第23話 意味など無い戯言

 愛とか努力とか……希望とか奇跡とか……そんな言葉にすがり、求めたり……僕だってそれくらいは浴する。


 この世界に絶対などない、完全などない……そう僕は思っている。

 それなのに、僕はそれらを綺麗なまま……完璧なモノを求めている。


 信じては裏切られ……


 抗っても、成し得なくて……


 そうして、僕は無意味にそれを繰り返す。



 今日が終わり……明日が過ぎても……僕も何も変わりなどしない。


 変わるとすれば……僕が僕というものの認識……


 気分と状況が自分に映る自分の姿を変えているだけ……



 そこに自分あるモノは何も変わってなどいない……


 壊れては直し……


 治しては……破壊する……


 僕は明確な目的もなくそれを繰り返す……



 そこに在る何かを生きる意味と重ね合わせて……


 満足と後悔を繰り返す……



 成しえない自分を儚げに……


 惨めな自分にまるで他人事のように同情する。



 所詮……僕には、


 正解も間違いも……区別できない。


 本当も嘘も、判断できない。


 本物も偽者も……判別できない。



 本音も戯言も……言い換えられない。



 世界に敷かれた人類が共存するためルールなど僕個人を助けたりしない……


 それでも……僕が求める愛も努力も……希望も奇跡も……


 そんな世界のルールの中でしか実現しないのだ。


 それは、救いか残酷か……どうせ僕には理解が届かない。



 歯を食い縛れ……自分の打たれ弱さで鼻血を垂らしながらでも……


 今まで、溜め込んだいろんなものを嘔吐してでも……


 頭からっぽで立っていろ……



 希望も絶望も……奇跡も必然も……


 目の前に現れれば手を伸ばせばいい……



 始まるも終えるも……それら全て今の僕には等価値だ。


 僕はいったいどちらを手に入れる?


 何を手にする?


 運命も……定めもそこに存在などしない。


 あるのは、てめぇが何をしたか……何を残したか。



 がんばったとか疲れたとか……結局それらはだれかの独り言で……


 奇跡すくいなどない……あるのは必然もしくは偶然……


 歯を食い縛れ……そして目視しろ。



 始まりはあるのか……終わりはあるのか?


 時間の定義など僕は信じてなどいない。


 その時間が始まった……その始まり以前にも時間は流れていないとならない。


 その時間の終わる世界の終わった後にも時間は流れないとならない。



 時間なんて概念は全てが偽りだ。


 だから、僕は始まりを迎えようと終わりを迎えようと……


 誰かの無関心にも関わらず……僕は僕という偽りの時間を刻み続けている。



 意味など無い……それでも、それが僕がこの今という時を刻んだ戯言だ。


 

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