第5話 旦那さんのハンバーグ

今日の晩ごはんはハンバーグ。


月一回あるかないか、旦那さんが食事を作ってくれる日。旦那さんは学生時代フレンチ料理屋さんでアルバイトしていたので料理が上手。旦那さんの作るハンバーグはふわふわで肉汁じゅわー!本気で金取れるレベルだと思う。このハンバーグを食べてからというもの、私自身でハンバーグを作ることはなくなった。自分のハンバーグのパサパサさがよくわかってしまったから。「ぱさぱさ…でも味は美味しいよ!」て言われるのはもう嫌だったからね!我が家のハンバーグは旦那担当とした。


せっかくのひき肉料理なので、はる坊のにはミックスベジタブルを入れてもらうようお願いした。玉ねぎ、にんじん、いんげん、ごぼう。めっちゃ細かいのでこれなら避けられることはないはず。旦那が調理を始める一時間くらい前から小皿で解凍しておく。

そして、旦那が調理しやすいようにシンクにたまったお皿を片付けておく。ちなみに、材料は午前中に私がスーパーへ買いに行った。旦那さんははる坊と留守番していた。炊飯器もセットしておく。


旦那さんがハンバーグを作る間、私ははる坊と思いっきり遊ぶ。ソファのまわりを追いかけっこしたり、トミカの道路を組み立てブーブーやったり、足漕ぎの車に乗ったり、すごく楽しかったしはる坊も楽しそうだった。平日は私がご飯を用意する間はどうしてもテレビを見せて放置になるので、遊んであげられて私はすごく嬉しかった。テレビ・スマホ育児が悪いとは思わない、けど、手が空いているときはなるべく一緒に遊んであげたい。


「できたよー!たべよー!」

私、はる坊の手を洗わせて、椅子に座らせて、エプロンをつけて、お皿のハンバーグを一口サイズに切った。この工程、せわしない。冷めないうちに早く食べたいといつもあせあせしている。


ハンバーグ、ごはん、ほうれん草の味噌汁(前日私が作った残りのやつ)。茶色!野菜少ない!(笑)レタスもあるよって旦那さんにお知らせしたんだけどなぁ。でも、今からレタスちぎってたらさらにハンバーグが冷めてしまうから、今日はもういいよね〜。サラダこそないが、びっくりドンキーみたいにワンプレートにしてくれていた。洗い物を減らそうと旦那さんなりに考えてくれたらしい。よくわかってくれてるじゃん!


ハンバーグうま!さすが旦那さん。一人分200グラムくらいありそうなビッグサイズ。わーい。


「ソースはケチャップとウスターだけでは酸味が強すぎるでしょ?だからバターを………」

「おー!!そんな工夫が!!」(はる坊の汚い手を拭きながら、私は自分のハンバーグをがぶり)


はる坊は…いんげんを人差し指ちまちまで取り除いていた。めざといな。でも、他の野菜は取り除けてない、しめしめ。でも、いんげんのせいか、あまりハンバーグを食べていない。ご飯ばかり食べている。そしてテレビドラマに釘付け。(旦那がお気に入りのアットホームダッドをかけていた)


「はる坊、美味しいよー?パパ頑張って作ったよー?」

はる坊は旦那さんの少し悲しそうな声掛けを無視。食事中には絶対テレビをかける旦那さんがテレビをぴゃっと切った。はる坊にハンバーグを食べさせたい彼の本気が伝わってきた。頑張って作ってくれた旦那さんのためにもはる坊に食べてもらわないと!はる坊は俺のご飯食べてくれないからもう作りたくない、といじけられたら厄介というのもある(笑)


旦那さん、「やっぱ変なもの入れたから食べないんだよー」

あれ、ミックスベジタブル入れろと言った私が責められてる?不本意!!私の名誉のためにはる坊に絶対食べさせせないと!


「はる坊ー、海苔だよー、海苔で巻いたらたべるー?」

「おにじり!おにじり!」

海苔でご飯とハンバーグを巻いてはる坊の口に突っ込む。食べてる食べてる。

「ハンバーグの良さが失われる…」

旦那さんがまた少し悲しそう。食べてもらえるだけマシだよと励ます。私の食事なんてしょっちゅうお残しされてるんだから。


なんだかんだでハンバーグは8割くらい食べた。お味噌汁のほうれん草は2本だけつまんで食べているところを見た。残ったお味噌汁は明日のお昼に飲ます。絶対。


はる坊のエプロンをとって、椅子からおろし、ベタベタな手を洗わせて、はる坊の残したハンバーグ2割を食べた。おいしー、食べれてラッキー!と思う。はる坊がグチャグチャに触ったものでも私は普通に食べられます。(旦那さんはとても嫌がります)


お皿洗い。ご飯を作ってくれた感謝の気持を込めてお片付け。別にいいんだけどさ…ご飯作ってからお皿洗いまでが食事のセットですよ、とか思ったけど、面倒くさいから、言わないでおく。


私のあらゆるフォローのもと、「旦那ごはん」は成立すると強く主張したい。

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