十二日目の午前 クラスの人気者と一緒に服を選んだ。

 最初に向かったのは、衣服店。


「朱兎くんのために服を選んあげます。朱兎くんは私の服を選んでくださいね」

「服のセンスに自信がないんだが...」

 そうつぶやくと、白華が咄嗟に反応する。


「いえ、かなりセンスはある方だと思いますよ?普段着だってかなりおしゃれだと思いますし」

「そうかなぁ?」


 そんな事を言い合いつつ、俺たちはお互いに似合いそうな服を選び始める。

 まずは白華の服を俺が選ぶ番だ。


 一体白華にはどのような服が似合うのだろうか。


 熟考しても、答えしかなくて結論が出ない。


 そう、白華は何でも似合ってしまうのだ。

 美少女はなにをしても美少女と言われる通り、クソダサTシャツから外行きのフォーマルな服装まで、なんでも似合ってしまって困る。


 一体なにが似合うのだろうか。うーん。


「朱兎くん。どうしたのですか?」

「いや、白華って何でも似合うなぁと。どんな服を着ていてもかわいいからさ」

 すると白華はどんどん顔が火照っていき、ついに顔を覆ってしまった。


「か、かわ...!?、あ、朱兎くん。ちょっとあなたに似合う服を探してくるので選んでてください!」



 そう彼女は言い残し、駆け足気味でこの店のどこかへ去ってしまった。

 しかし、彼女が自ら望んで単独行動は珍しい。だが白華がこのままどこか行ってしまうような人ではないのはわかっている。


 少し毒されたなと思いながら、俺は彼女に似合う服を探し始めたのだった。







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