた男の腕から、バチバチと音を立てて紫電が放たれた。眩い閃光と共に、ラルゴたちの体に衝撃が走る。一瞬にして手足の自由が無くなり、彼らは地面に崩れ落ちた。

 黒ずくめの三人はとどめを刺すわけでもなく、路地の向こうに駆け出していく。ラルゴは遠ざかる背中に手を伸ばそうとしたが、全く力が入らない。視界も霞み、彼の意識は暗闇の中に沈んでいった。

 ラルゴたちの追跡を逃れた三人は、ひたすら北を目指して走った。遠くから警鐘が鳴り響き、何事かと家の窓から顔を出す住人の姿もあった。しかし、しばらくして、ひっそりと静まり返った廃屋だけが並ぶ景色に移った。周囲の建物は、どれも明かりがついておらず、外観も内装もひどく荒れていた。時折、廃材を組み合わせただけのも見受けられる。この国で最も大きいスラム街の一角だ。

 三人は、三階建ての建物の前で立ち止った。周囲を見渡すが、追手らしき影は見当たらない。安堵のため息を漏らし、フードと口に当てた布を外す。小柄な影の手のひらに、小さな灯がともり、三人の顔を照らし出した。影の正体はカイ、エレナ、そして無精ひげを蓄えた男性だった。無精ひげの男とエレナは、肩で息をしながら額の汗を拭う。

「追っ手は来ないね。水の長たちもすぐには起きないだろうし、一般兵も配置に手間取っているようで助かった」

 カイだけが、涼しい顔をしてそう言った。しかし、その後で眉間に皺を寄せ、隣に立つ無精ひげの男と、彼が腰に下げている剣に目を向ける。

「…すまないね、ゴルト。君にはいつも汚れ役ばかりさせてしまって」

 ゴルトと呼ばれた男性は豪快に笑いながら、気にするなよ、とカイの肩を軽く叩いた。

「戦うくらいしか能の無い俺を拾ってくれただけでも、あんたには感謝してるんだ。汚れ仕事くらいは任せてくれ。それより…おい、いるんだろ?」

 ゴルトが大声を上げると、建物の影になっている路地から、フードを目深に被った人物が現れた。カイが微笑を浮かべ、久しぶりだね、と近づいていく。

「こんな危険地域までわざわざ出向いてもらって、申し訳ない」

 挨拶には答えず、フードの人物は外套の内側から一通の封筒を出し、カイに手渡した。封筒の中味は、五枚ほどのわら半紙で、カイはサッと目を通すと満足そうに頷いた。

「協力、感謝するよ。次の指示は、追って連絡する」

 フードの人物はカイの言葉に軽く頷くと、夜の通りへ走り去っていった。その背中を見送りながら、ゴルトがため息交じりに、相変わらず陰気な奴だ、と呟いた。

「仕事はしっかりしてくれているんだ、問題は無いさ」

 カイは上機嫌にそう言って、三人は建物の中に入っていった。エレナの灯りを頼りに、埃っぽい廊下を進んでいく。やがて、突き当りにある部屋の前に来ると、ゴルトが先行して扉を開けた。蝶番が軋んだ音を立て、舞い上がった埃が月明かりに照らされる。部屋の中にはベッドと机、椅子、空になった木製の本棚が一つずつ。ゴルトが本棚に近付き、片手で左側に押し出した。すると、本棚がいとも簡単に滑り出し、壁の向こうに地下へと続く階段が現れる。

 三人が無言で階段を降りていくと、だだっ広い洞窟が待ち構えていた。剥き出しの岩肌と暗闇が続いている。しかし、しばらく進んでいくと洞窟の景色は一変する。壁には掲げられた松明が行く手を照らし出し、天井もどんどん高くなっていく。やがて、洞窟の中に土壁の小さな家が何軒も現れたのだ。それはさながら、地下に出来上がった町のようだ。家々からは、微かに明かりも漏れている。

 三人は真っ直ぐに伸びた一本道を進み、ひと際大きな家にたどり着いた。僕だ、とカイが家の中に呼び掛ける。すぐに扉が開き、マキナが顔を出した。三人の顔を見て、おかえり、と笑顔を浮かべる。

