第6話 テスト勉強


「翔馬助けてくれ〜」


 朝一で恭弥が俺に泣きついてきた。

 朝から暑苦しい。

「何を助けてほしんだ」

「期末テストです」

 あーそういえば今日からテスト前で部活休みだったな。


「角積さんに頼めよ」

「俺と凛花の成績を知って言ってるのか!」


 このカップルは正真正銘のバカップルなのだ。

 角積さん見た目は賢そうなんだけどなぁ〜。

 まぁ実際そこまで悪くは無い。けど教えられるほどではないってことだ。

 問題児はこいつ。

 毎回赤点ギリギリ。毎回俺が教えている。

 俺もそこまで成績は良くないがまぁこいつに比べると月とすっぽんくらいは差があるな。

「今日から放課後からやるか」

「いや、明日休みだろ。翔馬の家で」

「まぁいいが今日はやらなくていいのか?」

「今日は凛花とデート」


「......。」

「......。」

「自力で頑張れ」

「翔馬様〜。見捨てないで〜」

「そんな危機感もなく呑気に遊んでるやつに教える義理はない」

「そこをなんとか〜」

 結構昼休みまでゴネてやった。


「凛ちゃん、虎ノ江くんいらっしゃい」

「おじゃましま〜す」

「じゃまするぞ〜。翔馬これお菓子」

「ありがと」

 翌日土曜日。

 朝から俺の家で勉強会。

 葵と角積さんも参加になった。

 まぁ2人とも毎回いるんだけど。


「さぁやりますかー」

 恭弥がやる気を出している。

 そのやる気いつまで続くんだ?

「葵先生。何からやりましょう」

「凛ちゃんの苦手な数学からかな〜」

「葵先生それはやめて〜」

「恭弥お前も数学な」

「あ、帰るわ」

「逃がすかよ」

 恭弥の首根っこを掴んで座らせる。

 このカップルすぐ逃げようとするな。

「今日はみっちりしごいてやるからな」

「お慈悲を〜」


 2時間後

「もう、無理」

 恭弥は息の根があがり机に倒れ込んだ。

「12時前だし昼にするか〜」

「さんせ〜」

「翔馬キッチン借りるよ〜」

「はいよー」

「葵ちゃん今日のお昼はなに?」

「カレーだよ」

「私も手伝う」

「じゃあお願い」

 男子2人は部屋に残された。

「で、翔馬最近どうなのよ」

「何がだよ」

「分かるだろー、寺島さんとだよ〜」

「分からないし何もない」

「本当か〜」

 こいつからかいだしたら止まらないんだよなぁ〜。

「別に何も変わりないいつも通りだよ」

 ちょっとこの前変な空気にはなったけど。

「まぁそう言うなら仕方ない。けどな翔馬」

 恭弥は真面目な顔になって

「後悔だけはするなよ」

「わかったよ」

「まぁいつでも相談してこい。先輩として力になってやろ〜」

「もしそうなればな」

「男の友情というやつだ」

 そう嬉しそうに言う恭弥を見て、俺も同じことを思った。



 カレーを食べたあとも勉強会はよく進んだ。

「そろそろお開きか」

「そうだな」

 時刻は午後の5時を少し回ったところだ。

「勉強したわ〜」

「ちゃんと家帰ってからもやれよ。落ちても知らねーぞ」

「頑張るよ。じゃあ」

「お邪魔しました。バイバイ葵ちゃん」

「バイバイ凛ちゃん」

「気をつけてな」

 2人の背中を見送って葵と家に入る。

「さぁ私も帰るかな」

「今日はやけに素直に帰るんだな」

「さすがに疲れたしね〜。それとも翔馬は私が居なくなると寂しいのかなぁ〜?」

「そんなんじゃねーよ」

「もうちょっと寂しがって欲しいなぁ〜」

「今更だろ。すぐ隣に住んでるんだし」

「わかってても寂しいのさ。それが乙女心ってやつだよ」

「じゃあ俺にはわからんな」

 カバンを玄関まで持ってきていた様でもう葵は帰る用意万端だ。

「じゃあね翔馬」

「あー葵。送るよ」

「え、すぐ横だからいいよ」

「ほら行くぞ」

「あ、待ってよ〜」

 俺は強引に家を出ていった

「どうしたの?やっぱり寂しかった?」

「そんなんじゃねーよ。なんとなくさなんとなく」

 本音を言えば恭弥はこのまま角積さんを家まで送るんだろう、と思ったらなんだか俺もたまにはしてみるかと言う気になった。

 決して寂しいとかではない。


『後悔するなよ』

 俺は夜、ベットの上でその言葉を思い返していた。

 まぁ葵とはなんともない。

 けど後悔するなよか。

 まぁ心のどっかには置いておくか

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