17 足止め:Enemies Stuck
大出力の粒子ビームを放ったヘラジカの骸骨【
「無茶なことすンな嬢ちゃん。あれにゃ、陣笠の旦那も乗ってンだろ?」
ヘラジカの骸骨が放った光線砲は、綺麗にコックピットだけを撃ち抜いている。コックピットに積まれていたエア・ビークルの
「
「マジか……たしかに陣笠の旦那なら、それぐらいやりかねねえが……なんてンだ、あれは。エア・ビークルが凍ってやがる……」
搭載された
個人用の
空を飛ぶエア・ビークルの
――このマキシってのもそうだし、陣笠の旦那はスピンドルの
「離れていく……落下位置へ先回りするよ
そういうマキシに、
「いンや、俺はここまでだ、マキシの嬢ちゃん」
「ちょっと、冗談を言ってる場合じゃ――」
そこまで言いかけて、マキシも気づいたようだった。
追手だ。
『クロハバキのニンジャ部隊ね。エア・ビークルを撃ったせいで、完全にわたしたちを敵と認識したみたい』
「ミサイルを撃った別の勢力もいるみたいだが、クロハバキのニンジャはカドクラ側か。そうすると、そりゃ、そうなるわな」
その
「陣笠の旦那の近くまでは、なンとか送り届けた。追加分の
手にしていたスーツケースを足元に置き、サングラスを外して金髪をかき上げる。
左手でサングラスを掛けなおすと、袖から手品のように出てきた
加えて、朝比奈の手から【
「分かった……後は上手く
「いいンかい?」
「ボクはスピンドルの
「そいつは陣笠の旦那と同じで、本人の嫌いな呼び方だと思ったンだがね」
「ボクを嬢ちゃんなんて呼ぶのは、
話している内にも、クロハバキ
「さあ、行きな嬢ちゃん」
「わかった」
マキシは振り返らず、エア・ビーグルの墜落地点に向かって【
『行かせてよかったの? まだマキシちゃんが
「さて、ゆーて余裕もねえしな……こればっかりは、自分の勘を信じるしかないンよ」
そう言って足元に置いたスーツケースに足を掛ける。
「さてと――そういう訳だから、ここは通行止めだぜニンジャ共」
木々の陰に見えていた、アサルト・ライフルのDT17マサムネを構えたクロハバキの
戦闘距離に入って痺れを切らした敵の
右手の木の陰から、探りを入れるようにバースト射撃。
飛んできた三発の銃弾を、
人間の反射神経で出来る事ではない。
始点の分かっている攻撃であれば、スマートガン同様、必中で弾を斬ることが出来る。
銃とセンサ・ネットがモノを云うこのニュートウキョウで、
フルオートで四方八方から飽和攻撃でもされない限り、銃撃はそこまで怖くはない。かといって、こちらの得物は剣の間合い。
その中から掌サイズのドローンが八基、射出機構を使って飛び出した。
「
クロハバキの
高速移動する掌サイズの
射撃姿勢から、標的の追尾、偏差計算などを全てやってくれる射撃補助AIアプリ【スマートガン・システム】が登場して以来、歩兵部隊において
だが命中し撃ち落とされたかに見えたドローンはアサルト・ライフルの銃弾を弾いて木々の中を飛び回る。
その側面には
操っているのはもちろん
「装甲を張っただけの
そう言って、クロハバキ組の
「おっと、ニンジャは思い切りがいいな」
銃弾に反応、
実際、バースト射撃を【
このまま、後続が包囲するまで釘付けにするつもりだ。
さすがの【
「
木々の間を飛び回っていたドローンの一基が、
「体当たりでもさせる気か」
ニンジャが右手のアサルト・ライフルで
だが
「ぎゃあああ――……ッ!」
腕を切り落とされて叫ぶニンジャを黙らせるように、もう一基の
「
――ザザザと下生えを掻き分けて、隠密性を捨てて姿を現した残りのニンジャが【
「だからそのダセエあだ名で人のこと、呼ぶンじゃないよ……」
「
一斉にアサルト・ライフルDT17マサムネの銃口が向けられる。
どうせなら手裏剣でも構えろよと思うところだが、
周囲三百六十度からの銃撃。
だからこそだろう、慣れた包囲飽和射撃だった。相打ちにならないよう、巧く射線はズラしてある。
「やったか?」
「ヤってねえよ」
その周囲には、八基のドローンが
「
――とはいえ、見事に囲まれたな。まあ嬢ちゃんの時間は稼げたンだ、良しとするか。
飽和射撃を受けて舞い上がった硝煙と土埃を払い、自然体で片手に
その背後には
「さあ……
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