第21話 犠牲者3人目:クソロンゲは100度死ぬ その2

「軟弱者めがっ!」


 迫りくる魔力の光に、余は大きな声で叱責した。



「馬鹿な……っ! 大声だけでレーザーをかき消しただとっ!?」



 言葉通り、レーザーとやらを魔力分解し、大気に四散せしめた余はクリートの背後へと回る。


 そのまま飛び上がり、神装機神の頭部の背後を取った。


「なっ!? 瞬間移動だとっ!?」


「これは縮地というのだ痴れ者めっ!」


 クリートは慌ててこちらを振り向くがもう遅い。


 余の鉄拳は機神の後頭部を確かに捉え、その装甲に接着し――


「神装(ボディシールド)発動!」


 ガキンと金属音と共に、余の拳は装甲に傷をつけることなく、止まった。  


「ふむ。増幅された魔力による防御……か」


 また、機械化(オートメーション)か。


 しかし、余を討ったかつてのイザベラ達は、このようなまがい物の力は使っていなかったはずだが……。


 確か、奴らはあるがままの実力を持った魔導士としての魔術を、神装機神に乗ったまま自在に使っていた記憶がある。


「これが神装機神と人間との最大の違いだっ! 僕のシールド値は血統によって通常人の魔力変換効率の2倍……580に達するっ! 学生レベルでは常識外れの値だっ! さあ、この魔力装甲を破れるものなら破って――」


「第8階梯:重力撃(グラビティ)」


 馬鹿デカい図体だ。

 重力魔法は特に効果があるであろう。


「シールド値……300、200、100……一撃で……シールドが全てもっていかれた!? う、う、う、うわああああああああああ!」


 メキメキメキっ!

 

 地面に犬のように這いつくばった神装機神。

 その腕が折れ、足が潰れる。


 コロシアムを破壊しても良くないので、このあたりの地面は強化済みだ。


 そうして、四肢が使い物にならなくなった神装機神は、余の蹴りによってダルマさながらその場に仰向けに転がった。


「馬鹿な……馬鹿なっ! 神装機神が……っ! 生身に……っ! そんな……馬鹿なっ!」

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