第9話 そんな僕(おまえ)に捧げる言葉(ざれごと)

 絶望しきった顔がそこにある。

 

 鏡に映った僕の顔。

 

 仕事から帰った僕の顔。


 きっと、皆思ってるぜ?なんでそんな疲れた顔してるの?


 たいした仕事もしてないのにさって?


 知っている、そんなことは僕自身が一番理解している。



 そんな誰かを見返したくて……それで死ぬまで食っていくと活きこんではじめた物書きさえも、思った通りにならないからってすぐに諦め、結局最後まで惨めな自分を演じて生きるのか?


 世界ここには僕を慰める言葉も励ます言葉もない。

 あるのは、僕の戯言いいわけだ。


 それは、僕を救わない。


 それは、僕を成長させない。


 それは、人を感動させない。



 同情でもされたいのかい?


 それで、僕は助からない。


 それで、僕は何かを成し遂げることはできない。


 それで、僕は感動しない。



 お姫様にでもなったつもりか?

 

 悲劇のヒロインでも演じていれば王子様が僕を救ってくれるとでも思ったか?


 そうなら、最高に笑える戯言だ。



 そんな物語誰が評価する……前代未聞の最低な物語だ。



 それでも……そんな世界に僕はすがる。


 どうしてか……?それは僕にもわからない。



 だったら……儚い希望にすがり、くだらない物語を書き続けろ。


 だったら……惨めに蔑まれながら働け


 だったら……そのくだらない戯言で今の自分を肯定していろ。



 それが、今……僕がぼくに捧げる戯言だ。

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