イルカが出ていって一時間程して、黒部から電話が掛かってきた。


「話が在る。今から出れるか?」


「何か解ったのか?」


「武藤和幸(むとうかずゆき)と言う名前に心当たりは在るな?」


ドルフィンの部下として、最後のギャンブルをした在の日。篠崎義則の資料と擦り替えられた資料に書かれた名前が、武藤和幸だった。


「何か解ったのか!?」


「あぁ。在の日、資料が入れ替わったのではなく、お前の対戦相手が入れ替えられていたんだ」


「何だって!?」


「武藤和幸の居場所も押さえてある。とにかく、直ぐに迎えに行くから、待っててくれ」


「解った」


俺は焦る気持ちを抑えながら、電話を切った。


資料ではなく、対戦相手が入れ替えられていた。一体、誰の仕業だろうか。武藤和幸と話をすれば、其れも解るかもしれない。


必ず真相を突き止めてやる。

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