十二日目の正午クラスの人気者が選んだ服を試着してくれた。

 ピロピロピロ―――。


 突如携帯がなったとともに知らない番号からショートメッセージが届いた。


『こちらはすでに選び終わりました。終わり次第試着室に来てください。

 そういえばサイズは――』

 なんとなくのサイズで選んでいたが奇跡にも合っていたので少し驚いている。

 というかそれ以前に彼女は教えていないはずの俺の電話番号を既に知っているようだ。

 だがこの程度じゃもう驚かない。あの日から2日しか経っていないのに末期かもしれん。


 そんな事を思いながら、試着室へと向かった。




「という訳で朱兎くん。選んだ服を試着してくるのでそれを貸してください」

 白華に選んだ服を渡し、俺は試着室のスペースの真ん前にある椅子に腰掛ける。

 すると、白華が頭だけカーテンから出し、

「朱兎くん?覗きは厳禁ですよ?」


 しないっつーの。



 それほど経たない内に、白華の試着室のカーテンが開けられた。

 上着として着ている薄手のパーカーは純白で、白華の名の如く初心な色をした花のそれを連想させる。

 それとは対象的に中に着ているワンピース。

 シンプルながらも、きちんと存在感を出しているそれは、派手というほどでは無いが存在感を出している白華をより一層引き立たせている。


「朱兎くん?どうでしょうか?」

 見とれていると、その本人から声をかけられた。

「似合ってる。不器用だからなんと言えばいいのかわからないけど。本当に似合ってる」

「まさか見とれちゃいました?気に入ってくれたようなのでこれを買いたいと思います」


 言葉が見つからず、乏しかった感想だったが、白華は喜んでいるようだ。

 やはり素材がいいと、何を着ても似合うというのがこの世界の常識。


 にしてもなかなかに良かったよなぁ。あの姿。


「朱兎くん?どうしました?」

 そこには着替え終わった姿の白華が。

「ごめんごめん。じゃあ試着してくる」

「じゃあ私はここ――ちょっと待って。朱兎くん!」

 彼女に言われたのと同時に試着室に押し込まれた。

 それも彼女と一緒に。


 2



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