第10話 教育理念


星屑高等学園に着いた時夜達、時夜は校門を通る時に無意識か意識してか学校銘板を流し見する。



(この学校、他と違って星屑無能力者デブリも受け入れてくれるのは良いところだよなぁ〜高校名に「星屑」って入ってるだけはある)



この都市にある高校は大体が異能を伸ばすことを目的に講義シラバスを組んでいて、高校と銘を打っているが実際は専門学校や大学の方が近いと言える。




故にそもそもなんの力も発現していない生徒はお呼びじゃない、それでも研究対象の一つなので、どこの高校も数人受け入れている、が、大体補欠扱いなので他の超能力者が入ってきたら優先的に落とされるのだ。



デブリとはよく言ったものでジャンクとかスクラップ扱い、他にいいのが入ったら捨てる、どこの学校でもそんな扱いだ。



しかし珍しいことに星屑高等学園は毎年数十人単位で入学させている上にほぼ補欠を落とすことがない。




我が校の教育理念曰く

超新星異能者アノヴァリーにも千差万別多種多様な能力者がいる。



それこそ星の数ほどいるが、全く同じ能力というのは存在しない。



同系統にラベリングできるが、発動条件、能力範囲、速度、対象にできるもの、過程、能力限界点、全く同一の能力者は未だ確認できていない。




しかし能力者階級の最底辺には星屑無能力者デブリゼロという者達がいる。



星屑無能力者デブリ超新生異能者アノヴァリーでありながら「無能力」という全く同じ要素を持っている唯一の存在。



故に全人類、さらなる進化の鍵となりうる可能性を彼らが握っているのかもしれない。




我々はそれを見つけ出すために歩き続け、無能力研究を続ける探求者。


らしい。

わかりやすくいうと

「逆にそこまで無能なのも珍しいね?ちょっと調べさせてよ!ぶっちゃけほかの有能な能力は研究してる奴らゴロゴロ掃いて捨てるほどいるから、ほかの奴らと同じことするのもなんだし、僕は逆にお前ら珍獣の研究するわ!」

って事だと思う。




だがそれだけでは流石に学校運営は成り立たないらしく高位な能力者も受け入れている。

その証拠に神崎……改め雷華、空海なんかが当てはまる。


新設校なので色々試していてる旨を学校新聞に手を替え品を替え小難しい字を書き込んであるが、要するに「規定通りの講義じゃなくて日々いろんな刺激受けさせたら能力発現するんじゃね?」とか言う適当極まる論理を基本に組まれたクラス編成。



そのせいでどのクラスも大体混沌としていて闇鍋状態だ。まだ創立してから日が浅いので仕方ないとも言えるが、来年からは能力カースト別にクラス編成されるかもと噂されているほどトラブルが多いのは目に余る。




基本的にどの高校も能力が高ければある程度校則を破っても大丈夫という暗黙の了解があり、もともと問題を起こしやすいのにさらに拍車をかけるようにトラブルの要因になるわけだ。




いわゆる強者の特権的な物は我が校でも慣習化しており神崎の髪染めなんかは学校も黙認していて、実質許されている、しかし髪染めなんて可愛い方で高位な能力者ほど人格破綻者と言うか奇抜な奴らが多い。




事実、我が校や他校の高位な能力者達の中にはどこの世紀末不良高校生だよって輩を筆頭に、全身にメタリックなデバイスをくっつけた露出が多いコスプレ女(エロい格好なので男子に人気もちろん俺も大好き)。




初対面だと困惑確定のやたらと時代錯誤な侍口調の刀を持った着物男や古臭いどころかまず意思の疎通すらできない自作厨二用語でしか話さない怪しい全身黒ずくめカラス女。



さらにはランドセルを背負った小学生みたいな見た目の高校生アイドル(ロリババア派と純粋ロリコン派大戦の火種)とどめに超マッチョのゲイホモ穴掘り師のオッサ……お姉さん(友達がおっさんとか言ってたら小一時間記憶が抜け落ち、医者に言わせると精神的なショックから自我を保つために無意識に記憶をなくしたとかなんとか、詳しくは知らんというか知りたくない)。



個性豊かというか賑やかというか、キャラが濃すぎな奴らがゾロゾロいる


(そんな奴らに比べたら……)

隣にいる雷華を盗み見て自身の幸福に安堵する。

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