三日目の午後 クラスの人気者に恥ずかしいことを言ってしまった。





「これからもよろしくおねがいしますね?旦・那・様?」



 ―と――?


 ―か―く―ん?


 「朱兎くーん?」


 ハッ!?

一日目...というより数時間にして陥落してしまうとは情けない。

この秘密は墓場まで持っていくとしよう。


 それは置いといて、かわいいは正義という言葉を聞いたことはあるか?

「かわいければ許される」「かわいいから許してしまう」という意味を持つネットスラングである。

 しかし、俺はこの言葉について意義を申し立てたい。

 俺は『かわいいは正義というより大量殺戮兵器ではないのか?』と思っている。かわいいと俗に言われているそれによって陥落しない人間はまずいない。

故にこれは条約にて禁止される必要すらある――などと目まぐるしく変化してるこの状況において空いてすらいない脳内リソースを余計なことに使ってしまった。


まぁそんな事は実際どうでもいいのだ。俺の許嫁である人―――舞鶴 白華がこっちを観察するように見ている。その行為もあってか逆にこちらまで気になってしまう。

「黙り込んでいましたがどうしたんですか朱兎くん。見とれちゃいました?」

「あ、う、うん」


反射的に返してしまった言葉は一瞬として場を崩壊させる。

 たしか俺は目の前の美少女に見とれてしまっていた。

 それは紛れもない事実でもある。


しかし、いざ反射的とはいえ、かなり今いたたまれない気持ちでもあり、正直軽く死ねるくらいにはちょっと恥ずかしいどころでは済まない。


 もうダメだ...私、お嫁に行けない...

というより許嫁ができているし男なんですけどね?


 自分の欠点であるすごくどうでもいい事を織り交ぜながら今回のことを思いながら、俺は目の前の少女...もとい許嫁をちらっと見る。

「もうダメだ...私、お嫁に行けない...」

 そんな事を言いながらこちらからでもわかるくらいにりんごのように顔を赤くしてうつむいている許嫁さん。


 お互い顔を赤くしたまま、はや十分。許嫁さんこと舞鶴が勢いよく、顔を赤くしながら立ち上がる。


「わ、私、お、お風呂入ってくるので!お風呂!いただきます!」

「お、おう」



「それと...朱兎くん。...


よくそんなすぐにすぐ戻れるなという関心とともになぜそのような危ないことをいうのか。


 質問しようと思った矢先、舞鶴はお風呂場の方へ走っていった...



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