リサーチを怠るな!
男はスイーツに対して無欲でなくてはならないと教わってきた。
「下妻氏~ケーキ。ケーキが食べたく~どこか良いカフェにでも連れて行ってほしく候~~」
ケーキ。良いカフェ。アカン。何から何まで守備範囲外。まったくもって興味のない事ずくめである。だいたいお前、俺がそういうの知らないって一緒に暮らしてんだから分かるだろ。何で聞いてくんだよ。
とはいえここで「しらん。すまん。ウルトラマン」などと言おうものなら確実に言葉という名のナイフが飛んできて俺のメンタルに大ダメージだ。上手く回避しよう。どうしようか……よし、あの手でいくか。
「いやぁごめんごめん! 俺そういうとこあんまり詳しくなくってさぁ! でも一緒にカッフェにはいきたいからぁ!? 今から一緒に探すそぉ!? お散歩しながらふらっと立ち寄ってみてもいいかもねぇ!? どうでしょうかぁ!?」
完璧な作戦過ぎて惚れ惚れする。女というのは何かと一緒に作業するのが好きな生物と何かの雑誌に書いてあった。であれば俺のこの発言。パーフェクト以外の評価などあり得ない程のマストな提案。どう考えても「さっすが私の彼氏君だぎゃー!」と喜びMAXに違いない! さぁ! 君の笑顔を見せてくれ!?
「なんで? なんで調べてないの? 普通彼女といくであろう店くらい前もって調べておくよね?」
駄目~~~~~~俺の作戦完全に裏目! こんな事あるぅ?
「ごめん……」
「ごめんじゃないんだよごめんじゃぁぁぁぁぁぁぁぁ! なんですかぁ? もう付き合って長いからって胡坐かいてるんですかぁ!? 釣った魚には餌をあげない主義ですかぁ!? 石の上にも三年! 女への情も三年って感じですかぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!? いいですよ行きましょうかぁぁぁぁぁ? 二人で散歩にぃぃぃぃぃぃぃぃ!? ただし目的地は私の実家だけどね! 我が父と母を前にその不覚悟を晒してやるんだから! 覚悟しなさいよ!」
「ご両親の前はちょっと……」
「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!? 私のパッパとマッマに会えないってぇの!?」
「その、ご挨拶する時は、結婚する時かなって……」
「……!」
「……」
「……」
「……」
「……下妻氏」
「はい」
「カフェ、探しに行こっか」
「うん」
なんとか丸く収まった。
本日のQ&A
Q.カフェ行きたいとか言われても困る……店とか知らんしどうしよう。
A.彼女が好きそうな店くらい事前にリサーチしておけ。
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