邪神顕現 ~人類の終演?~

@masakana

第1話

 時は2200年初頭深夜、所は在日米軍横田基地地下100メートルの秘密施設。

 遥か昔、人類誕生以前に外宇宙や異次元から地球に訪れた超越者達、彼等を邪神と呼ぶ。その邪神に対抗する為、人類が国家の垣根を越えて設立した超法規的軍事組織『ファンデーション』の極東支部。

 1928年10月に失踪した筈の男、魔導師の家系に生まれ、異世界『夢の世界』で王と成った現役の魔導師、不死身の男ランドルフ・カーターが目を細める。

「早いな、約束の10分前だが」

「遅れるよりいいだろ。日本語が上手だな」

 横田基地の警備、極東支部の警報システムも無効、無視して瞬間移動で現れたのは日本人の少年。外見的には普通の日本人少年だが、首筋から背中まで総毛立つ。

 這い寄る混沌ニャルラトホテップを名乗った邪神だが、知られていない大物だ。邪神なのは間違いない。普通の人間でも異能力者でも無い。

 這い寄る混沌ニャルラトホテップには何回も異世界『夢の世界』で会った。こいつは似ているが、何者だ?

「なあ、ランドルフ=カーターさん、それともH・P・ラヴクラフト支部長さんかな? 貴方は何者かな? 何年間、生きているのかな? これが俺からの情報だ。『這い寄る混沌』と名乗れるのは、この俺だけだ。そうだろ、俺の子、ニャルラトホテップよ」

「なっ、何だと!! 私がニャルラトホテップだと!?」

「よーく、考えな。自分が何者なのかを、な。自分の事が分かったら、この番号に電話してくれ。軍隊や暗殺者はノー・サンキューだ。その時には、ニャルラトホテップ、お前の総てを消す、本体も化身もお前の総てを消す・・・俺に出来ないと思うか?」

「何、アザトースの封印が解けるだと!?」

「ああ、3つの封印の内、2つが解けた。アザトース様が目覚める」

 友好的とは決して言えないが、交渉と情報交換は終わった。私の手元には1枚のメモ用紙、そうして思ってもいなかった恐怖の事実が残された。


 深夜でも孤児院の近くでは狩りを遣らない。獲物は何かだって?

「決まっている、あんた達普通の人間、ホモ・サピエンスさ」

「光治、(異能者なのに)未だ中二病が治らないのね」

 数ヶ月俺より早く孤児院に入っただけなのに、同じコインロッカー・ベビー仲間の生意気女、小島真理。俺もリアルで中学2年、俺達の名前は院長が順番で付けたから、本当の名前は分からない。もちろん、両親の顔も名前も分からない。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

邪神顕現 ~人類の終演?~ @masakana

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