あいいろ

プリントを後ろに回して!!

あいいろ

時計の音が寝苦しさの原因になるなんて考えたこともなかった。


私の好きな色は白色だ。


だけどその時計は青い色をしている。


コーヒーなんてみんな同じ味、違いなんて分からない。


そのくせぶるーまうんてんが戸棚を彩る。


コーヒーなんて知らない、洒落臭いと思う。


私の部屋なのに私に無いものが沢山ある。


時計の針がうるさい。


悲しい現実が私の中を通り過ぎていくことを、これみよがしに知らされる。


私は白色が好きだ。


だけど今日は真っ黒な服に身を包む。


白と青にまみれた部屋に黒い塊が蠢く。


時計が鳴る。


青を基調とした時計。数字は白と青交互にある。


あの時計が初めてこの部屋に青を運び込んだ。


私は青を集める。部屋中の青を。


カップに注いだ青を飲み込む。これでおしまい。


青なんて好きじゃない。


好きな色なんてその時の気分で答えることもあるけれど、青なんて答えたこともなかった。


この部屋にこれから青が増えることなんてない。


私は青を箱に詰める。


私が好きなのは青じゃないんだ。




時計が鳴る。


時計は青が過ぎたころ。


白はもうすぐだ。







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