「作戦は滞りなく進んだよ。情報も無事に受け取った」

 カイはそう言って笑い返すと、先ほどフードの人物から預かった封筒をマキナに手渡した。彼に続いて、ゴルトとエレナも部屋の中に足を踏み入れる。そこは広い一室だけで、部屋の中央には大きな机と、両側に椅子が五脚ずつ。左右の壁には王都やガルディアの大きな地図が貼ってあり、奥には大きな本棚が並んでいた。その前に、ローブを纏った男たちが三人。真ん中の一人が、カイたちに向けて笑みを浮かべた。

「お待ちしておりました、カイ殿。ご無事でなにより」

 低く、落ち着いた声だった。三人とも頭に同じ白い布を被り、立派な黒いひげを蓄えている。浅黒い肌、縮れた黒髪とこげ茶の瞳まで同じだ。そして、ローブの上からでも分かる程、鍛え上げられた身体。声を掛けた男は穏やかな表情だったが、その両脇に立つ二人は、鋭い視線をカイたちに向けている。

「お待たせしてすみません、フィン将軍。ご足労、感謝いたします」

 カイが軽く頭を下げ、フィンに歩み寄って右手を差し出した。フィンも彼の手を握り返し、いやいや、と首を横に振った。

「私どももつい先刻、こちらに着いたところです。夜分に尋ねることになってしまい、申し訳ないのはこちらの方。なにせ、このことはシローリア皇帝陛下にも内密ですので、用心に用心を重ねる必要がありましたから」

 フィンの目がキュッと細くなる。口元は相変わらず笑っているが、瞳の奥の光は鋭さを増した。含みのある言い方も相まって、底知れない不気味さがある。しかし、カイはいつも通りの涼し気な笑みを浮かべ、さっそく始めましょう、と席に着いた。フィンも彼の向かいの席に着き、従者の二人はその後ろに直立する。マキナたち三人も、それぞれカイの後ろの壁に背を預け、椅子に座る事はなかった。ランプの明かりに照らされた室内に、フィンの静かな言葉が響く。

「そちらから要求された、武器の調達や人員の確保は滞りなく。今のところ、皇帝が我々の行動に気付いている様子もありませんし、計画は順調といって良いでしょう」

 カイがフィンの言葉に頷き、続いて口を開く。

「こちらの実験も、最終段階に入りました。明年の建国式典でのクーデターに向けて、王宮内部にも何名かこちらの手のものを回し、準備を進めています」

 すばらしい、とフィンが笑みを浮かべる。しかし、彼はすぐに眉間に皺を寄せた。

「…ところで、魔法使いの部隊ソル・セルに関しては、どうなさるおつもりで?」

 カイがエレナを見ると、彼女は本棚から資料の束を取り出し、机の上に置いた。フィンが手を伸ばし、ぱらぱらと紙をめくる。

「この十年で我々が集めた、魔法使いの部隊と四人の長に関する情報です。正直、長以外の魔法使いの戦力は、脅威ではありません。南のゴンドーとの国境戦から早くも二十年以上が経ち、年々、兵士の質も落ちているということでしょう」

 カイの言葉にフィンが資料から顔を上げ、薄ら笑いを浮かべた。

「我が国の脅威であった魔法使いの部隊ソル・セルも、太平の世ではその刃も錆びた、と」

 嘲笑を含んだフィンの言葉。カイは同意を示すように頷いたが、油断は出来ませんが、と釘をさす。しかしフィンは、油断ですか、と更に愉快そうな笑みを浮かべた。

「むしろ、こちらとしては彼らの力が、年寄り連中の昔話に聞いた通りでも良いくらいです。その方が、我々が得る新しい力をしっかりと試せる、というものでしょう?」

 フィンはそう問いかけたが、カイは無表情のままだった。しかし、彼はその反応に気付いていないのか、大げさにうんざりした表情浮かべ、饒舌に語りだした。

「貴国との和平協定を結んで四十年。その間、一度も大戦と呼べるものは起きていない。軍人たる我々が、武器を持つことも無く、戦場に出ることも無く一生を終える! 平和なことは結構だが、一体何のための武力か! 滑稽だと思いませんか? 先祖の武勲でこの地位を与えられはしたが、そんなもの、私には何の価値もない!」

