第18話 VS いじめっ子の首領:クソ金髪ロンゲ その4

 何故、余がロリババア好きになるに至ったか……これにはきちんとした理由がある。


 まあ、ぶっちゃけ余には性欲というものがそもそも存在しないのだ。


 転生をやり過ぎて、もう何が何だか分からん状態なのは、余自身が一番感じていることである。


 更に言えば……みんなとはあんまり話も合わんのよな。


 その点、ロリババアやハイエルフなどの超長寿組とは、実年齢も近かったりするので、かなりウマが合うのだ。


 遥か昔に流行ったあるあるネタで、酒宴が盛り上がるなどは奴ら以外にはありえんしな。


 と、それはさておき――。


 イザベラは紫色のルージュに彩られた唇を開き、余に言葉を投げかけてきた。


「おい、そこの少年……今回の試験での快進撃は聞いているぞ」


「……」


 黙っていると「フン」とばかりにイザベラは吐き捨てた。


「あまり調子に乗るな」


「……調子に乗るなとは?」


「口を開くな下郎。さきほど、クリート学生が言ったとおりにこの学院は神装機神の優秀な搭乗者を要請する機関だ」


 ええと……。


 確か、クラウス少年の記憶を辿るに、イザベラは400年前の魔王没後、世界統治を決める幹部会議で失脚している。


 結局のところ、神装機神の製造方法を知る唯一の男……ムラシマが天下を取ったのだ。


 そうして、ムラシマ主導のもと、世界各国は12の国に分割され、それぞれを超越者――つまりは12柱の現人神に割り振られた。


 そしてイザベラに割り振られたのは誰も欲しがらない小さな島国……つまりは、こことなるわけだ。


 まあ、余としては落ち目の貴様のほうこそ調子に乗るなと言いたいがここは我慢だ。


「まずは身の程をわきまえろ、先祖返りが! 貴様は所詮は戦場では半壊した神装機神を徒党を組んで狩るような……ゴミ漁りの梅雨払いに過ぎん。この学院が……いや、私の求めている人材はあくまでも操縦者だ」


「……しかし」


 と、余が言葉を発しようとしたところ、イザベラはピシャリと言い放った。


「同じことを2度言わせるな、口を開くなと言っている。先祖がえったとしても、過去の例からすると、最大でも第8階梯が限界だと歴史が証明しているのだからな。我が栄えある王国近衛騎士団では搭乗時に9階梯の力を有することを最低条件としている……故に、貴様はゴミだ。ゴミクズだ」


 なるほど。

 つまりは、生身なら8階梯までなら実力を出しても問題ないということだな。

 うむ、そういうことならどんどんいこう。


「故に――先祖返りなどには私は興味はない」


 再度、イザベラはポンとクリートの肩に手を置いた。


「私が求めるのはクリート学生のような真なる優秀な者だ。この年齢で3階梯上位に達し、搭乗すれば6階梯上位の力に達する――将来的には近衛騎士団入隊の条件をクリアーすることも確実されて、まさに私の求める天才なのだ!」


「お褒めの言葉、ありがとうございます」


 そうしてイザベラは余に向けて侮蔑の視線を向けてきた。


「そういえば貴様は5階梯に達する程度の実力だったっか? ふんっ……貴様程度では神装機神には絶対に勝てん。まあ、他の者の教育に貴様の存在は良くない……先祖返りが優秀だと勘違いされても困るしな。おい、クリート学生、私が許可しよう。この学院に真に必要な者は搭乗者であると、そう学生共に分からせるためにも……念入りに……叩き潰せっ!」

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