見てくれを疎かにするな!
容貌は結構大事である。
「髭、伸ばそうかな」
毎朝のシェービングに辟易しながら何の気無しに呟いた言葉が地獄の門のパスワードだったなど思いもよらなかった。
「はーーーー!? なんつったーーーー!? 下妻氏ーーーーーーーー今なんつったーーーーーおーーーーーーーー!?」
「いや、髭を伸ばそうかなと……」
「ありえぬーーーーーーー安易な髭伸ばしなど言語道断ーーーーーーー清潔感の欠片もなしーーーーーーーーーー」
「いや、でも……」
「でもヘチマもあるかーーーーーーーい。だいたいーーーーーーーー下妻氏は髭を剃るのが面倒臭いから安易に伸ばそうかなどと言っているように見受けられるーーーーーーーーーー馬鹿かーーーーーーーー? おぬし馬鹿かーーーーーー? おしゃれは一朝一夕ではままならぬものーーーーーーーーちゃんとしたデザイン髭ならいいが今の下妻氏では単なる汚い無精髭となる事うけあいーーーーーーーーそんなだらしない人間と連れ添って歩く私の気持ちを考えていただきたくーーーーーーーー?」
髭は確かに印象悪いと聞いていたが、ここまで反対されるか。しかも心の内を見抜かれている。これは分が悪いか。しかし、言われっぱなしってのも悔しいな。よーし。ここは一つ反論して、彼氏としての威厳を示してやろう。
「でも、無精髭生えてる男ってカッコよくない? ロバート・パディンソンとか」
「お前はハリウッドスター並みの面してんのか? お?」
「すみません……」
引き続き、髭は毎朝剃る事にした。
本日のQ&A
Q.髭を伸ばさないでと言われた。ワイルドでカッコいいのに。
A.お前の彼女はお前のワイルドさに惹かれたのか?
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