二日目 クラスの人気者が俺の着替えを覗いてきた。

「おかえりなさいませ、未来の旦那さま!」


 ガチャ!バンッ!ガチャッ!ガチャッ!

 驚きを隠せるわけもなく、自分でも驚くくらい高速で自分の家の玄関から出て、まるでなにも無かったかのように鍵ごと戸を閉めてしまった。


 何故だ、何故ここにクラスの人気者である舞鶴白華がここ俺の家にいるのだ――。

 何かしたか?と自分を問いつめても何も思い浮かばない。というか俺は舞鶴と関わったことすらないまである。いなぜあのクラスの人気者として君臨されている舞鶴が「おかえりなさいませ、未来の旦那さま!」などと意味深な発言を俺に対してしたのか?てか未来の旦那様?訳が分からない。


 ガチャッ、ガチャッ。

 混乱している俺の所にまさに今現在の悩みの種であるその人が俺の家の鍵を開けてきた。

「もー!なんで鍵を閉めるんですか!!」

「いやここ俺の家だし。いやそれより何故一回も関わったことのないであろう人がここに?」

「恋に理屈なんて必要ありませんよ?」

「あるわい!」

 思わず反射でツッコんでしまった。言葉のキャッチボールなど生ぬるいものであるかのように、もはや一方的ドッジボールとまで形容したくなるほどにストレートに投げてくる。

 なにが酷いのかというとそのボールは投げ返す暇すら与えてもらえずルール違反の二球目が投球されるくらいには一方的であるからだ。


「まぁまぁ、落ち着いて。落ち着いて家にあがりましょ。手洗いうがいは忘れずに!」

 そんなことを考えていると、舞鶴が俺をにあげようとする。まるで自分の家かのように。

「ここって俺の家のはずだよな...?階数を間違えたかもしれない」

「間違えてなんかいませんよ。私が貴方の許嫁になっただけです」

「おいまてなんだその話。聞いてなんかないぞ」

「近所迷惑になりますから早くあがってください。お茶でもしてこの件について話しましょう」

「お、おう」

 気づいたら俺は舞鶴の言葉に従って記憶上は俺の部屋であったはずのその部屋へと上がった。我が家のはずなのに妙に落ち着かない。

 この匂い、靴箱の上においてある鍵...あの傘スタンド...やっぱり俺の家のはずだ。なのに...なのになぜ...?


 とにかく家へ上げてしまったのだから仕方がない。上げたというより不法侵入のほうが正しいだろうが。とにかく話をきいてから対応はその後にしよう。とそんな事を思いながら手洗いうがいを行って自室にて着替え行為を行おうとする。


 扉を閉めてブレザーを脱ぎ、そしてYシャツとズボンだけになった時。

 とある異変が発生した。

 よく見たら締めたはずの扉がちょっと開いている。

 ちょっと開いているのだ。さっき閉めたはずなのに。

 怪しいからその扉を開くと、やっぱり舞鶴 白華がこっそり俺の着替えを見ていたらしい。男の着替えなんて需要ないだろ。

 そんな事を思いつつ、俺は扉の方へ向かって勢いよくその扉を開ける。騒音苦情がきたらそのときはそのときだ。今は気にしたら負け。

 いきなり扉を開けても、舞鶴は急に扉を開けて驚くといった形相はなく、ニッコリと「私なんかしましたか?」的なオーラを出しながらこちらを見つめている。

「なぁ」

「なんですか?」

「なんでここにいる?」

「そりゃもちろん朱兎くんの生着替えを覗くためですよ、はい」

「はっ倒すぞお前」

「あぁ...朱兎くんにはっ倒される...押し倒される...お母様...もう私は朱兎くんと一緒に大人の階段を登ります...このまま快楽の渦に飲まれて赤ちゃん作って一生幸せに暮らしていきます...」

「いやそのりくつはおかしい」

 もうだめだ。俺の中の舞鶴 白華というイメージは清楚な美少女から美少女なのだがやべーやつとなった。常識人ならこれを昇格と捉える人はいないであろう。

 改めて見なくてもわかるくらい、舞鶴 白華という人間の容姿はそれ程美しい見た目をしている、そう。例えるなら、天使。清らかな姿をしており、それは見る人を魅了させるくらいには。


 そして白華という名前のように、髪は純白としたロングストレートで光沢感がある。顔立ちは小さな顔に対して大きな瞳というアンバランスさは同時に少女の初心らしさを感じさせる。

透明感があって透き通ったような肌はとても白く、天然のものであることがはっきりとわかる。

クラスではかなりおとなしめな彼女だがもちろん人気者である。それ故告白回数は数知れず。


 目の前にいるのは同じ人の筈なのだ。はずなのにおとなしさの欠片すらなく、言動も少し危なっかしい。

俺からすると舞鶴 白華という人間は控えめにいって残念な美少女にしか見えない。本当に...同一人物だよね?


「てか着替えるからさっさと出てけ、リビングで待ってろ」

「だが断る!」

「なん...だと!?」

「うーん、初心な朱兎くんのことだから仕方ないですね。お姫様だっこでリビングまで運んでくれたらこの部屋から出ていきますね」

「出ていってくれないだろうし、この際しかたないか」

 そう言葉にした後、彼女のご希望通りに抱え、そのままリビングの方へ歩き出す。

「え、ま、待って、心のじゅ、準備がっ!」

 もう遅い。言った頃にはもう歩きだしてしまった。

このままというのも良くないため、その言葉をスルーして彼女を運ぶ。


 それはさておき舞鶴を持って最初に思ったのは軽いということ。中身がどうなっているのか気になるくらい軽い。膝や腰は細く、全体的にかなり華奢であるが突出した双丘はやはり見ようとは思わなくても少し見てしまうくらい誘惑のものである。どんな生活したらこんなにスタイルよくなるの?謎が謎を呼ぶ。これはもうミステリーの域であると勝手に思ってしまう。



 リビングについた俺は舞鶴をソファへ下ろし、さっきまでお姫様だっこで運んでいた彼女のほうを見る。

 見るとその顔は顔がりんごのように真っ赤になっており、真っ白な肌も相まって余計に演出されている。

 いたたまれない気持ちになった俺は着替えが終わっていないのもあってリビングから離れ、自室へ戻る。



 そしてリビングへ戻ってくると、まだ顔が赤い舞鶴がこちらを向いて口を開く。

...?」

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