第7話 日本語文法(7):自動詞と他動詞

 日本語の動詞には、自動詞と他動詞があります。

 これは目的語を指す格助詞「を」を必要とするかどうかで分かれます。

 場所を表す助詞「を」は含みません。





自動詞

 自動詞とは「自らが動く」動詞のことです。

 「(私が)(友達に)会う」「(部屋が)暖まる」「(体が)温まる」「(ボールが)当たる」「(お金が)余る」「(権力に)抗う」「(日が)改まる」「(部屋が)荒れる」「(太陽が)現れる」「(家が)建つ」「(チョークが)消える」「(星が)光る」「(鉄筋が)曲がる」はいずれも自動詞です。




他動詞

 他動詞とは「なにか別のものを動かす」動詞のことです。

 「(彼を)(友人に)会わす」「(子どもを)預かる」「(子どもを)預ける」「(部屋を)暖める」「(体を)温める」「(ボールを)当てる」「(非難を)浴びせる」「(シャワーを)浴びる」「(お金を)余す」「(部屋を)荒らす」「(考えを)改める」「(姿を)現す」「(家を)建てる」「(チョークを)消す」「(カレーを)食べる」「(酒を)飲む」「(シャンデリアを)光らす」「鉄筋を曲げる」はいずれも他動詞です。

 目的語を現す格助詞「を」を必要とする動詞が「他動詞」です。


 たとえば、起点の場所や通過点の場所を意味する一般の助詞「を」を必要とするのは厳密には他動詞とはいいません。

 「(家を)出る」「(道を)歩む」「(道を)歩く」「(第四コースを)走る」「(橋を)渡る」

 「家を」は起点となる場所ですよね。

 「道を」「第四コースを」「橋を」は通過点となる場所です。


 助詞「を」を起点とする移動動詞は「出る」「離れる」「飛び立つ」「出発する」「出立する」など。

 助詞「を」を通過点とする移動動詞は「歩く」「渡る」「走る」「通る」「飛ぶ」など。


 これらの移動動詞は他動詞ではなく「自動詞」です。





自動詞と他動詞は動作主が異なる

 自動詞「電気が消える」と他動詞「子どもが電気を消す」の違いです。

 「電気が消える」は「電気の都合で消える」つまり視点の働きかけがなく変化が生じます、

 「子どもが電気を消す」は「子どもの都合で電気を消す」つまり変化を引き起こすことになります。





自動詞と他動詞のペアは稀

 実は日本語の動詞は他動詞が多く、自動詞と他動詞がペアになる動詞も限られます。

 たとえば「木が倒れる─木を倒す」「ビールが冷える─ビールを冷やす」「部屋が暖まる─部屋を暖める」「おもちゃが壊れる─おもちゃを壊す」「ドアが閉まる─ドアを閉める」「部屋が散らかる─部屋を散らかす」


 自動詞だけの動詞もあります。

 「木が茂る」「柿が熟す」「父が疲れる」「子どもが成長する」「人が死ぬ」など。


 他動詞だけの動詞もあります。

 「ドアを叩く」「弟を殴る」「生徒を褒める」「小説を読む」「犯人を捜す」「妻を愛す」など。


 自動詞と他動詞が同一の動詞もあります。

 「工場が再開する─工事を再開する」「国会が解散する─国会を解散する」「夢が実現する─夢を実現する」

 この同一の動詞は、基本的に「二字漢語」のものが多いですね。





日本語学習で憶えたいポイント

(1)動詞には目的語である格助詞「を」を求める他動詞と、格助詞「を」が要らない自動詞がある

(2)和語の動詞には自動詞と他動詞のペアが存在するものがある

(3)自動詞のみ、他動詞のみの動詞も存在する

(4)二字漢語の動詞には自動詞と他動詞が同一なものもある




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