エアゾ ～ITの洗礼～1話

不信

「なんで離婚したいとか言ったんやろ...」

悔やんでも悔やみ切れない。元妻はあっちから「グッバイ宣言」してくれて嬉しかったやろうな。 とりあえずこの悪い空気がこの子たちに伝わらないようにしないと。

「ねえ、さきちゃんにはおかあちゃんいるのになんでうちはおかあちゃんいないの？」

解せぬ...

AbutZ社に入って1ヶ月、日本の会社ではまず無いような奇抜な空気にもようやく慣れてきた。こっちの開発は思った以上に進んでいた。社内での試験運用を来月の初めには行うらしい。それもびっくりなのだが遥かに驚いたのが製造計画書。最初見た時は何を書いているのか分からなかったが、会社独自の暗号を使い情報流出を防いでるらしい。FBIかてw 森本も安定に面白いし駿太は相変わらずのバカっぷり。毎日が楽しかった。

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ある日、今日は僕が鍵閉めの当番であちらこちらにあるドアを閉めていた。すると、どこからともなく「バタバタ」っと音がした。

「ここに居座ってるネズミだろ」とは思ったが一応見に行った。すると、そこにいたのは

ネズミ、だったが違う意味でのネズミだった。前所属のブラック企業の同僚、ネズミこと小泉だったのだ。

「え？！なんで君が？」

「驚かして悪い。実は...」

話を聞くと、小泉はAbutZ社のスパイを命じられていたのだ。ブラックな所全部知ってたがそこまでブラックだったとは。ブラック企業でおなじみカ○ジの黒崎もお手上げだな。

「で、お手柄は？」

「得れる訳ないやろ、何書いてあるか分からんし」

「ま、バレんよにな」

「おん...あ！そういえばお前の元妻、うちに入社したで」

「ふぁ？！」

なにか嫌な予感がする...