最終話 君に出会ってからの日々

そんな愛の告白から丁度3年が経過。

デートをしまくった3年。

俺と美玖は付き合い始めたのだが.....残念ながら、だった。

でも.....美玖は必死に生きたと思う。


いや。

生きたと信じたいのだ。

思いつつ俺は.....目の前の墓石を見る。

言っちゃ悪いが最後までアイツらしかったと思う。

考えながら.....俺は笑みを浮かべていた。


またやって来た4月。

春風が靡く丘の上。

俺は目の前の.....美玖の墓を見ながらずっと考える。


残念ながら病状は酷く.....2年が限界だった。

だけど2年も生きたのだ。

俺にはその間の後悔はない。

二言は絶対に、だ。


「.....」


「裕太郎.....」


「裕太郎、大丈夫?」


「大丈夫さ。有難うな。みんな」


この過ごした3年で目まぐるしく何もかもが変わった。

何が変わったかといえばまず最初に.....弥太郎。

弥太郎は美穂に何度もアプローチをして付き合い始めた。

俺はその姿を笑みを浮かべて見守る。

理保は今.....がんを予防する活動をボランティアでしている。


因みに俺は.....だが。

俺に関してはこの先も誰とも付き合う気は無かった。

クソッタレな過去も未だに清算できてないしな、と思ったのだ。

残念ながらだが.....きちんと清算しないといけないからな。

すると今度は如月がやって来た。


「先輩」


「.....どうした?如月」


「.....例の件もそうですが大丈夫ですか?」


「.....ああ。例の件ってのは結婚式だろ?......大丈夫だ」


今日が結婚式だ。

俺の、だ。

この後に予定が立て込んでいる。

誰と結婚するのかって?

そうだな.....簡単だ。


美玖と結婚するのだ。


どう結婚するかといえば.....仮にも美玖の写真を用意する事にはなるが。

それで結婚するのだ。

俺は.....その事を思いながら.....空を見上げる。

それから笑みを浮かべた。

そして目を閉じてから目を開ける。


「これで良かったんだ。うん」


「.....いい結婚式になると思うぞ」


「そうだね。弥太郎」


俺はその言葉を受けながら、だな、と答える。

それから俺は日差しを浴びた。

今日は.....美玖も喜んでいるだろう。


そう考えながら.....俺達は美玖の墓に別れを告げてから。

そのまま結婚式会場に歩き出す。

後悔は無い。

俺は美玖と結婚する。



それから俺達は結婚式場にやって来た。

少しだけ時間が有ると俺は寝てしまった様だ。

俺は少しだけ恥じらいながら.....立ち上がる。


それから.....婚約会場の中を歩く。

そして.....ドアを開けてもらうと.....そこにはクラスメイトやら.....俺の知り合いやら。

みんなが集まって俺に盛大に拍手を送ってくれていた。

それから俺はその事に赤面しながら。

目の前の遺影を見る。


『お兄ちゃん。私が亡くなったらもし良かったらこの遺影を使って』


「.....美玖。その遺影を使ったぞ」


小さく呟きながら.....俺は少しだけ悲しいと思いながらも。

明るく前向きに行こうと一歩を踏み出した。

それから歩き出す。


新郎である俺が、だ。

そして.....目の前の親父と美子さんを見る。

胸元に美玖の写真立てを持っている。

それから俺に笑みを浮かべた。


2人は優しく俺を見守ってくれている。

俺はその姿に少しだけ恥ずかしがりながら.....思い出に華を咲かす。

全てを思い出す。

美玖との記憶を、だ。

俺はその全ての記憶に思いを寄せながら.....歩いて近付く。


「有難う。親父」


「.....気にするな」


「.....美子さん」


「気にしないで」


俺はその姿に柔和になって頷きながら.....歩き出す。

それから美玖を見る。

美玖は.....笑みを浮かべていた。

やっぱり美玖らしい笑顔だな、って思う。


「遂にここまで来たんだな。俺達」


『お兄ちゃん。そうだね。やっぱり私はお兄ちゃんと結婚したいなって』


「美玖。.....お前の願い叶えてやったぞ」


美玖の目に涙が溢れてきた。

此処まで来るのはそんなに楽じゃなかった。

だけど.....それでも。


美玖を愛す事が出来て幸せだった。

俺は考えながら涙を拭きつつ.....美玖の写真を見る。

すると美子さんが穏やかに俺を見てきた。


「.....美玖は本当に幸せだと思います。貴方に愛してもらえて。.....本当に有難う。ゆうくん」


「私も気付かされたよ。色々と。.....有難うな。裕太郎」


「.....俺は何もしてないよ。親父。美子さん。.....今までもずっと美玖や仲間に教わってきただけだから。それを実行してきただけだから」


全ては美玖と仲間達の支えのお陰だ。

そのお陰で今があるのだ。

俺はその事を噛みしめながら.....今に至っている。

その事を感じながら写真を見る。

俺の胸元に手を添える。


「.....全く。こんな時にアニメグッズが役に立つとはな」


呟きながら俺は胸元に手を改めて添える。

それから苦笑した。

俺の首には何が掛けられているかといえば。

アニメの劇中で使用された婚約指輪のレプリカだ。

美玖と共に一緒に指に嵌めていた指輪である。


「美玖。お前の薬指に嵌めた事.....今でも覚えているよ。.....本当にこの場で指輪を嵌めてやりたかったな。.....残念だけど.....でも大丈夫だよな」


お前はきっとこの場所に居るよな。

だから、と俺は首元から指輪を外してから美玖の写真立てに引っ掛ける。

それから笑みを浮かべた。

さて.....、と思う。

する中年ぐらいの神父が俺と美玖を見合ってから.....柔和な笑みを浮かべる。


「.....では.....」


と言い出して神父は俺に笑みを浮かべる。

それから.....婚約の儀が始まった。

俺は静かにそれを受けながら.....横の美玖を見ながら。


そしてステンドグラスを見ながら.....口角を上げて目を閉じてから。

開いて.....静かに頷いた。

因みに美玖は最後にエッセイとして出版した日記を遺したのだが.....その日記には。


(幸せな人生だった。全てに感謝)


そう記載があり.....俺は救われた気分になった。


fin

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1年ぐらい引き篭もっていた義妹が猛烈にエロくなっていました。.....何でだよ。 アキノリ@pokkey11.1 @tanakasaburou

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