第七話

 7:

 暴力と暴力。暴力の嵐。


 怒声、鈍い音、甲高い音、空ぶった音。空を切る音。


 激しい音、衝撃。


 金属が地面を叩いた固い音。衝撃。


 吹き飛ぶ人間。


 血のしぶき。悲鳴。折れた。


 苦悶の声、叫び声、また怒声。


 地面に崩れ落ちるように沈んだ。


 そんな中で一匹の龍が暴れまわっている。


 暴力に暴力を重ね、叫び声が蹂躙した。


 力と力がぶつかり合って、無理矢理に混ざって、


 相手を潰すだけの、力の応酬。


 ――暴力の嵐。


 龍之介と言う一匹の暴れ龍が、


 己に襲い降りかかる嵐を駆け巡った。


 逃げる場所は無い。


 助かる場所はどこにも無い。


 安全な場所は無い。


 それでも疾る。走る。抗う。駆け回る。


 暴力しかない中。


 己が潰れるが先か、相手が力を失うが先かの中。


 龍には誰からもどこにも……助けなどは無い。


 隠れる場所も止める者もいない。


 龍への救いはどこにも無い。


 一匹の孤独な龍が、嵐に抗って激しくのたうち、


 暴れ回る。


 どちらが先に力を失うのか、


 龍と嵐は重なり混ざり交錯し、


 龍より先に、嵐が静まった――

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