第4話不仲な姉弟

リビングのソファーに深く身体を沈めながら足を組み、テレビに映る番組を眺めながらアイドル活動がどうかと訊ねてくる姉。

「最近どう~?彼女とは相変わらずなのー?」

「なんとかやってる。ああっと......んな感じだよ」

ソファーの前に置かれた脚の短い長方形の机に肘を付きながらそっけなく返答した俺。

「まだいじけてんの?あんたって......そりぁ~そんな冷たい態度にもなるよね。ごめん......って謝ったところで無理か」

肘掛けに肘をついて身体をのりだしながら顔を近付け、そんなことを口にした。

「いじけてるっつうか......俺の方こそ──」

返答に困る、


姉──海堂榛名みどうはるなは高校二年生の頃にスカウトされ、芸能界に入り読者モデルとなった。Lunaとして活動しており、俺らの曲のMVに参加したことがあり、その際は姉弟ということを世間に発表しなかった。

両親が離婚し、姉は母親に着いていき、実家から二人で出ていった。俺は父親と暮らすことにした。姉は読者モデルとなったと同時に実家を出ていき、一人暮らしを始め現在も続けている。昔の姉弟仲は良かったが両親の離婚がきっかけで溝が出来、現在も不仲である。


釈然としないが謝ろうとすると姉が制した。

「なんであんたが謝ろうとしてんの。謝る必要なんてないよ、。いつか、いつか......になれたりしない、かな......翔」

姉の寂しそうな瞳が俺を見つめてきた。

「ああ......で何しに来たんだよ、姉貴」

バツが悪そうに後頭部を掻いてから、訊ねた。

「今日はオフで暇だったから遊びに。るんちゃんがこの時間帯に帰ってきたってことはオフなんでしょ?」

「そうだけど。久しぶりのオフなんだから一人にしてよ」

「煩くしないって。夕飯作ってくれると嬉しい、ダメ?」

「夕飯って......分かった、煩くしないなら良いよ」

俺は、ため息を吐き、立ち上がってキッチンへと歩き出す。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る