第16話 ねじ曲がった朝

 11歳の可愛いヨニーと別れて私は目覚めた。

 11歳のヨニーとあのまま上手くいってるならもう恋人同士か婚約していてもおかしくないわ!!


 と思い起き上がると驚くことに私の部屋に真っ白なウェディングドレスがある!!


「えっ!?な、何これ?」

 時間軸で言うと学園を卒業して3日後になる今日。私があの悲劇の日から3日寝込んでいたのだからそうなる。


「も、もしやヨニーとの結婚??」

 そうだとしたら完全にプロポーズの所まで戻りたい!プロポーズなんて言ったの?

 とここで私の指にキラリと光る可愛らしい婚約指輪を発見する!


 これもヨニーがくれたのかしら?

 ドキドキしているとノックがされてヨニーは少し暗い顔で入ってくる。


「ヨニー?おはよう!あの…」

 生きてた!!良かった!!

 ヨニーは笑い


「おはようございます。お嬢様…今日は…アルフ様との結婚式ですね…」


「は??」

 とキョトンとした。

 ちょっと待って?何でアルフ?アルフってあの王子の友達の宰相の息子のアルフ・トシュテン・ゴットフリッド・リンドマンよね?


 超嫌味な奴で私嫌いなのにどうして!!?


「あ、あの…ヨニー…」


「お嬢様…本当におめでとうございます…。僕は…貴方との思い出が有ればいいです…」

 と涙ながらに言う。

 はあああ!?


「ヨニー…待って私は…」

 と言うとヨニーは私の唇に指を置いた。あの日みたいに。


「大丈夫です。お嬢様…僕達の関係は周囲に漏れてませんし…僕は…祝福します…」


「は?ええ?」

 待ってよ。どうなってるのか!?何で私がアルフと結婚しなきゃなんないのよ!?冗談じゃないわよ!!


「アルフ様に僕達の関係が見つかったのが運の付きでした。僕も反省しております。使えるべきお嬢様に手を出すなんて…


 だからアルフ様に見つかり弱みを握られ…最初は殺してやろうかと思ったけどお嬢様が悪の道にだけは走るなと止めてくださらなかったら…僕はどうなっていたか…」

 とヨニーが言い大体分かった。でもなんなのそれえええ!!


 大体弱みを握られたからってなんでアルフと結婚なの?アルフ…私のこと嫌いじゃなかったの?めっちゃ王子の断罪の時睨んできたし!ええ?なんなのあいつ?きもっ!


「きっと…このドレスを着たらお嬢様はお綺麗なんでしょうね…」


「待ってヨニー!私…結婚なんてしないわ!貴方とでないと!」

 と言うとヨニーは首を振り微笑む。


「お嬢様ったら…ご冗談を…もう…決めたではないですか。僕との恋は終わりにすると…」


「嫌よ!終わりになんて…言わないでよヨニー!」

 とヨニーにしがみ付くと優しく背中を撫でられ離される。


「だ、ダメですよ…お嬢様…。もう終わりです。卒業式の後…僕とお嬢様の一夜は終わったのです。卒業祝いに…貴方と初めて寝てしまったけど…何とか処女は守りましたから安心してお嫁に行けますし」

 そう言うとヨニーは言う。


 はーーーー!!?

 なにそれーーー!!?


 どうやら私は卒業祝いにヨニーと初めて身体を重ねたようだけど処女は保っているらしい!!結婚するから?はーー!ふざけんなっ!

 むしろそこまでするなら奪って欲しかった!


 ということは私はヨニーと学生時代大変清い交際をしていたことになる。手を繋いだり時折キスするくらいの関係だったに違いない!



 ヨニーは会場へ来る来客の対応の打ち合わせに部屋をでる。


 冗談じゃあないっ!このままだとこのドレスを着てアルフと結婚させられる!!

 絶対嫌だ!!


 私は天球儀を取り出したが…今はまだ朝だ!

 夜にならないと…星の光りが集まらない!!


「くっ!」

 と思っているとメアリーがやってきて


「お嬢様!おめでとうございます!さぁ、ドレスに着替えましょうね」

 とあれよこれよと人が出入りしウェディングドレスに着替えさせられた!!

 そしてあれよこれよと馬車に乗せられ教会の控え室まで連れて行かれる!どうしよう!逃げないと!!


 ヨニーが入ってきて私を見ると赤くなり目を潤ませた。


「本当に…お綺麗です!!お嬢様…」

 そう言うとヨニーは私をソッと抱き寄せ


「……ううっ!お幸せに!!」

 と泣く。辞めて。

 ヨニーは私を離して


「では来賓席でちゃんと見送りますね」

 と言い、部屋を出て行く!

 私は一人になるとこっそりと移動した!!


 コソコソ裏手に隠れながらなんとか馬を奪い魔女の家に向かった!!


 向かいながらもどうしてこうなったか考えていた。


 それにヨニーとどうやら恋人同士には慣れていたみたいだけど隠れて付き合ってた?そりゃ従者と侯爵令嬢だからか…。


 なんてことなの?


 魔女アルファ様の家に付いて扉を叩くとアデリナさんが出てきて実験失敗したみたいに真っ黒な顔をしていた。


「アデリナーーー!」

 とまた奥から怒鳴り声がしてアルファ様が怒りながらやだてきて私を見て


「おや、客かい?なんだいその格好は?」

 とウェディング姿の私に驚く。

 私は何も言わずに天球儀を見せた。

 アルファ様はハッとして中へ入れて私はまたこれまでの経緯を話した。


 アルファ様はくつくつと笑い


「そりゃ…災難だったねぇ?くくく!王子の次は宰相の息子と結婚かい」


「完全に失敗しました。11歳は早過ぎたのです!もっとちゃんと戻らないと!アルフに見つかる前に!」


「そもそも…とっとと処女を捨てちまえば良かったんだよ。今度戻ったらそうしな」


「えっ!!?」

 と私は赤くなる。そんなっ!

 でも確かに…そうしてしまえば私の婚約話も無くなるわ!!


 私は決意し夜まで何とか待った。またアデリナさんの部屋を借りて私はメモリをいじり星の光を集めた。


 今度は…今度こそ…ヨニーときちんと結ばれないと!戻るなら魔法学園入学前だわ!!

 と思って私は眠りについたのだった。

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