第21話 価値を共有できない奴の戯言

 正論だとか義務とか……使命だとか運命だとか……世の中皆様、一生懸命で大変そうで楽しそうで……実に人生を謳歌できているのでしょうか?



 YESかNOか……それを僕は理解するだけの知識も余裕もないのだろう。



 僕は今まで何をしてきたのか……

 僕が僕である事を総括するための、正論も義務も運命も全てが未完成で……


 僕にとっては、世界そのものがどうでもよくて……


 だから、僕の言う世界はいつも未完成だ。



 君はそんな毎日を平穏にちじょうと呼び……


 僕はこの毎日を苦境にちじょうと呼ぶ。



 僕がここまでに覚えた呪文ことばは……僕一人救えなくて……


 僕が唱えた言葉じゅもんは、誰一人の召喚たすけも呼べやしない。



 誰の言葉だ……


 幸福も不幸も……結局決めるのは自分自身……


 その価値を決めるのは全部……己次第……


 実に正しくて、実に不快で……実に不都合な言葉だ。



 だったら……この俺が毎日感じる虚無感も……


 周りから感じる……有象無象も……


 夜明けに感じる悲壮感も全部、全部……


 己が勝手に植えつけただけの感情だと言うのだろうか……



 世界はいつも君を正しいと言う。


 世間はいつもお前が間違っていると言う。



 僕が傷つくその言葉も……


 僕が逃げ出したくなる毎日せかいも……



 全部、全部……てめぇの考え次第で解決すると……?



 ふざけるなっ!!!



 そんな言葉が僕の傷を癒せるか……


 そんな世界が僕を正しい場所へ導くのか……



 僕は……救われない。



 言わせろよ……惨めでもいいだろう……


 これが僕のこの世界の生き方なんだ。


 どうせ、君には僕は、自分で自分を不幸だと思っているだけの人間に過ぎない……



 ふざけるなっ


 僕は僕なりに……考えたうえでの今の僕なんだ……



 考えるな、正論なんて必要ない……それは僕をこの世界で否定するだけだ。


 君が嫌う……僕なりの正論ざれごとだよ……

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