第17話 執事をなんとか誘惑した日

 朝だ。まだ薄暗く夜明け前だったが

 今日は何日なのか起きてから直ぐ寝巻きのままヨニーの部屋へ行った。


 ヨニーが眠い目を擦り


「お嬢様?どうしたんです?こんな朝早くに…??」

 と言うので私はいきなり抱きついた!!


「わぁ!!?」

 ヨニーは驚く!!

 そう言えば…11歳のヨニーの時のように上手く言ってるとは限らないしまだ私はアロルド王子と婚約しているのかも!確認せねば!!


「ヨニー…ちょっと怖い夢を見たのよ!…あのね、私とアロルド王子が婚約する夢」

 と言うとヨニーは


「夢じゃないですよ…お嬢様…婚約してるじゃないですか?王子と…」

 とよしよしと頭を撫でられた。怖い夢を見たと言ったからか。


「ねぇヨニー?私と貴方はどんな関係?今っていつ?私何歳?」

 と妙なことを聞く私に少しだけ警戒しつつもヨニーは


「?お嬢様の執事ですよ?アンネットお嬢様は15歳で…先日学園に入学手続きを取りました。3日後にはご入学です。おめでとうございます」

 と言われる。


 と言うことは…学園入学前には戻れた!でもヨニーとの関係は真っ白!でもヨニーは私と出会ってから直ぐ一目惚れしたのは11歳の時わかってる!ずっと秘めてるのよね?

 私はハッと思いつきヨニーの腕をめくり刻印がないか確認した。


 無いっ!!

 良かった!!ほっとしてくず折れる。

 ヨニーが


「お嬢様?一体どうしたのですか?変ですよ?」

 と助け起こそうとしたので手を借りてついでによろけるフリをしてヨニーと足がもつれてベッドに倒れた。

 ヨニーが今まで寝ていたのだからヨニーの匂いがするのは当然でドキドキした。


「わぁ、すみません!お嬢様!直ぐにどきま…」

 と言い切る前にヨニーの首に手を回して私は引き寄せキスした。

 ビクっとヨニーは完全に目覚めて真っ赤になる!!


「えっ?えっ!?」

 動揺し出した。

 そりゃこの頃の私は王子のことが好きだったかもしれないから驚いただろうけど…。


 ここで何とかヨニーを誘惑して処女を捨てとかないと…私には時間が無かった。戻れるのは1日のみだもの!!この一日を変えなければ未来はない!


 迷ってる暇などない!


「ヨニー!私は…本当は王子よりも貴方のことが好きなの!」

 と言うとヨニーは固まった。あんぐりして驚いて声も出ないようだ。ようやく


「な、なんで??そんな?あんなに王子の事が好きと僕に何度も言っていたし、そんなばかな??」

 と戸惑っているのでもう一度キスをしてみせる。ヨニーはまたビックリしていたが次第に私を受け入れ始め頰を染め自分からもキスした。


「お、お嬢様…こ、こんなことダメですよう」

 とちょっと泣きそうになるが


「ヨニーは私の事どう思ってるの?好き?嫌い?私ってきっと我儘に育ってるでしょう?」

 と言う。私は多分王子と婚約してた時はヨニーなんて単なる執事としか見ていなかった最初の過去がある。


 何でも言うことを聞くからカルロッタ様に嫌がらせを命じたりしていた。なんて自分は嫌な女なのかしら!


「え、あ、あの…僕みたいなものがこんな事を言うのは…無礼かと思いますが…おおお、お嬢様の事を僕は…以前からお慕いしていると言うかそのぉぉ…」

 と震えながら真っ赤になる。

 私はわざと聞いた。


「まぁ、いつから?」


「あの…その…お会いして直ぐ…とととても綺麗な方だと……目を奪われました…」

 と白状するヨニー。


「ほんとう?そんな前から私の事を?嬉しいわ!ヨニー!私達両想いなのよ!」

 と言うと不思議がり


「お嬢様…どうして?王子のことをあんなに好きだったのに」

 と疑われる。ヨニーは頭がいいのだ。実は。知ってる。


「あ。あれは…お父様に言われたし…屋敷の者にも王子が好きだと思わせとかないと面倒でしょう?だからえ、演技なのよ!!王子のことなんか何とも思ってないし思っていたらヨニーとキスしてないわ!」

 と言うとヨニーは思い出したように真っ赤になる。


「ほ、本当に?そ、そんな事があっていいのでしょうか?望んでも叶わないものだと…」

 と涙ぐむので抱きしめてあげるとおずおずとヨニーが抱きしめ返した。


「ヨニー…好きよ…お願いがあるの…今夜…入学祝いに私を抱いて欲しいの!」

 と大胆に恥ずかしいことを言ってみせたらヨニーは目を見開きパチクリする!!


「王子とはいずれ婚約破棄したいの!だから…学園にいる間に何とか貴方の子供を作って貴方と結婚出来る様になりたいのよ!!」

 私はそうハッキリ言うとヨニーがもう赤いところがないみたいに全身真っ赤になり震えた。


「おおお、お嬢様…そそそんな…」


「はしたないかしら?ヨニーが好きで早く子供を作りたいのよ…」


「ま、まさか、誰かに操られてませんよね?」

 とヨニーが疑う。


「操られて無いわヨニー!上手く行ったらいつか話してあげるわ…じゃあ今夜また来るわ」

 と頰にちゅっとして私は部屋に戻り今日の勉強やらをした。午後から家庭教師に教わる。

 夕飯と風呂を済ませていく。めっちゃ綺麗に磨いた。

 だってこの後ヨニーを何とか誘惑しなきゃだし。スケスケの下着は流石に手に入らなかった。まだ15歳だし。だから一番可愛い下着をつけネグリジェに着替えた。薄ければいいけどそんな予定は無かったから普通の。


「うーん…ついに処女喪失か」

 とランプに火を入れ使用人達が寝静まったのを見て私は動きだした。


 ヨニーの部屋をノックすると控えめに静かに扉が開く。ヨニーは本当に来たと驚いて私を見る。


「お嬢様…あの…本当にいいのですか?」

 とヨニーが聞いてくる。


「その為にきたのよ?あ、終わったら私を起こしてね?自分の部屋に戻ら無いとだから」


「終わったらって!」

 と恥ずかしがるヨニー。私は元々胸が大きい。15歳の私の胸も11歳よりは成長し大丈夫だろう。

 そして肝心な恥ずかしいことを私は言っておく!ここが大事だと!


「ヨニー…約束して?絶対に最後までしてね?いい?絶対よ?途中で辞めたら許さないわ!」

 と少しきつめに言っておくとヨニーはコクリとうなづき近寄って抱きしめ私をベッドに押し倒した。


 それから…狭いベッドがギシギシ言って私は何度か鳴かされ愛を確かめ合ったし、言った通りヨニーが凄くおぼつかない感じで私の初めてを奪っていった。


 痛かったりしたけどとても幸せだと感じて涙をこぼした。何度も好きと言った。

 そうして一通り終わったら私は何とかヨニーに支えられて自分の部屋に帰った。ヨニーはうっとりして私の額にキスを落とすとお休みなさいと言い扉を閉めて自分の部屋に戻っていった。


 私はとりあえず握り拳を作り


「よっしゃ!!やった!!これで私はヨニーのものになったわ!!よしよし!」

 元の世界に戻ったらアルフとの結婚話も王子との結婚話も無くなっていると思う!そう思いたい!!


 元に戻って妊娠しているといいんだけど!

 そうちょっとニヤついて眠りについたのだった。

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