第弐拾七話 連休の谷のサカミズ

 おっかしいなーと首を捻る。

 皿からはみ出てぺしょっ、と崩れた錬成物を見降ろして。

 連休五日間の中日の夜更け2241。とりあえず写真を一枚パシャリ。(こちら→ https://kakuyomu.jp/users/sakamizu/news/16817330656915346116

 はみ出た部分を包丁で中央に寄せて、切り分けてもう一枚。夜更けのお菓子作りはレディの嗜み、とかゆってたのに、雑極まれり。

 小学生の時、水彩画でひとつ誤って絵筆から一滴染みを描くと、どんどん適当になってぐちゃぐちゃになり、並べて飾られた友人の絵と比べられて先生からありがたい講評をいただいたことをン十年ぶりに思い出す。


 今回、錬成したのはこちら。

 →https://www.fukuinkan.co.jp/ninkimono/cake.html

 みんなの憧れ、食癖を産み出した罪深い絵本『ぐりとぐら』のカステラである。GW開始前後だったか、Twitterに福音書館公式のレシピが流れてきて、ほほうと思ったのを作ったのである。

 手順は、レシピに(大体)忠実に従った。初夏っぽく、レモン皮のすりおろしとレモン汁を入れるという素人ありがちオリジナル要素を加えているが、まあ、些細なことだろう。当然、オーブンではなく、ホットクックのスポンジケーキモードを発動。

『第壱話 電気自動調理鍋、襲来』の反省も活かし、簡単に抜けるよう釜にはあらかじめバターを塗っておくという手際良さを発揮したにも関わらず〝ぺしょっ〟。

 多分、釜が深く大き過ぎたのが原因だと思う。本当は倍の分量を錬成しようと目論んでいたけれど、目下の卵高騰ゆえに、買い控えしていたから。オリジナル要素のせいではないと信じたい。

 しかしまずい。リアルタイムで錬成過程をTwitterに流していたから。つまりは、tweet sweetである(書き起こしてみるに寒々しいったらない)。なんかもう疲れて切ってありのまま〝ぺしょっ〟を流した。


 2023年5月頭、私はメンタル谷底に落ちかけていた。

 原因はままならない執筆である。短編のつもりが中編になりそうで、そもそも企画の〆切も字数もぶっちぎっているし、では別に出そうとした企画にも結局間に合わず、そもそもこれは面白いのかとゆーか読み物として破綻しているのでは、っていうかあれもダメこれもダメ、コンテストのネタ思いつかない、今回無理なんじゃないの、講義用の映画視聴もしてない掃除も衣替えもコタツ布団の片付けも終わらない、やだやだモードにスイッチが入った。

 こういう時は何か小さな課題をクリアすると良い。そこでホットクッキングである。ホットクックの稼働から早や二年、私ももう中堅、そうそう失敗はしまい。実際、GW初日5月3日の夜に錬成したマーマレードは『第八話 アマナツ、翌日』の反省を踏まえ概ねうまくいった。あともうちょっと自己肯定感をプラスしようとしたらこのざまである。

 それでもまあ〝ぺしょっ〟以外は普通だったので多少気持ちが上がった。ぶっちゃけ、どっちに転んでもネタにはなる(このゆるい姿勢がダメダメな執筆にも繋がっているとは思わなくもない)。

 GW後半、読書も進み、まずまずメンタル浮上(これはTwitterにも書いたけれど物語は人を──というか私を──救ってくれる。その内容に感動したとか、自身と重ね合わせたとかではなく、ただただその面白さ、考え抜かれた緻密さに。なので倫理的に破綻していてもそれはそれで良し)。

 そんなこんなで一度幕引きしたエッセイを追加、どっかの巨匠みたいなやめるやめる詐欺ですが再起動、改めまして、お久しぶりです、坂水です。


 さて、現況ステータス。2023年5月現在、公募には落選、仕事はのらりくらり、猫らは元気、特に生後10か月の黒仔猫は柔道部高校生男子の風格を漂わせつつ夜な夜な人の耳たぶを吸って流血の惨事、皮膚炎はまあまあ落ち着いている。

 夏に向けて皮膚炎は現状を保っていきたいところ、去年は少し素肌を出しただけでいたるところにミミズ腫れのような赤い反応が出て痒いのなんの、保冷剤巻き巻き人間で大変だった(現在も家の中で保冷バックに保冷剤つめて持ち歩いている)

 休日は主にすとんとしたワンピースを着用しているが、真夏でもレギンスなどで覆っていてまったく気分が上がらなかった。でも、今年は大丈夫そう、そうなると下半身ショーツ一枚ではスカスカで落ち着かない、下着対策せねば……

 そんなことを考えつつ、初日の食料買い出し以外引きこもっていたGW後半にて久々の買い物、地元の総合スーパーへ。

 無印で薄手のペチパンツ(ペチコートのパンツver.)を見つけて試着してみるが、明らかにショーツの線を拾う。いやこれ試したのなぜ企画会議通したのと小一時間問い詰めたくなる。それともショーツレスorTバックが前提なのか。他、婦人下着売り場で物色するがどれもイマイチだった。涼し気なのはカバー力に難あり、防御力が高いのは通気性悪く締め付けあり……うーん。

 そうなると、やっぱあれしかない。

 カバー力、通気性、締め付け、お値段……すべてをクリアする代物がある。それを知っている、学んでいる。

 私は男性下着売り場に向かった。


『2枚組ゆったり仕様肌に優しい天然素材綿100%MEN‘S TRUNKS 〈L〉』──780円也。


 購入してすぐさまレギンス脱いで、ショーツonトランクス、ほぼ線を拾わない、通気性抜群、締め付けゼロ。

 一日、ショーツonトランクスinワンピース(文法には目を瞑られたし、感じられよ)で過ごしたけれど問題なかった。『第拾四話 スチーム、初めての技』でも試した時からわかっていたけどトランクス超有能。真夏の薄手ワンピースを想定して、ベージュのトランクスがあればなおよし、これはネットで手配しよう。

 ワンピースを着るためにトランクス。色んなものを失っているような気がするけど、失ないがらも生きていく。検索すると、わりにペチコート代わりにトランクス履いてる女性がいるようである。ふふふ。

 まあ、兄やら父やらのと混ざらないよう注意が必要だが。それはそれでネタになるなでもちょっとやだなだけど今履いている就寝用のこれも実はあやしいまあそれはそれでネタになるかと思いつつ、今後も不定期に書いていきたいと思う所存。どうぞ、よしなに~

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猫と私とホットクック(KN-HW24E ¥53,880) 坂水 @sakamizu

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