9章 決死の抗い

『どうすればいい』

ボスは謎の独り言をつぶやく。

ジャネットは魔法で少しづつダメージを与えるものの、

肝心の直接攻撃は思うように決められない。

「あるゑ??」

『こっちは無視していいんじゃねえか?』

「もう、仕方ないんだから!」

エリオノーラが賦術と光の妖精魔法で癒やしてゆく。

「まったく!仕方ないんだから」

「助かります」


『お前ら、殺れ!』

不死のトカゲたちは変わらずジャネットを襲うものの、

今度は上手くいなされる。

ボスは起死回生のパニックランを放つがそれもジャネットは気合で抗う。

「今、何かしましたか?」

魔剣の一撃も倒しきるには至らない。

ジャネットがウェポンマスターにてかいくぐりを習得する間に、

エリオノーラの魔法が立て直す。

手持ちのマテリアルカードと魔晶石はそろそろ厳しくなってきたようだが、

ここで流れが二人の方へと大きく傾き始める。

「やぁっ!!」

不死のトカゲの攻撃を、ジャネットが全て避けきったのだ。

「珍しい!じゃなくて偉いよジャネット!」

「えっへん」

『なんだ、とっ!??』

「うちの助手は優秀なのよ!」

ボスの一撃は軽く、

エレオノーラを狙った会心のデストラクションも月光の魔符を破り何とかしのぎ切る。

「あっぶない!」

『ちっ』

そしてようやく、好機は訪れる。

魔法をいなし切った事にスキができたのか、ジャネットの必殺の一撃がボスを捉えたのだ。

「ふぅ」

深く息をつく。

『くっ、こいつもヤバい。放おって置いていいんじゃなかったのか』

「舐めてると痛い目見るって教えてあげる!」

エリオノーラの石礫、ストーンブラストは抵抗されたものの、

的確な弱点への攻撃は着実に体力を削り取ってゆく。

「あと少し…」

ジャネットは再度の全回避。

『役立たずめ』

「ドヤァ」

「えっへん!」

何故かエリオノーラが胸を張る。

ボスは気合の石つぶてを二人に放つものの時すでに遅し。

魔符も使用し抗う。

『しぶといやつだ』

とボヤくボスに対し、

「それはお互い様ね」

と返すエリオノーラ。

「おりゃああああ!!」

これまでになく激しいジャネットの一撃がボスの身体を貫く。

「えっ!?!?!」

突然の事にエリオノーラも驚く。

『ぐ…はっ!!?』

ボスがその身を地に伏すと同時に、不死のトカゲたちもその動きを止める。

「…やはり」

「やった!すごいよジャネット!」

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