2-3. ライバル登場!

描写:君たちは魔動船に乗り、キングスフォール南西のカイミット漁港を出発する。カイミット漁港には、いつものように夜明け前の小漁船が走り、大海原に反射する漁船の光は、西に昇る太陽とも合わさって、幻想的な雰囲気を醸している。


漁師の男(GM):「よう! おっと、ヴィンターの旦那じゃないか。こんな時間に船出とは珍しいな。どうした?」


ヴィンター:「いやー、依頼ですよ。ほら、この太陽らしき何かの調査です」


漁師の男「おう、確かに今日は西から太陽が出ていやがるな」


ヴィンター:「そういえば、何か変わったことは無かったですか?」


漁師の男:「いんや、いつも通りだなあ。いつも通りの船出だぜ。これしきのことで漁に出ないなんぞ、漁師の名がすたるってもんよ」


ブコー:「プロ根性という物だね。たくましい」


ヴィンター:「さすがですねぇ。まあ、無理は禁物ですよ」


ピュック:ま、時間で動いている彼らは、「日が出ちゃってんなー」ってこと以外は(特に気にしていない)、と。漁において、この明るさは影響が出ないのかなーという気がしないでもないけど。


GM:影響は出るでしょうけれど、漁に出ないわけにもいかないでしょうから。


ピュック:なるほど。


アリー:生活がかかっているから。


GM:さて……。


描写:君たちの魔動船に向かって、小船を突っ切って別の魔動船が近づいてくる。狼のマーク付きの魔動船。そのマークは、”荒海の狼”ベオルの所有物であることを示していることを、君たちは知っているだろう。


ピュック:「今度は何の船だろ?」


ブコー:「おや、さっそくだね」


ピュック:「ああーライバルさんだ」


アリー:「あ、ライバルさんのですね!」


ここで登場した、魔動船に乗っているNPCであるロベルトの立ち絵は、エジプトチックな金色の装飾を身に纏い、黒い犬のような被り物をしたリカントの姿だったのだが、この立ち絵が思わぬ波乱を巻き起こした。


ロベルト(GM):「よお、お前らは、”大海の兎亭”の奴らだな?」


ピュック:「おはようございます、さん」


ロベルト:「アヌビスって言うんじゃねえ!」


ブコー:「ああ、お久しぶりだね」


ヴィンター:「いやー、仕事熱心ですね。程よく力を抜くもの肝要ですよ」


ロベルト:「おうおう、漁師相手にこそこそやってるお前に言われちゃおしまいだな」


ヴィンター:「はっはっは、あれくらいはお遊びですよ」


アリー:「アヌビスさんも出てきたんですねー」


ロベルト:「当然だ! 秘宝はこの俺、”荒海の狼”ベオルの右腕、ロベルトが先に手に入れてやるぜ! ……”ロベルト”だ!」


ピュック:「はあい、お手柔らかにお願いしますね」


ブコー:「はは。私達も負けてはいられないな。健闘を祈るよ、アヌビス」


アリー:「負けませんよ! アヌビスさん!」


ロベルト:「そんなちっぽけな魔動船でか? 先に行かせてもらうぜ!」


描写:「あばよー」と言うがごとく、狼印の魔動船は君たちを追い越して、西に昇る太陽に向かって走り去っていく。魔動船の性能の差のせいで、追いつくことはかなわない。


アリー:「こういうのは焦ってはいけないんですよー……あー、行っちゃった」


ヴィンター:「元気ですねー。程よく罠とかを散らしてくれることを祈りましょう」


ピュック:「機械さんに無茶をさせても仕方ないですし、こちらの可能な速さで進めましょうね」


GM:……待って? アヌビスさん!?


ピュック:あだ名、あだ名(笑)


ヴィンター:これは、見た目……。


ピュック:うん(笑)


ブコー:怒涛の、怒涛のアヌビス(笑)


彼の立ち絵はずいぶんとPL達の印象に残ったらしく、この先、彼はアヌビスと呼ばれ続けることになってしまった。

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