 次第に熱を帯びるフィンの口調。カイの後ろに立つマキナたちは、あからさまに不愉快な表情を浮かべた。しかし、フィンは自分の言葉に酔っているのか、話を続ける。

「腰抜けの皇帝も、見せかけの軍隊も不要! 私が望むのは、この力を存分に振るうことの出来る戦場です! 我々軍人の存在意義こそ、そこにあるからだ! 更なる高み、力、国土を望んで何が悪いというのか⁉」

 フィンの口元が歪み、禍々しい笑みが広がる。彼は、明らかに戦争を望んでいた。自分の力を示し、より大きいな名声を、富を、そして軍人としての実感を得られる戦場を。しかし、それはカイたちが望んでいる理想とは正反対のものだ。

「―将軍」

 カイの声が聞こえた瞬間、ピリッ、と室内の空気が一変した。その場にいた誰もが、皮膚がざわつくような圧迫感を覚える。まるで体が固まったように、指一本動かせない。饒舌だったフィンも、歪んだ表情のまま固まってしまった。カイだけが、場違いなほどの穏かな笑みを浮かべて口を開く。

「何度も申し上げておりますが、我々の目的はこの国に、真の平和と平等をもたらすことです。その目的さえ果たせれば、あなた方が手に入れた力を何のために使おうと、一向に構いはしません。ですが、使、心に留めておいて下さい」

 フィンの頬には、いつの間にか大粒の汗が滲んでいた。呼吸も心なしか浅くなっているようで、彼はゆっくりと頷くことしか出来なかった。カイはその反応に満足したのか、ニッコリと笑みを浮かべた。その瞬間、室内を満たしていた妙な圧迫感も消えていく。

「改めて、ご足労頂きありがとうございました。今日は、お互いの理解を深める良い機会にもなりましたし。夜が明ける前に、ここを出られた方がいいでしょ。ゴルト、すまないが、出口までお送りしてくれ」

 カイの指示にゴルトは戸惑いながらも頷き、フィンたちと共に出口に向かった。シローリアの三人は、最後まで動揺を隠せていない様子だったが、なんとか部屋を出て行った。

 扉が閉まった直後、マキナとエレナは計ったように同時に、大きく息を吐き出した。マキナは座っているカイにずかずかと近付き、彼の頭を思いっきり平手で叩いた。カイが、痛い、と短い悲鳴を上げる。

「この馬鹿! いきなり魔法を使うんじゃないわよ! 息が出来なくなったでしょ!」

 怒りを露にするマキナに、エレナも激しく頷いて同意を示す。カイは悪びれた様子もなく、ごめん、と一応の謝罪を口にして、後頭部をさすっている。マキナはまだ何か言いたそうだったが、ふん、と鼻を鳴らして、それはそれとして、と扉の方を睨みつけた。

「あの戦争狂、いよいよ本性出してきたわね。カイ、本当にいいの? 私たちは戦争がしたい訳じゃないのに、あんな奴に―」

 怒りを帯びたマキナの言葉をカイが、君が言いたいことは分かるよ、と遮り、真剣な表情でマキナに視線を向ける。

「でも、背に腹は代えられない。彼らの協力が無ければ、計画を実行した途端、僕らは国軍の攻撃を受けて、あっさりお終いさ。計画の実行には、彼らの力が必要だ。それに、将軍には犠牲は必要最小限に、一般の市民には手を出さないことを条件に提示してあるし、牽制も込めて、さっきは魔法で黙らせたからね」

 マキナはなおも、そんなこと分かってるわよ、と不服そうに吐き捨てた。エレナも、口には出さないが不安げな視線をカイに向けている。しかし、彼は椅子から立ち上がると、大丈夫だよ、と二人に屈託のない笑顔を向けた。

「向こうがこちらを利用しているように、僕らにとっても彼らはただの駒に過ぎない。先生の計画は完璧だ。最後に勝つのは、僕たちの方さ」

 そう言って、カイは壁に貼ってあるガルディアの地図の前に歩いて行った。

「僕らの目的は、腐敗に塗れたこの国を正すこと。そして、誰もが平等で、誰もが幸せになれる国にすることだ。そのためなら、利用出来る物は全て利用する」

 カイが右手を握り、拳に力を込める。

「虐げられてきた僕らが、今度は反旗を翻す番だ。その邪魔は、誰にもさせない」

  

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