第2話 翔馬と葵のお昼


「キーンコーンカーンコーン」

 昼休みを告げるチャイムが鳴った。

「翔馬お昼食べよ〜」

 俺の前の席のイスを後ろに向けて座る葵

「はい、お弁当」

「ありがとう」

 俺の昼ごはんは葵の手作り弁当。たまに葵が寝坊した時は朝コンビニに寄るが、だいたいは葵の弁当である。


「お、今日も愛妻弁当か〜。いいなぁ〜」

「恭くんお弁当食べたいの?」

「そりゃ彼女の手作り弁当食べたくない男はいねーぞ」

「そっか。じゃあ今度作ってくるね」

「お、まじ!おなしゃす」

 おい、カップル。目の前でイチャつくな。

「葵ちゃん、今度お弁当の作り方教えて」

「喜んで」


 そうして4人でお昼を食べる。

「翔馬今日のお味は?」

「いつも通り美味しいです」

「よかった」

 そう言って微笑む葵

「おい、夫婦。目の前でイチャつくな」

 お前には言われたない。お前には


「ねぇねぇ葵ちゃん。この前に葵ちゃんに似合いそうな服見つけたの〜。今度一緒にどうかな?」

「うん。行こ行こ」

 あ、これ荷物持ちとして連れていかれるな。俺たちは4人で出かけることも少なくない。俺としてはカップルの邪魔はしたくはないのだが葵が行くのなら仕方ない。

「お、ダブルデートだな」

 ほら、こうなる。

「なんだ〜翔馬。その嫌そうな顔は」

「嫌そうな顔じゃなくて嫌なんだよ」

「なんでだよ〜。別に減るもんじゃないだろ〜」

「そういう問題じゃない」

「じゃあ何が問題なんだよ〜。いいじゃんダブルデート」

「恭くん。そこら辺にしときなさい」

「はい」

 お前角積さんには頭が上がらないな。


 目の前で女の子2人が仲睦まじくお昼を食べている。目の保養だ。

「ん?どうしたの翔馬。私の顔になんかついてる?」

「ご飯粒が」

 そう言ってほっぺに付いたご飯粒を取ってそのまま口に入れた。

「ん!!」

 途端に葵の顔が真っ赤に。横のカップルはニヤニヤしている。

「いや〜。天然無自覚は破壊力が桁違いですね〜」

「これをナチュラルにやっちゃうのが西園寺くんだよね〜」

 よく分からんがバカにされているのだけは分かる。

「葵ちゃん大丈夫?」

「は!」

「あ、戻ってきた」

「葵、大丈夫か?」

「ダ、ダイジャブ」

「寺島さんも大変だなぁ〜」

「ほんとだよね〜」

 カップルはなぜか和んでいる。

 なぜだ。まぁいいか。


 そうこうしてると時間が無くなっていた。

「弁当箱もらいまーす」

「あ、ありがとう」

「明日のリクエストある?」

「あー久しぶりにサンドイッチ食べたいかも」

「わかった。楽しみにしててね」

「早く結婚しろよ」

「なんか言ったか」

「いえ、なにも」

 恭弥、覚えてろよ。

「じゃあ、後でね〜」

「おう」

 残り午後の2時間頑張るか〜

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