5章 色々な捜し物

魔術師ギルドにて街の地下水路の記録を探す二人。

「あ、ありました!」

「私が先に見つけたのよ」

「記憶力バツグンなので、一度で憶えてしまいます」

「これとか、気になるわね」

エリオノーラが見つけたのは、家々の裏に埋設された古い水路と、その出入口。

「ジャネット・メモリ、記録しました」

「そのメモリ、あんまりアテにならないんだけど…」

三件目の事件現場のすぐ近くにも、それはあった。

「あ、此処! ノイラさんの事件現場と近そうよ!」

「早く犯人を捕縛しに行きましょう」

「犯人と遭遇する確率は高いから準備していこうね。何か買い足すものとかある?」

「優秀な助手であるわたしは準備万端です」

と言いつつちゃっかり前金を使って買い物を済ませるジャネット。

お金が足りてないのをみて不足分を出してあげるエリオノーラ。

微笑ましい二人はそして、三件目の現場へ。

古い出入り口見つけ出すとここも、最近使われた形跡が残る。


「怪しいですね、エリオノーラさん」

「当たり…っぽいね。にしても暗いなぁ」

そう言いながら、エリオノーラはチラリとジャネットに視線を送る。

「真、第一階位の彩。光、輝き――光明」

ジャネットが魔法文明語を詠唱する。

「ありがとう!あれ?いつもより綺麗ね」

ドヤ顔をするジャネットの姿を余所に、エリオノーラはさっさと歩きだしていた。

二人は水路の中へと入って行く。


しばらくして、

「あのーエリオノーラさん」

「ん?」

「これって目立たないですか?」

自分が点した灯りを指出しジャネットが呟く。

「そうね。目立つけど…」

少し思案する表情を浮かべた後、

「相手も手練なら、私たちを見て殺しに来るんじゃない?」

パシャとなった水音。

水路脇に続く通路を歩いていたが、所々水没しているところもあった。

「結構ぬかるんでる所もあるのよね。こんな時は…」

エリオオーラの周りにざわつきを感じる。

「清き乙女が与えしは第五の奇跡、ハードウォーター!」

「?」

「これでよし」

二人の体が僅かに持ち上がる。

「何かしました?また独り言…しかも二回も同じ事をブツブツと」

「違うよ!妖精魔法なんだから!」

「あ…」

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